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いつのまにか縮こめていた膝が軋んだ。
「なん、だこりゃ……」
薄く開いた瞳を埋める暗闇に眉をひそめつつ、
千種 智也
は足を伸ばそうとする。その足を硬い壁のようなものにぶつけて、眉間の皺がますます深くなる。
閉じ込められている。
(それはわかるが、)
いつ閉じ込められたのかも、どうして閉じ込められたのかも全く覚えがない。
「なん、だこれ……?」
不機嫌な呻きが思わず零れた。狭い空間に足がぶつかるまま、壁を蹴ってみる。腕を伸ばし殴ろうともしてみて、
「っ、ひゃっ……?!」
柔らかな髪のようなものを掠めた。仔猫じみた柔らかな髪の持ち主が、仔猫じみた小さな悲鳴をあげる。
「……誰だ?」
自分よりも小さくて華奢な身の誰かが、左側に居る。膝を抱えるようにして座り込んでいるのか、左腕に痩せた肩が押し付けられている。
智也の低い声を耳にして、傍らの誰かが怯えたような息を漏らした。真っ暗闇の中にいても感じられる、女子じみて細い身体が僅かに身動ぐ。
「ここ、どこ……?」
(この声……)
不安げに零れた声に覚えがあった。
真っ先に脳裏を過ったのは、薄紅から琥珀に色を変える瞳。ともすれば見惚れてしまいそうなほどに美しい色合いの瞳は、けれど確かな敵意を孕んで自分を見つめていた。ほとんど睨んでいた。
「てゆーか、あの……誰、ですか……?」
人見知りの子どもじみた響きを帯びた声に確信する。
(この感じ、)
間違いなく、二年の期末テスト終了日に廊下で出会った彼だ。あの時、元親友の腕にくっついていた藍色の髪の下級生。
少女とも見紛う『美少年』。
元親友の口癖を、智也からしてみれば病的にも思える性癖と共に思い出し、智也は暗闇をいいことに顔をしかめる。
「なんだ、お前か」
軽い口調に明るい笑みさえ含みながら、
(ツイてねえな)
内心に低く零す。面倒な相手と一緒になってしまった。
「あぁ、えっと……」
智也を『あの時』に会った『先輩』だと気づいたか、怯える少女じみた声音が一変する。
「千種先輩、でしたっけ」
あからさまな敵意の棘を潜めた声で名を呼ばれ、狭くて暗い箱の中が更に居心地悪くなる。
「お前は、来島、だったっけ」
あの時耳にした
来島 アカリ
の名を口にしつつ、足を伸ばし再度壁を蹴る。アカリの居ない方の壁を殴る。どれだけ強く殴る蹴るをしても、壁が開く気配はなかった。
「やっぱ開かねえか」
(秘密か……)
秘密を互いに話し合えば、箱からは出られる。
気づけば、その解が頭にあった。たぶん傍らのアカリもそうなのだろう。この状態から逃れるには、それしか方法がない。
(……めんどくせぇ……)
明るくて屈託のない男子高校生を演じるのも、男子高校生らしい普通の生活を普通に送るのも、元親友を想う下級生の相手をするのも。
ただ、元親友に話しかけたあの時、この下級生もその場にいた。『明るく屈託のない普通の男子高校生』ではない、素の状態の自分を彼は目にしている。
(バレてる……よな)
仮面を剥ぐように息を吐き出す。
(まあいい)
自分の素を知るアカリになら、『普通の男子高校生』らしくはない秘密を話したところで問題はないだろう。
「さっさと出るぞ、こんなところ」
言うなり、アカリの返事も待たずに『秘密』を吐き捨てる。
「男に襲われたことがある」
「……相手は『先輩』、ですか」
途端、アカリの声が氷点下に下がった。彼の言う『先輩』が、あの時一緒にいた元親友であることは明白で、だからこそ智也は僅かの間黙する。
「当たりですね」
沈黙を肯定と取り、アカリの声がますます棘を帯びる。望まずして触れ合った肩が怒りさえ孕んで強張る。
「……違う」
「嘘」
否定の言葉は即座に虚勢であると断定された。
「なんでそう思う」
囁いた声は自分でもどうかと思うほどに低かった。普段の自分を知るクラスメイトたちであれば間違いなく動揺するだろう声にも、
「違ったら、そんなことわざわざ俺に言わないでしよう?」
アカリは一歩も引かなかった。向き合ってはいないはずなのに、正面に立って覗き込まれている気がして、智也は知らず拳を握りしめる。
あの時、元親友と共に居たアカリはどこか少女じみてか弱く気弱な己を必死に奮い立たせているような佇まいであったのに、暗闇の中でふたりきりの今は、狡猾な強かささえ感じられる。
「こんなの他の奴には言いづらいだろ」
暗闇に見えないはずであるのに薄紅の瞳を目前に見た気がして、智也は壁側に顔を背けた。
「……どーゆー意味ですか」
アカリの声が更に尖る。完全に敵認定されたことを感じ取り、智也は瞼を閉ざした。
(めんどくせぇ……)
「誤解されるだろ、男に襲われるような奴だって」
「確かに、『先輩』のこと知らない人が聞いたら誤解するでしょうね」
硬く冷たいばかりの声が、『先輩』と口にする度に淡く甘く綻ぶ。そのことに本人は気づいているのかどうか。
「どうだかな」
「……やっぱり『先輩』なんじゃないですか」
「俺は言ったぜ」
こちらの話は終わりとばかり、智也は自分の秘密に関する会話を打ち切った。
「さっさとお前の秘密を言え」
突っぱねるように促され、アカリは横目に智也を見遣る。暗闇に向こうの顔色は窺えないけれど、今彼はどんな顔をしているのだろう。
(先輩とどーゆー関係だったのか、俺は知らないですけど……)
