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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
深夜激走！ 寝子島仮装マラソン大会
「うふふ。みんな楽しそうだなぁ」
鴇波 羽衣はこの日、緑の妖精ティンカー・ベルの服装をしていた。海賊といえばフック船長、フック船長といえば『ピーター・パン』と逆算しての仮装である。ティンクの衣装としておなじみ、ミニのワンピースのような服に透き通った緑の羽、緑のロングブーツを身に着けている。ポニーテールを覆うヴェール、腰から長く伸びて舞う天女の羽衣のようなリボンは彼女が考えたオリジナル要素だ。
羽衣はくるくると海賊衣装の面々の間を歩き回り、一人ひとりをじっくりと観察した。こちらに気づいて静かに微笑み、手を上げる先輩海賊、シグレ・ナイトウォーカーに手を振り返す。小柄な彼女がリボンと羽をなびかせながら進む姿は本当に妖精のようだった。
「若菜せんぱーい！」
2年3組トリオで集まる十文字 若菜を見とめ、駆け寄る。
「おー羽衣ちゃん！ 妖精さんね？ すっごくかわいい！ キラキラしてるね」
羽衣の衣装は妖精の粉をスパンコールで表現している。スタジアムの明かりを受けて星の瞬きよりも強く輝いていた。
「さらに光るんですよ。せんぱい、見てください！」
なんと衣装のところどころが、さらに強く光り始めた。LEDライトが仕込まれている凝りように、若菜は目を丸くする。
「す、すごいね……光りすぎじゃない？」
「いいんです！ 夜の闇の中で、みんなを照らせるように。灯台みたいになりたいんです」
羽衣はくるくると回りながら手を振って去っていった。
（みんながんばって。がんばろうね。ケガなんかしないでね）
仲間たちに心を寄せ、羽衣はみんなの健闘を祈る。走るよりももっと大切なことが彼女にはあった。みんなの笑顔を見ること。それが羽衣の目指す、イベントのゴールだった。
「あ、見つけた！ るるちゃーん！」
「ういうい！ ピーターパンつながりだね、がんばろー！」
「おー！」
鴇波 羽衣と手を振り合う少女は赤毛を三つ編みに結い、頭には闘志を示す羽飾りをつけた最上 るるかだ。彼女も海賊軍団の一員として参加している。『ピーター・パン』に登場するインディアンの少女、『タイガー・リリー』を模した服装をしていた。
毛皮と鮮やかな刺繍テープで飾られたスウェードのチュニックを着て、手にはトマホークまで持っている。無論本物ではなく、安全な素材で作られてはいるが石の質感も実にリアルだ。
さてオリジナルのタイガー・リリーはネヴァーランドの住人であり、キャプテン・フックの前でも臆することのなかった勇敢な少女だったが、仮装海賊軍団の中にいるこのリリーは海賊の味方なのか、敵なのか!? 見ているだけで想像が膨らむのだった。
「今日のためにあつらえたこの衣装！ 似合ってるでしょ？」
「うむ。安易に海賊衣装にしないところがおもしろいな。いい目の付け所をしている」
弾むるるかに、鳳翔 皐月は賞賛の言葉を贈った。皐月も海賊仮装軍団の一員として参加している。
トライコーンとも呼ばれる三角帽にコートと言うお定まりの服装だが、随所に軍服のディテールが感じられる。これはただの海賊ではなく、俗に『免許を得た海賊』とも呼ばれる、国家認定の私掠船の船長の仮装なのだった。国王の認定の下、敵国船から奪うことを許された海の傭兵。凝った難しい設定の衣装を皐月は見事に着こなしていた。クールな雰囲気をまとった大人の女性である彼女にぴったりの衣装だ。
「ありがとう、船長さん！」
るるかは褒められたことを素直に喜ぶ。祭りの前の熱気に、皐月も気持ちが高揚しているのを感じていた。
「ふふっ。コスプレなんてと思っていたが、結構いいもんだなぁ」
「だな」
独り言のはずの言葉に返答があった。肩に力強く手が置かれる。
「く、組長!?」
長身の皐月がさらに見上げる高さに、神無月 文貴の顔があった。眼鏡の片目は黒いアイパッチで覆われている。ただの眼帯でないのはすぐにわかった。レザーの光沢と金具の装飾が淡い光を放っていて、（この野郎、こんな細かいところまで凝りやがって）と思う。
「どうだ？ 似合ってんだろ、惚れ直したか？」
自信ありげににやりと笑う文貴に、皐月は衝動的に言い返してやりたい気持ちに駆られた。だが、悔しいことに文貴の海賊姿は実に決まっていて、文句のつけようもない。文貴がいつものダークカラーのスーツの代わりにまとうのは、金の代紋があしらわれた黒の帽子とコート。フックのついたきらめく義手が、歴戦の傷跡のしるしとして再現されていた。
「目についたモン、手の届くモンは全部俺の物よ。一等賞ももらったぜ！」
「はっ、勝手に走ってきな」
文貴の速度について行く自信はないから、こう答えるしかない。深夜のイベントにはしゃぐ文貴を、皐月は呆れたような目で見やった。
