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水底の世界
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蒼い鱗に覆われた山のような身体が青い水に伸びあがる。暴風の声で喚き、石で出来た家々の上に身を投げ出す。
「っ、く……」
水の空を暗く覆い尽すほどに巨大な蛇身を仰ぎ、莉鳥は駆ける。それだけでは間に合わないと判断し、石畳を蹴る。水を掻き、宙に跳ねる。走り高跳びの要領で目前の建物を飛び越す。周囲の人間など見えていないかのような見境のない攻撃をかわす。
「ユニ……!」
蛇身に砕かれた石壁が跳ね上がる。押し寄せる衝撃波を手近な家の影に身を潜めて堪えながら、莉鳥は少年を呼ぶ。どれだけ攻撃をされても、反撃はしてはいけない。それがたとえ彼にとって虫に刺されるような弱いものだとしても、
(敵ではないことを分かってもらわなくては)
警戒心を解き、おとなしくするように誘導しなくては。
「ユニ、ねえ……!」
声を限りに叫ぶ莉鳥の頭上を、武道と五月が泳いで行く。
「ユニ君、お願いです、私たちの声を聞いてください!」
大蛟からしてみれば、自分たちは米粒ほどの大きさなのかもしれない。暴れる巨躯に下手に当たれば、胴体に加速がついた位置で当たれば、
(さすがにどうなるか……)
大蛟の動きを読むべく瞳に力を籠め、武道は蒼い水に手を伸ばす。蛟の巨大さに怖じることなく、本体へ近付こうとする。万一当たるとしても初速段階でくらうような近い距離を取ろうとする。
巨大な蒼い瞳を閃かせ、大蛟が鎌首をもたげる。水を震わせ叫び、大木のような尻尾を振るう。
蒼い水を切り裂き渦を巻き起こし、地響きあげて尻尾が水底を打つ。
「五月ちゃん!」
雪崩寄せる水に木の葉のように舞いながら、共にここまで泳いできた五月を呼ぶ。
分断された、と思うも、
「大丈夫ですー」
離れた位置から五月の声が聞こえ、武道は小さく息を吐いた。泳ぎに自信があるのは、彼女も同じらしい。
それでも五月にこれ以上の攻撃が向かぬよう、武道は水中に跳ね上がる。高く高く水中に昇り、己などひとのみに出来る大蛇の頭の真正面に位置する。
「ハァーイ!」
明るく、どこまでも明るく声を放つ。大げさなほどに両手を広げ、ユニの気を惹こうとする。
「君すんごいね超ビッグサイズ! あと青いうろこが超キレイ!」
身振り手振り、声を限りに呼びかけ続ける。
「俺志波武道っていうよーヨロシクネ!」
水を映しこんだ蒼い瞳がぎらりと揺らめく。
巨大な顎が開く。耳をつんざく声で、ユニは哭いた。蒼い鱗がゆらりと閃く。硬い鱗に覆われた頭を正面から打ち込まれ、武道はたまらず水中を吹き飛ぶ。
「志波先輩!」
家々の間に消える武道を呼び、五月は再び水中に泳ぎ始める。水底にあっては陸のように走れ、水中にあっては泳ぐことのかなうこの水底の世界の不思議な仕組みは今となってはとてもありがたかった。
尻尾の波を受けて水底に叩きつけられ、あちこちに擦り傷が出来ている。ひどく打ちつけたせいか肩も背中も痛い。
「大丈夫」
五月は繰り返す。
(暴れていますけれど、)
あれはユニだ。
ユニとは以前、鬼ごっこをして遊んだことがある。だからこれは、
(鬼ごっこのちょっと危ないバージョン)
そう思えば、怖くなんてない。
「……大丈夫」
無闇に吠え立てて暴れる大蛟は、ひとりが怖くて泣き喚く小さな友達だ。
大蛟の攻撃をかいくぐり、五月は大蛟が踏み砕いてとぐろ巻く神殿の残骸へと近づく。
「ユニ君」
頭上高くにある大蛟の頭を仰ぐ。あんなに高く、遠い。声は届かないかもしれない。
「ユニ君! 五月です!」
それでも声を掛けることは止めず、五月は擦り傷だらけの掌を握りしめる。僅かでも掌の熱を上げ、蒼い鱗に覆われたユニに触れる。
傍にいることを伝えたかった。
一人ではないと、皆がここにいるよと伝えたかった。
「ユニ君!」
そのためには何が出来るだろう。蠢く蛇身にほとんどしがみつきながら、ユニに呼びかけながら、五月は必死に考える。鱗は皆が集めてくれている、きっと程なくアレス翁が何かしらの力を発現できるほどに集められる。
視線を巡らせ、思考を巡らせ、
(……『顎の下にある一枚だけ逆さの鱗』)
真下から見上げても遠い、他の鱗よりも色濃く碧い逆鱗を見た。
――砕けば、蛇身は半分程に縮むだろう
(届くでしょうか)
手を伸ばす。片手を蛇身に触れさせたまま、逆鱗を目指して水を掴む。
(届け……!)
