【星幽塔】第一階層　ツインズ・ノット・デッド｜リアクション

【星幽塔】第一階層　ツインズ・ノット・デッド

「ぎゃあ！？」
　ペルラの隣にいた兵士が、断末魔と共に血反吐を吐きながら倒れた。
　彼は出撃前、ペルラにフィアンセの写真を見せてこう語っていた。
『この戦いが終わったら、自分、結婚するんすよ！』
「駄目！　こんなところで死亡フラグを実現させません！」
　慌てて癒しの光を施すペルラ。
　彼の右胸には、深々と刺さる紫色の光を帯びた矢が！
「狩人の光……！？」
　竜牙兵が星の力を持っている事に、目を疑うペルラ。
　恐らく、これで強固な盾や鎧を貫通させたに違いない。
「おいペルラ！　前だ！　逃げろォ！」
「……へ？」
　グレッグの叫びに、呆然と上空を見上げるペルラ。
　そこには、紫電めいた矢の雨が迫りくる！
「きゃあああ！？」
　ペルラ、無我夢中でハンマーを振り回す！
　するとハンマーが矢を払って、彼女の周囲の兵士を守ったではないか！
「す、すごい頑丈なんですね、このハンマー！　わ、私の鎧に矢が当たってもはじき返しました！　みなさん！　落ちている竜牙兵の防具を着込んでください！　矢を防げますよ！」
　兵士たちは無我夢中で我先にと倒した竜牙兵の鎧を奪って身に付けた。
　一方、紫光の矢はグレッグのいる民家の屋根まで届き、彼の足場を蹂躙！
「おっと！　こんなもの、長年の勘で避けてくれるわ……！」
　すぐに煙突の影に隠れ、遠く離れた弓兵へ向けて曲射！
　ガツンッと金属音が響けば、カラカラと骨の弓兵が崩れ落ちる。
「くそ！　指揮官を狙いたいが、弓兵の一斉射撃で迂闊に攻撃できねぇ！」
　それでも何とか、指揮官と弓兵を狙撃してゆくグレッグ。
　ペルラも守りを固めながら歩兵を相手取るが、弓兵の射撃が、確実に味方の損害を大きくしてゆく。
　そして、遂にその時が来た。
　指揮官の１体が、大きく突撃槍を天へと掲げる。
　それが合図となり、竜牙兵の正体全体が一気に雪崩のように押し寄せてきた！
「皆さん、踏み止まってください……！」
　ペルラ達が防波堤となって歩兵たちを押し留め、グレッグが片っ端から近付く歩兵を打ち砕いてゆく。
　もちろん、ペルラも突っ込んできた指揮官の１体を身体で押し留め、癒しの力で浄化させることに成功。
　だが、そちらに気を取られている間に、足の速い指揮官の３体がその脇をすり抜けてゆく！
「させるかよォ！」
　もはや精密射撃は不要。
　グレッグが１体の指揮官がまたがる死霊の馬へ向けて矢を素早くいれば、後ろ右足に突き刺さって死霊の馬はその場で暴れまわる！
　振り落とされた指揮官竜牙兵は、馬に踏み潰されて砕かれてしまった。
　それを尻目に、残る２体は他に目もくれずに全速力でサジタリオ城へ向かうのだった。
「くそっ！　通しちまった！　はやく雑魚を片付けて城へ向かわねぇと！！」
　負傷した兵士に襲い掛かる四つ腕竜牙兵を３本の矢で吹き飛ばすグレッグ。
「指揮官はいなくなりましたが、それでも玉砕覚悟で突っ込んできますね……！」
　これ以上、竜牙兵を通すわけにはいかない。
　雑兵とはいえ、此方の損害がじわじわと戦況に影響している。
　ペルラはボロボロのウッドシールドを握り締め、迫りくる四つ腕竜牙兵をまた１体、浄化するのであった。

＜西側戦力：自軍ほぼ半壊。（敵の弓矢対策不足による死傷者多数）＞
＜指揮官型竜牙兵２体侵入を許すも、他は全て殲滅完了＞
＜グレッグ・グロッグ：『竜牙兵の魔法弓』を獲得＞
＜ペルラ・サナーレ：『竜牙兵の鉄槌』『竜牙兵の魔装鎧』を獲得＞