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水底の世界
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水底の町を訪れるのは三度目だった。
だから突如として身体を押し包む蒼い水にも、肺の空気を吐き出し切った後に呼吸ができることにも、水を蹴り白砂の水底に足をつけることにも、
(少し慣れてきたな)
思うと同時、
獅子目 悠月
は榛色した瞳を歪める。
緩やかな丘に沿って積み木のように組みあがっていた白い家々も、家と家を蜘蛛糸のように繋ぐ細い路も、縦横に走る階段も、全てが巨大なものに突き崩されている。押し潰され崩壊している。
(今回はまた……酷く荒れているな)
町の外周に降り立ち眺めても、町の荒廃は明らかだった。
視線を伸ばす。丘の上、元は石造りの神殿があった場所に蒼い鱗の巨大な蛇のようなものが鎌首をもたげている。
高く高く、大蛟は鳴いた。
倒れ伏すように町に身を投げ出す。丘よりも巨大にさえ見える巨躯に押し潰され、白い石造りの町は轟音たてて崩れた。砕けた石が、白砂が、白煙じみて蒼い水を濁す。
息を呑むうち、巻き起こった波が押し寄せる。
「っ……」
吹き飛ばされそうになって足を踏ん張り、耐える。細めた瞳に丘の上の巨大なナニカを映しかけて、
「あ、悠月くーん! やっほー!」
その波に逆らわず、むしろ望んで流される格好で水中を漂ってくる黒髪の少年を見た。水中に慣れた動きで宙返りし、水を蹴って悠月の傍に立つのは、同じ高校に通う一学年上の先輩。
「志波」
「良かったー、やっぱり誰か居てくれた!」
切迫した場にあっても明るい口調で笑いながらも、
志波 武道
は眼鏡の奥の栗色の瞳に力をこめる。
唐突に違う世界に放り込まれることにはもうほとんど慣れていると言っていい。水中にあって息がかなう不思議さにも、然程驚きはしない。
(でも、……)
「あれはなんだ?」
慟哭じみて吼え、町を破壊することで己自身をも傷つけているようにも見える、あの大きな蛇。
武道に応じられぬまま、悠月は視線を落とす。そうしてから、知らず掌に握りこんでいた蒼い鱗に気づいた。
二度目に町を訪れたときに手に入れた巨大な魚の鱗は、赤銅色した髪を波に惑わせ首を捻る悠月の目前、小さな魚の姿を水中に映し出す。
言葉もなく目を瞠る悠月に、小さな魚は小さな声で繰り返した。
『タスケテ、タスケテ』
水の空に響き渡る大蛟の咆哮に紛れそうな声に、悠月と武道は耳を澄ませる。そうして、大蛟の正体と暴れている理由、鎮め得るかもしれぬ方法を聞き出す。
「アレが……子供?」
元の姿と彼の境遇を知っても、大蛟になり果てた上に暴れる子供を見れば、
「随分厄介な駄々っ子だな」
思わず愚痴じみた言葉が零れて落ちた。済まない、と詫びる小魚に唇の端を淡く持ち上げつつ、独り取り残される恐怖を想像する。
例えば、手に入れた大事な物を全てなくして、
(ひとり)
それがどんなに寂しいのか、凍えるのか、
(ああ……)
今の己ならば理解できる。消えたくなる気持ちも、わかる気がする。
ひとりであるのならば、己が己で居る意味などない。それも、わかる。
(ただ)
子どもの思いを理解しても、悠月にとってこの蒼い水の世界は己の大事な思いを、
(大事なモノを見つけた場所だ)
その場所が悲しい思いに満ちて破壊されてしまうのは惜しかった。たとえ遠からず消えてしまう場所であるのだとしても。
タスケテタスケテと繰り返し、小魚は蒼い鱗に吸い込まれるようにして消えた。
「……事情はおーまかにだがわかった」
労わるような眼差しを鱗に向け、武道は呟く。
「とりあえずあの大きい……少年、だっけ?」
「ユニ、と魚は呼んでいたな」
「ユニ君を鎮めなきゃいけないんだな」
鱗を集めると言い町に向かう悠月に頷き、武道は水底を力強く蹴る。再び水中に舞い上がり、飛ぶように泳ぎ始める。
痛ましいような眼差しで真直ぐに見つめるのは、己をも含めた全てを壊そうとしている大蛇。
(孤独を恐れる少年……か……)
助けてやりたかった。どうしても。
ひとりはかなしい。ひとりは、とてつもなく怖い。
(俺に出来ることって言ったらこれくらいだけど)
丘の上、孤独に怯える少年が泣いている。
喉を詰まらせ息を詰まらせる恐怖を吐き出すように、少年が泣いている。
(頑張らせてもらうよ)
瞳に強い意志を滾らせ、武道は蒼い水を掴む。
先へ先へ進むその途中、建物の影から水鳥のように飛び出す少女を見た。
「ユニ君!」
少年を呼ぶ必死の声に、聞き覚えがあった。
「五月ちゃん」
後ろに聞こえた声があっと言う間に近くなる。振り返るより速く隣に並んだ武道を黒い眼に映し、
薄野 五月
は水を蹴る足を僅かの間止めた。
「志波先輩、」
普段おっとりとして見える後輩の泣き出しそうな顔に、武道は事情を察する。
「友達なんだな」
「友達です」
短く頷きあい、武道と五月はほとんど同時に水を蹴った。水泳部と寝子島育ちのふたりは速度を上げて泳ぎ始める。
