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水底の世界
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冬のあの日、己を包んだサファイアの色を覚えている。
纏っていたコートの真紅も水面へ伸ばした指先もまとめて染めあげたコバルトブルーの色も、今もまだ記憶に残っている。
記憶と同じ色の中、
弘明寺 能美子
は立ち竦む。
「何あれ」
あの日、水中に傘を差し、その行為の可笑しさにくすくすと笑いながら歩いた白い町が、今は巨大な蛇に破壊されようとしている。
季節の移った春真っただ中に、今度は怪獣のいる海に放り込まれてしまった。
(でも、ここは)
見回した視界の中、この町の門番の記憶をろっこんによって垣間見た小屋を見かけ、能美子は眉を寄せる。
ここは、あの碧い水の底の町で間違いない。
地面より突如として溢れだした碧い水により、住人が『溶けた』町。
「……ん」
あの日持っていた傘の代わり、今日はいつのまにか手の中に空色の硝子細工を握りしめていることに気づいて、能美子は漆黒の瞳を瞬かせた。花のかたちした硝子細工を制服のポケットに滑り込ませ、白砂に覆われた水底を歩き始める。
蒼い鱗の大蛇が丘の上でのたくる度、白い珊瑚石でできた町が突き崩される。衝撃波のかたちして蒼い水が押し寄せる。
「っ……」
長い黒髪を水中の波に惑わせながら、能美子は町を共に歩いた蒼い髪の少年を思う。あの小さな手の彼は無事だろうか。
和らいだ波に、きらきらと何かが銀色を閃かせている。何気なく伸ばした指に触れたのは、掌ほどの大きさの蒼い硝子片のようなもの。
咄嗟に発動させたろっこんで壊れた物の元のかたちを読み取ろうとして、できなかった。ちらりと首を傾げかけて、それが元は命を得ていた魚かナニカの鱗であることに思い至る。
(あの怪獣の鱗……?)
よくよく見れば、その身で白珊瑚の家々を破壊する度、蒼い大蛟を護る鱗も砕けている。割れた鱗の下から赤い血が溢れ、蒼い水に流れ出している。
ユニ、と小さな声を聞いた。声の主を探そうと周囲を見回して、己が掌に行きつく。蒼い鱗から浮き出すようにして、小さな魚が小さな口をぱくぱくと忙しなく動かしている。
ユニ、ユニ、と魚は繰り返す。タスケテ、と魚の言葉が脳裏に響くと同時、あの冬の日に出会った蒼い髪の少年が思い浮かんだ。
「あれが……」
能美子は町の央で町を壊す蒼い大蛟を見遣る。
「あの時であった蒼い髪の子供なのね」
幾度となく頷く仕草を見せ、小魚はこの町の置かれた状況を語る。己が死したこと、ひとり遺された彼が町と共に死を選ぼうとしていること。彼を助けるために己の鱗を集めてもらいたいということ。
「……亡くなる事は知ってたが、早かったね」
背後に聞こえた声に能美子は振り返る。
「旅鴉さん、……桜さんも」
呼び込んで済まない、と詫びる元『町を護る巨獣』であるところのアレス翁に、
旅鴉 月詠
は雪白色の長い髪を揺らして首を横に振った。
月詠の後ろで静謐な紅の瞳を丘の上へと向けていた
桜 月
が、白銀の睫毛の陰を透きとおりそうな白い頬に落とす。
(自己主張の為に泣くのはいい)