掌に触れる鱗が冷たい。だからきっと掌の熱はユニに届いている。信じて泳ぐ。さりさりと不穏な音を立てて蠢き続ける蛇身を辿る。あともうひと掻き、もうひと蹴りすれば、己の身と同じほどに巨大な逆鱗に手が届く。鎌首もたげる顎の下に昇りきれる。
水よりも他の鱗よりも深く蒼い逆鱗に指先が触れた、その時。
一際大きな声で大蛟が吼えた。波さえ起こすその声に、近づいた距離を引き剥がされそうになる。
「ユニ君……!」
諦めるものかともがくその背を、不意に寄せた風が押し留めてくれた。風に追われるかたちで流れを変えた水のその元に、五月は竹刀を構えた黒髪の少年の姿を見る。
「ありがとうございます、優木さん!」
ろっこんで強風を起こし助けてくれた寡黙な同級生に短く礼を言い、五月は再び逆鱗に手を伸ばす。傷だらけの手では硬い鱗は砕けないかもしれない。掛けていた眼鏡を手に取る。途端に視界はぼやけるけれど、こんなに大きな的を違えることはない。
逆鱗に触れられ不快を覚えるのか、大蛟が獰猛な声をあげる。身をよじり、喉元にしがみつく五月を振り払おうとする。
「ユニ!」
大蛟の咆哮さえ一瞬圧する大音声が水底の町から発せられた。
普段あまり発さぬ大声で少年を呼んで後、遥斗は真摯な瞳を上げる。
「ユニ、といったか。まだ俺の声が聞こえるか?」
静かに、真剣に呼びかける。
(……少しでも)
脳裏にあるのは、以前町の広場で出会った少年の姿。あの幼い少年の姿からは想像もつかぬ姿となってはいるけれど、せめて少しでも人の記憶や心が少しでも残されているのならば、
(呼び戻したい)
暴れるうちに消えてしまう自我かもしれないのであれば、なおさらのこと。
「ユニ」
「ユニ君――!」
五月は握りしめた眼鏡の蔓を力の限り振り下ろす。
キィン、と高い音が響く。その音よりも高く、大蛟が悲鳴を上げる。激しく捩り悶える蛇身に振りほどかれ、五月の身体が水中に投げ出される。
「薄野」
「まーかせて!」
反射的に飛び出そうとした遥斗よりも速く、武道が水中を駆ける。投げ出された勢いのまま水底の家々に叩きつけられそうだった五月の身体を力強く受け止める。
「志波、先輩」
「よくやった、ガンバッタネ五月ちゃん」
「志波先輩、血が」
「へーきへーき」
額や足から流れ出す血で周囲の蒼を紅に変えながらも、武道は眼鏡の奥の瞳を笑み崩す。それよりもホラ、と蒼い空を暗く覆うほどに巨大だった大蛟を示す。
「ユニ君……」
水中に響き渡っていた大蛟の咆哮が、神殿を押し潰すほどに巨大だった蛇身が、中を満たす水が抜けてゆくかのように縮んでゆく。
それでも尚大きな顎の下、ひび割れた逆鱗の存在を武道から知らされ、五月はフレームが歪み鏡面が砕けて使い物にならなくなった眼鏡をポケットに仕舞いつつほんの少しだけ笑んだ。
「声、届くでしょうか」
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ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
前回シナリオ
水底の廃墟
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年12月15日
参加申し込みの期限
2017年12月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年12月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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