「ユニ君を助けます」
きっぱりと五月は宣言する。
「また一緒に、遊びたいですし、まだまだ一緒に、遊びたいですから!」
「その時は俺も混ぜてネ!」
こんな時であっても、――否、こんな時であるからこそいつも通りに軽い口調の武道に、五月は頬を緩める。
(ユニ君は、まだひとりじゃありません)
だって友達だ。一緒に遊んで、一緒に笑い合った仲だ。それを友達と呼ばないで何と呼ぼう。
友達が困っていたり悲しんでいるのなら、
(お節介でも助けます)
そのためにも、まずはユニに自分たちのことを気づいて貰わなくては。
「ユニ君! 五月です!」
蒼い水に、五月は声を張り上げる。
「聞こえますか!」
時折、身体を吹き飛ばしそうなほどの波が押し寄せる。波に巻き上げられて身体を打とうとする砂や瓦礫を物陰に身を寄せ避け、悠月は町を走る。宙に舞い、家々の陰に落ちる蒼い鱗を拾い集める。町を見守るが如く、鱗は町のそこここに散らばっていた。
町の片隅、蒼光を宿した鱗を手にしようと足を踏み出しかけて、
「だめです、危ない……!」
しなやかな手に手を掴まれた。咄嗟に踏みとどまった目前、折れた空中回廊が落ちる。白砂を舞い上げて積み上がる瓦礫に一瞬息を詰まらせて後、悠月は歩みを引き止め助けてくれた女性を振り返った。
「助かった」
「怪我を」
燃えるような赤銅色の髪持つ少年の手にアレス翁の蒼鱗を見、
志鷹 若菜
は新緑の瞳を淡く細めた。彼も、ユニを助けようと奔走してくれている。
「問題ない」
跳ねた瓦礫に掠められて血の滲む額を手で擦り、少年は再び弾丸のごとく飛び出して行った。
「気を付けてください」
携帯用救急セットの入ったウェストポーチを抑え、若菜は少年の背に声を掛ける。再び蒼い鱗を集め始める。
(ユニ君)
掌に集めた蒼い鱗を握りしめ、丘の上に咆哮轟かせる大蛟を見つめる。
(苦しくて、寂しかったよね)
初めて会ったとき、彼は弾けるように明るい笑顔を見せていた。あの時には、彼はもう既に酷な運命を、悲しみをその小さな身体に抱えていたというのに。
(何もしてあげられなくてごめんね)
――若菜
縋るように握りしめてきた小さな掌の力の強さを思い出した途端、胸が張り裂けそうになった。
(アレスさん)
ありったけ集めようとしている蒼い鱗を胸に抱きしめ、若菜はユニを真直ぐに見据える。誓う。
(貴方の愛し子は必ず救います)
地響きが足元を揺らす。幾度とない揺れに耐えきれず、通りの家々が音立てて崩れる。石を積み上げただけの建物は地面の揺れに脆い。
静寂に占められていた蒼と白の町が崩れ荒れ果てて行くさまに胸が痛んだ。だから息が切れても砂礫に頬を打たれても、悠月は駆けずり回り続ける。
「ッ……」
大蛟が泣いている。
丘の上を仰ぎ、崩壊しつつある町に視線を戻して、
「優木」
いつも持ち歩いている竹刀ひとつだけを抱え、静かな眼差しを町を巡らせる
優木 遥斗
の姿を見つけた。
「獅子目」
強い意志の宿る黒い瞳を僅かに細めて悠月を見遣り、遥斗は再度町へと視線を投げる。
「行け」
やるべきことがあるんだろう、と短い言葉を受け、悠月は頷いた。それ以上の言葉も交わさず、悠月は駆けだす。遥斗は丘の上の大蛟を仰ぐ。
大蛟が何者であるのか、誰に事情を尋ねることもしない遥斗には分からない。確かなのはただひとつ。
(この世界は、滅んでいこうとしている)
滅び行く世界の時間を巻き戻すことなど、おそらくは出来まい。
(いや、……)
大蛟によって破壊されてゆく町をつぶさに納めながら、遥斗は眉間に皺を刻む。以前訪れた時から、ここは既に終わった世界だった。
「ユニ君!」
蒼い水に埋められた空に、少女の必死の声が響く。大蛟の咆哮にかき消されそうな黒髪の少女の言葉に、遥斗は奥歯を噛みしめるように息を吐き出した。
先輩である武道と共に大蛟の元へと向かう少女の姿を見る。
以前この世界に取り込まれた際、言葉を交わしたことのある少年と同じ名で呼ばれる大蛟をもう一度見つめる。
ここは、もう終わった世界だ。
(ただ、まだ終わっていないものが居る)
それだけは紛うことなき真実で、遥斗にとってはそれだけで充分だった。
(まだ消えていない)
そうであるのならば、望みを聞いてあげたかった。叶えられるかどうかなど、聞いてみなくては分からないのだから。
やるべきことを定め、迷いのない足取りで駆けだす。真直ぐに目指すのは、丘の上から町を破壊し続ける大蛟のもと。
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3人まで
シナリオジャンル
冒険
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年12月15日
参加申し込みの期限
2017年12月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年12月22日 11時00分
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