鴇波 羽衣はこの日、緑の妖精ティンカー・ベルの服装をしていた。海賊といえばフック船長、フック船長といえば『ピーター・パン』と逆算しての仮装である。ティンクの衣装としておなじみ、ミニのワンピースのような服に透き通った緑の羽、緑のロングブーツを身に着けている。ポニーテールを覆うヴェール、腰から長く伸びて舞う天女の羽衣のようなリボンは彼女が考えたオリジナル要素だ。
羽衣はくるくると海賊衣装の面々の間を歩き回り、一人ひとりをじっくりと観察した。こちらに気づいて静かに微笑み、手を上げる先輩海賊、シグレ・ナイトウォーカーに手を振り返す。小柄な彼女がリボンと羽をなびかせながら進む姿は本当に妖精のようだった。
「若菜せんぱーい！」
2年3組トリオで集まる十文字 若菜を見とめ、駆け寄る。
「おー羽衣ちゃん！ 妖精さんね？ すっごくかわいい！ キラキラしてるね」
羽衣の衣装は妖精の粉をスパンコールで表現している。スタジアムの明かりを受けて星の瞬きよりも強く輝いていた。
「さらに光るんですよ。せんぱい、見てください！」
なんと衣装のところどころが、さらに強く光り始めた。LEDライトが仕込まれている凝りように、若菜は目を丸くする。
「す、すごいね……光りすぎじゃない？」
「いいんです！ 夜の闇の中で、みんなを照らせるように。灯台みたいになりたいんです」
羽衣はくるくると回りながら手を振って去っていった。
（みんながんばって。がんばろうね。ケガなんかしないでね）
仲間たちに心を寄せ、羽衣はみんなの健闘を祈る。走るよりももっと大切なことが彼女にはあった。みんなの笑顔を見ること。それが羽衣の目指す、イベントのゴールだった。
「あ、見つけた！ るるちゃーん！」
「ういうい！ ピーターパンつながりだね、がんばろー！」
「おー！」
鴇波 羽衣と手を振り合う少女は赤毛を三つ編みに結い、頭には闘志を示す羽飾りをつけた最上 るるかだ。彼女も海賊軍団の一員として参加している。『ピーター・パン』に登場するインディアンの少女、『タイガー・リリー』を模した服装をしていた。
毛皮と鮮やかな刺繍テープで飾られたスウェードのチュニックを着て、手にはトマホークまで持っている。無論本物ではなく、安全な素材で作られてはいるが石の質感も実にリアルだ。
さてオリジナルのタイガー・リリーはネヴァーランドの住人であり、キャプテン・フックの前でも臆することのなかった勇敢な少女だったが、仮装海賊軍団の中にいるこのリリーは海賊の味方なのか、敵なのか!? 見ているだけで想像が膨らむのだった。
「今日のためにあつらえたこの衣装！ 似合ってるでしょ？」
「うむ。安易に海賊衣装にしないところがおもしろいな。いい目の付け所をしている」
弾むるるかに、鳳翔 皐月は賞賛の言葉を贈った。皐月も海賊仮装軍団の一員として参加している。
トライコーンとも呼ばれる三角帽にコートと言うお定まりの服装だが、随所に軍服のディテールが感じられる。これはただの海賊ではなく、俗に『免許を得た海賊』とも呼ばれる、国家認定の私掠船の船長の仮装なのだった。国王の認定の下、敵国船から奪うことを許された海の傭兵。凝った難しい設定の衣装を皐月は見事に着こなしていた。クールな雰囲気をまとった大人の女性である彼女にぴったりの衣装だ。
「ありがとう、船長さん！」
るるかは褒められたことを素直に喜ぶ。祭りの前の熱気に、皐月も気持ちが高揚しているのを感じていた。
「ふふっ。コスプレなんてと思っていたが、結構いいもんだなぁ」
「だな」
独り言のはずの言葉に返答があった。肩に力強く手が置かれる。
「く、組長!?」
長身の皐月がさらに見上げる高さに、神無月 文貴の顔があった。眼鏡の片目は黒いアイパッチで覆われている。ただの眼帯でないのはすぐにわかった。レザーの光沢と金具の装飾が淡い光を放っていて、（この野郎、こんな細かいところまで凝りやがって）と思う。
「どうだ？ 似合ってんだろ、惚れ直したか？」
自信ありげににやりと笑う文貴に、皐月は衝動的に言い返してやりたい気持ちに駆られた。だが、悔しいことに文貴の海賊姿は実に決まっていて、文句のつけようもない。文貴がいつものダークカラーのスーツの代わりにまとうのは、金の代紋があしらわれた黒の帽子とコート。フックのついたきらめく義手が、歴戦の傷跡のしるしとして再現されていた。
「目についたモン、手の届くモンは全部俺の物よ。一等賞ももらったぜ！」
「はっ、勝手に走ってきな」
文貴の速度について行く自信はないから、こう答えるしかない。深夜のイベントにはしゃぐ文貴を、皐月は呆れたような目で見やった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年11月23日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年11月30日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年11月30日 11時00分