暴れて町を破壊する大蛟が、月には何としてでも我を通そうとして泣き喚く幼い子どもにしか見えなかった。
過去の己を見ている気がした。
寂しくて悲しくて声が枯れるまで徹底的に泣き続け、疲れ果てて動けなくなるまで思いを吐き出さなければ前に進めなかった、幼かったあの頃。
(泣き疲れるまで、飽きるまで泣けばいい)
蒼い水を震わせる咆哮は泣きじゃくる声に聞こえた。
町を壊して暴れるさまは堪えきれない癇癪に見えた。
(ただ)
だからこそ月は思い知っている。泣いて泣いて泣き喚いて暴れたその後に後悔が生まれてしまうのは良くない。
(今のままだとそれが生まれそうだ)
それも、良くない。
辛いような表情を見せる月の背を軽く叩き、月詠は暴れるユニを真紅の瞳に映す。小さな息を吐き淡く微笑む。
「己の運命は知っていたはずだけど、望まない巨獣の姿になってしまって混乱しているだけだね」
どこまでも穏やかにマイペースに頷く。タスケテと繰り返す小魚に瞳を細めてみせる。
「そのオーダーを断る訳にはいかないな」
『……済まない、異界の魔女よ』
アレスの言葉に、月詠は妖艶に笑みを深めた。
「アレス翁からユニ君への最後の教えになるだろうよ」
「……とにかく、何とかしないとね」
能美子が町へと投げる視線の強さに安堵したかの如く、小魚はその姿をふわりと水に溶かして消えた。
「弘明寺、その鱗を貰えるだろうか」
能美子から受け取った蒼い鱗を片手に、月詠はその場でスケッチブックを広げる。鉛筆で素早く描くは、魚座のシンボル。
興味深そうな能美子の視線を受け止め、月詠はろっこんを使う。絵を描いた紙の内に蒼い鱗を封印する。紙をかざせば、周囲の水中にマリンスノーじみてひらひらと漂う蒼い鱗が引き寄せられ、次々と紙に封印されてゆく。
「手分けして手早くいこう」
「ありったけ集めないとね」
「……そうだね」
半ば瓦礫の山と化した町へと向かう月詠と能美子の背を追い、月も足を踏み出す。ひらりと視界を横切る蒼い鱗を手を伸ばして取り、鱗に宿るアレスにそっと囁きかける。
「大丈夫、きっと何とかなるよ」
だって、と見仰ぐ蒼い水中には、自分たち以外にもこの世界に呼び込まれた人々が町へ向かおうとしている。
「皆がその為に頑張っているんだから」
「怪獣……?」
吐き出した言葉が白銀の泡になり、青い水の中に散る。持ち上げた指先は藍の色。水中から見下ろす水底はいつか見たのと同じ碧の世界。
再び呼び込まれた蒼い水底の町を、けれど今は怪獣映画に出てきそうな巨大な蛇が大暴れしている。
「ッ……」
丘の上、以前は白い柱の神殿があった場所で大蛇が吠えた。轟音が水を震わせる。衝撃波のかたちして襲い掛かってくる水中の波を避け、
椎井 莉鳥
は水を蹴った。
迷彩柄のタンクトップとショートパンツ、以前呼ばれたときと同じにベッドに入ったときの軽装ではあるけれど、
(動きやすくて助かるわ)
さらりと流し、栗色の瞳を冷静に巡らせる。水中に浮き上がり家々の屋根の高さから見下ろせば、町のところどころにひとの姿が見止められた。
己と同じに、異国然とした白い町には似合わぬ衣服を纏った人々は、それぞれに動きながら町中に散らばるナニカを集めている様子。
(蒼い、鱗……?)
