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泥の海から這い上がるように、闇に沈みこんでいた意識が浮かび上がり始めた。
身体が鈍く重い。身体すべてが泥濘に掴まれているかのように、肌に気怠さが巻き付いている。
激しい情事は、睡眠薬に似ている。事を終えた後に引きずり込まれる暗い眠りも、目覚めた後の身体の重さも、――胸に穿たれたまま満たされぬ深い穴も。
(……ああ)
瞼を開いたところで闇は変わらず、最初、あの行きずりの男の部屋に居るのかと
朝鳥 さゆる
は思った。
眠りに落ちていたはずなのにひどく疲弊して重たい瞼を上下させる。せめても伸びのひとつもしようとして、出来なかった。持ち上げようとした腕が壁じみた硬いものに触れた。もう反対の手は、先ほどまで身体を重ね貪り合っていた男のものとは違う、柔らかな肌に触れた。眉を顰め、指を滑らせる。
膝を折り曲げた状態で見知らぬナニカの内に押し込められた己とそう変わらぬ体勢で、その誰かは己と向き合っているらしかった。
眠りに落ちたときと同じに素裸である自分とは違い、肌の持ち主は寝間着らしい衣服を纏っている。衣服越しにでも、その誰かが女であることは身体つきや肌の柔らかさや匂いで感じられた。
(誰)
未だ微睡みの中にいる傍らの女に問おうとして、唇を閉ざす。素性を聞いたところで、女が何者であるのかを判断できるとは思えなかった。
今まで数え切れぬほどに身体を重ねて来た男女のうちの誰であっても、ほとんど通っていない高校の同級生であっても、正直なところどうでもいい。狭くて暗い箱の中に突如として閉ざされるという異常事態であっても、それは変わらなかった。
(誰だろうと構わないけれど)
冷静というよりは何事にも関心を払わぬ心持で、さゆるは暗闇に瞬きを繰り返す。闇に慣れぬ瞳に見切りをつけ、指先に触れた女の肩を幾度か叩く。
「起きなさい」
囁きかけた途端、女は身体を小さく震わせた。肩に触れるほどの女の髪がさゆるの指先をくすぐる。
暗い箱の中に閉ざされていると気づいた途端、女の身体が異常なまでに強張った。
「ひぃ」
引きつった悲鳴が女から零れた、次の瞬間、女は暴れた。頭や身体を四方の壁に打ち付けることも構わず、混乱のままに痩せた身体を動かす。
「いや、嫌いや、いやああぁあっ!」
初めてに怯えて泣き叫ぶ少女のようだと思った。男に組み敷かれ、抵抗が叶わず、それをされてしまえば己が穢れると信じ込む清廉で幼い乙女。
(だとすれば、あたしは)
十七にして、ほとんど夜毎違う相手に身体を開いている己は――
女の細い手足が身動きも満足に出来ぬ狭い空間で無闇に暴れる。
籠の中にもがく鳥の羽根じみて、華奢な手足がさゆるの素肌に触れる。叩く。引っ掻く。
生娘じみた動作に、さゆるは小さく息を吐いた。逃れようと足掻く女の肩を掴む。落ちつかせようとしたのに、女は逆に混乱の度合いを深めた。
「やめて、お願い、やめて、嫌ぁっ」
喉が破れてもやめないのではないかと思えるほどに泣き叫ぶ女の頬を平手で打つ。悲痛な声さえ遮る鋭い音が狭い空間に響いた。
「黙って」
低く囁き掛ければ、こちらが同性であることにやっと気づいたらしい女は煩い唇をようやく閉ざした。
「あなたは、」
混乱から抜けきらぬ乱れた息で問われ、さゆるは女の肩から手を離す。触れた感覚でこちらが素裸であることに気づいたのか、女の声に戸惑いが混ざった。けれどそれも、どうでもいい。
「あたしは」
朝鳥さゆる、と名だけを口にする酷く冷め切った女の声に、
葉利沢 倫理子
は小さく頷き返した。この状況にあって落ち着いている声の感じからして、二十代の女性なのだろうか。少なくとも、自分より年上の女性だろう。
「葉利沢倫理子、寝子高の三年生です……」
「そう」
感情のない返事に、倫理子は悟る。このひとも、ここから出る方法を薄々察している。
――己が抱えた秘密を互いに告白すること
何故ここに閉じ込められているのかも分からない。
何故見知らぬひとにそれを話さねばならないのかも分からない。
それでも、そうしなければここにずっと閉ざされ続けることだけは確かだった。
(……私、は……)
ここに閉じ込められたのが自分ひとりであったならば。
ふと、そんなことを考えた。たったひとりで暗闇の中、朽ちるまで眠り続けられただろうか。
ぶたれて熱と痛みを持つ頬に冷たい指先を触れさせる。そうであれば良かったかもしれないけれど、今ここにはもうひとり、知らない誰かが共に居る。
「朝鳥さん」
「――あたしから話すわ」
投げやりな声音に、継ぐ言葉を忘れた。
「信じるか信じないかはあなたの自由よ」
このひとは、と倫理子は思う。
このひとは、きっと誰も信じていない。
「あたしは、実の父を殺した」
その言葉を口にしてから、さゆるはしばらく唇を閉ざした。震えを殺すような微かな吐息が倫理子の耳に届く。
「実際に殺したのはあたしではなかったけれど、……でも、もしかすると、本当に殺したのはあたしなのかもしれない」
喉元目がけて振り下ろされるナイフに走る白い輝きを覚えている。
それは何度も目にして見慣れていた。あの男は、そうしていつも戯れじみて自分を脅して嗤うような人間だった。