あの時、今隣にいる彼は先輩ととても親し気だった。元ルームメイトという関係だけではないと思ったあの時の直感は、正しかった。
演技半分ではあるけれど、鎌をかけてみて良かった。相手を敵だと確かめることが出来た。
(貴方にだけは)
昔の『先輩』を知っていて、その上『先輩』から好意を向けられたことのある貴方にだけは、
(絶対に負けませんから)
「うーん、そーですねー……」
考える振りをしながも、だから話す秘密は決まっている。見えないと分かっていて、にっこりと華やかすぎる笑顔を浮かべてみせる。
「俺、『先輩』のことが好きなんです」
あ、と同じ笑顔で付け加える。
「千種先輩じゃないですよ?」
「……それ秘密じゃねえだろ」
「ちゃんと秘密ですよ、『先輩』以外誰にも言ってないですから」
白々と言ってのける。
そう、これは『秘密』。だからこそ『先輩』以外に話すのは敵と見なした彼にだけ。
「あいつに対する態度見りゃバレバレだし」
(っつーか、あいつと同じ病気かよ)
アカリに気取られぬよう、智也はそっと息を吐いた。『美少年』であれば誰彼構わず傍に置いて愛でたがる元親友とは違い、こちらの彼は一途である分、他に害が及ばない。そこだけは褒めてやってもいいかもしれない。
(まあ、あいつも、……)
元親友の白皙を思いかけてやめる。ぐっと眉間に皺を寄せる。
苛立ったような息を吐く智也の顔のあるあたりを上目遣いに見、アカリは唇に人差し指をたててみる。見えているのかいないのか、智也の顔がどちらを向いているのかさえ、暗闇には分からない。
「だいぶわかりやすいぞお前」
それに、と智也は低く付け足す。
「あいつはお前みたいなの好みじゃねぇだろ」
「へぇ……詳しいんですね、『先輩』のこと」
諦めろ、と言いかけた智也の声を、アカリは妖艶ささえ帯びて鋭い声音で組み伏せようとする。
己は『先輩』の好みではない。
そんなことは日々思い知らされている。『先輩』が理想とする『美少年』の顔だって、よく知っている。
『先輩』の好みに当てはまる『美少年』の顔をした元クラスメイトの顔が浮かんで、アカリは知らず唇を尖らせる。自分に対する『先輩』の態度と、好みバッチリな『美少年』の元クラスメイトに対する態度は、悔しいけれど全く違う。
『先輩』が元クラスメイトに向ける熱の籠ったまなざしを思い出し、アカリはうっかり落ち込みそうになる。抱えた膝に顎を落としかけて、ぐっと耐える。それよりも今は、別の敵と対峙している。しっかりしなくては。
「ただの友達とは思えないくらいです」
「昔の話だ」
しつこいとばかり振り切ろうとする智也の冷たい言葉にも動じぬ振りをして、アカリは執拗に追及する。このひとは、敵だ。
「ふーん……昔の話、って言うわりには気に掛けてるように見えますけど」
だって四月のあの日、嘘が本当になったエイプリルフールのあの日、このひとは『先輩』の美少年好きを治そうとしていた。『普通』に女の子のことが好きな『普通の男子』に『先輩』を変えてしまおうとしていた。『先輩』を自分寄りに、『普通の男子』寄りに歪めようとしていた。
「あんな奴が友人って知られたら恥ずかしいからな」
「じゃあ友達やめればいいじゃないですか」
智也の言葉に思わず声が高くなる。腹に込み上げる激昂のまま、智也の襟を掴もうとして、狭さに阻まれた。それでも無理やりに体勢を変える。隙間に身体を捻じ込むようにして智也の正面に入り込み、肩を掴む。体格差に容易く振りほどかれかけながら、怒声を浴びせようとして、何なら拳も叩きこもうとして、
「それに向こうからやってくるんだから仕方ねぇだろ、ひでぇ奴って思われたくないし」
僅かに焦りを見せて零した智也の言葉に、智也が抱く『先輩』への複雑な想いを読み取った、気がした。
「ふーん……」
「……なんだよ」
「いえ、何も?」
掴んだ肩を離す。
「……あ、ひとつありました」
睥睨し、笑う。
「俺、あなたみたいな嘘つきには負けませんから」
このひとは敵ではない。自分の気持ちに嘘をつきながら、嘘を吐いていることにさえ気づけていないこのひとはきっと、まだ敵にすらなっていない。
「自分の気持ちにも正直になれない人に、『先輩』はあげません」
「……は?」
指さえ突き付けて蔑むようなアカリの勢いに、智也の声も怒りを帯びる。
「思い込みも甚だしいな」
そういうのではない。自分が元親友に向ける感情は、アカリとは違うものだ。恋愛感情などという浮ついたものではない。
「虚勢を張ってられるのはいつまでですかね?」
「……わけわかんねぇな、やっぱ」
アカリにそう吐き捨てたところで、目が覚めた。
天井を仰ぎ、智也はもう一度瞼を閉ざす。夢だった、と思うと同時、夢ではなかった、とも思う。箱の中で自分が語った『秘密』に、アカリが語った『秘密』に、思いを巡らせる。
(……わけわかんねぇよな、やっぱ)
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阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年02月07日
参加申し込みの期限
2018年02月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年02月14日 11時00分
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