ちらりと眉を顰めたとき、
「っ、きゃあ?!」
近く、悲鳴が聞こえた。
黒髪を水に揺らし、音のする方角へ水を蹴る。白い石畳に足をつけ、陸上部で鍛えた脚力で以て駆ける。暴風にも似て押し寄せる波を分けて腕を伸ばす。
波に押し流され、宙を舞うように吹き飛んできた小柄な少女の細い腕を掴み腰を支えに抱き止める。飛ぶように駆けるその間、丘の上を呆然と見仰ぐ黒髪の少女の手も咄嗟に掴む。
「危ないわ」
間近な家の壁に少女たちの背を押し付ける格好で流れ来る水から逃れる。
「……大丈夫?」
息を吐きながら問うて、助けた少女ふたりが以前この地で会ったことのあるふたりであることに思い至った。名は確か、
「莉鳥さん」
「ありがとうございます、莉鳥さん」
銀髪の
塔ヶ崎 璃亜
と黒髪の
宮祀 智瑜
に声を揃えて名を呼ばれ、輝くような瞳で見上げられ、名で呼ばれることを苦手とする莉鳥はちょっと困って頬を掻く。
「椎井、……苗字で呼んで」
「お爺ちゃんの姿が見えないんです、椎井さん!」
大蛟が咆哮を上げる度、家々を薙ぎ倒して倒れる度、町中に疾風じみた波が跳ね回る。白い石を積み上げた家の壁の影に身を寄せたまま、智瑜は黒い瞳を焦燥感に歪めた。
「嫌な予感しかしなくて、心配で、……」
春先に訪れた際に拾った地図と香水瓶を手に握りしめ、唇を噛む。あの大きな蛇が暴れているのは神殿のあったところ。神殿には、年老いてひどく弱ったアレス翁が、蒼い髪のユニ少年と共に住んでいた。
大蛇が立てる波に翻弄されながら、どれだけ必死に町の上から見下ろして探しても、アレス翁もユニ少年も見つけられていない。
「あの大蛟、……以前訪れた神殿の壁に見た記憶があります」
壁に背を預けてへたりこみながら、璃亜が呟く。アレス翁は、元は巨獣であった存在は、最早巨獣の身は失せたと先に言っていた。であるのならば、
「あれは、……ユニさん?」
あれがユニ少年の変化した姿であるのならば、彼はどうして町を破壊しているのだろう。
璃亜の脳裏を過るのは、あの春先の日、神殿内の闇に小さな身体を沈みこませながら明るい声で言い放ったユニの言葉。
――おれ、じいちゃんと一緒に死んじゃおうって決めたんだ
「ユニさん……」
届かぬと分かっていて、璃亜は悲鳴じみた声を絞り出す。
「これ以上町を壊さないで……お願いします」
此処は彼にとっても、彼が共に死にたいと願うほど大切な存在であるアレス翁にとっても大切な場所であるはず。そんな場所を破壊しようと思い至るまでの少年の心の痛みを思い、璃亜は泣きたくなる。
「とりあえずユニ君を落ち着かせないと」
「けど、どうやって?」
璃亜の必死な言葉に冷静に問いを投げて、
「……ん」
莉鳥は瞬く。璃亜のスカートの裾に蒼い鱗がくっついている。何気なくつまみ上げた途端、蒼い鱗を透かせるようにして、小さな小さな魚の幻が浮かび上がった。
タスケテ、と繰り返す小魚が元はアレス翁であるということを小魚自身から聞き出し、少女たちは顔を見合わせる。
「じゃあ、やっぱりあの大蛟が……」
苦し気な表情を見せる璃亜に、小魚は蒼い鰭をはためかせる。町に散らばる鱗を集めて欲しい、錯乱するユニを落ち着かせてほしい。
「……状況は把握したわ」
言うなり、莉鳥は水底を蹴って水中に躍り上がった。鱗を集めるという智瑜と璃亜に気を付けてと短く手を振り、大蛟が陣取る神殿に向けて泳ぎ始める。鱗を集めるにしても何にしてもまだ時間がかかる。それまで、少しでも彼を落ち着かせた方がいい。
(そうしないと説得するにしてもやりづらいだろうし)
下手をすれば逆効果になる。被害の拡大は避けたい。
大蛟に向けて水を掻き進みながら、莉鳥は町のあちこちにも目を配る。
(心配いらない)
心の内に繰り返す。町のあちらでは魚座のマークを描きこんだ紙をかざして蒼い鱗を吸い込む月詠の姿、こちらでは丁寧に鱗を拾い集めつつ道に転がる町の住人の遺物に触れ続ける黒髪の少女の姿。その他にもあちらこちらに寝子島から呼び込まれたらしい人々が己の力を尽くしている。
(心配いらないわ)
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阿瀬春
前回シナリオ
水底の廃墟
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年12月15日
参加申し込みの期限
2017年12月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年12月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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