けれどあの日、肩を押さえつけた男の瞳には尋常でない光が宿っていた。
あれが狂気であったのか、それとも正気であったのか、さゆるには今もって判別が付けられていない。付ける気もない。
――さゆる
耳元に聞こえたのは、母と共に亡くなった父の弟を名乗りながら、幼いさゆるの身を蹂躙した実父の間際の声。
薄い胸に落ちる父の血の熱を覚えている。即座に冷えて行く大量の血と、己を殺めようとした男の肩越しに見えた、もうひとりの男の冷えた瞳を覚えている。
――さゆる
実父とよく似た声で、兄は己を見下ろしていた。娘の上に跨りながら、背後から息子に胸を刺されて事切れた父を見下ろしていた。
「時間の感覚が歪んでいて、記憶も随分と抜けている。……でも」
兄と共に、父の遺体を埋めるために冷たい土を数時間かけて掘った。
深く深く、血と屍肉の臭いを誰にも嗅ぎつけられないほとに深く。獣にも何者にも掘り起こされないほどに深く。
泥と血に塗れた手は、けれど僅かも痛まなかった。
血みどろの父の遺体を深い穴の中に投げ入れる兄の冷淡な瞳を、けれど怖いとは思わなかった。その瞳に酷く欲情した己は、
「……あたしは、きっともう狂ってるわ」
平淡な声で語られる彼女の半生に、倫理子は息を忘れた。
「あたしが殺したようなものよ。養父母も、実の父も――」
そして、と女はひとりの男の名を呟く。
ひどく愛おし気に。ひどく憎々し気に。
兄の行方は最後に垣間見た去年のクリスマスイヴの夜以来、杳として知れない。その生死さえも。
死んでいたとしても、不思議ではない。
「みんな……あたしが殺したも同然」
女の声から読み取れるのは、底知れぬ絶望のみだった。
女の名を呼ぼうとした唇が震えた。膝をつきあわせて座りながら、ほんの少し手を伸ばせば触れられる距離にいながら、肌の体温さえ感じ取っていながら、女が恐ろしく遠い場所にいるように感じられた。
誰にも手の届かぬ深淵に、女はうずくまっているのだろう。
暗闇の中で向き合っている女の絶望の深さが怖かった。それ故にどこまでも遠かった。だから手は伸ばせない。伸ばしたところで届くまい。彼女も己の手など望んではいまい。
動揺と息苦しさを隠し、だから倫理子は己の秘密を吐く。
「私は……」
さゆるの絶望とはまた違う絶望が、己にはある。
「私の内には、もうひとり、私が居るの」
以前から、時折記憶が途切れるのは知っていた。けれどそれは、思い出すことさえ憚られるあの出来事のせいだと思っていた。思い出す度に息を奪い、動悸を激しくさせ、身動ぎさえ奪う忌まわしい記憶のせいだと。
そうではないのだと悟ったのは、ある冬の日のこと。
男たちに囲まれ、車の中に押し込まれたあたりまでは覚えている。組み敷かれ、また前のように凌辱されるのかと絶望したことを覚えている。
ただ、その後の記憶がない。
気づけば、寮の自室のベッドに居た。引き裂かれた己の衣服には、己のものではない血痕が付着していた。それどころか、ナニカが焼けたような臭いさえ全身にまとわりつかせていた。
失われた記憶の中で己が何を成したのかまでは分からなかったものの、己に向けられた悪意に対して、それを上回る悪意で以て対峙するナニカが己のうちに棲んでいることだけは理解した。
「私は……」
理解して、願った。
「彼女に消されることを望んでいるの」
己の内に悪魔が居るのであれば、いっそのこと、その悪魔に呑まれてしまいたい。きっと、『彼女』もそれを望んでいる。
己の中の悪魔は、己を疎んじている。おまえなど消えてしまえと憎んでいる。
「……もう、疲れたのよ……」
恐怖に駆られて泣き叫んだ声よりも深く沈んだ少女の声が、まだ耳に残っている。
ホテルの一室、裸身にシーツを纏わせうつ伏せた格好で目覚め、さゆるが一番に探したのは行きずりの相手などではなく、あの暗闇で己の秘密を囁き合った少女の姿だった。
肌を重ね合った相手よりも、閉ざされた空間で互いの罪を告白しあったあの少女の方が、今は近しい存在のように思える。
(……痛い)
裸の胸を抑える。夢であると容易く思えるほどには、胸の痛みは軽くなかった。己の内に秘めていた、歪んだ記憶を見知らぬ少女に告白したことはきっと夢ではない。
(痛い……)
彼女もまた、自室のベッドの上でこうしてきつく瞼を閉ざしているのだろうか。秘めた記憶を口にした痛みに背中を丸めているのだろうか。
それとも、ひどく現実感のある夢だったと首を傾げているのだろうか。
ひとりきりのベッドの上、さゆるは震える息を零した。
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阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2018年02月07日
参加申し込みの期限
2018年02月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2018年02月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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