８０００文字探偵｜リアクション

８０００文字探偵

■漫画家探偵、工藤来夢
（※再び小学生探偵のテーマを脳内でながそう。さあ歌うぞ、うつむーくー……！）
「マンボウが犯人じゃないことは分かっていたわ。なぜなら、マンボウが包丁を持てるわけがないからよ！」
　デスクを照らすスポットライト。
　眼鏡をくいっとあげる来夢に、サキリは無言で対応した。
「そこ、『なんやて工藤』って言う！」
「なんやてくどう」
「それに包丁を使ったとしてもサンマさんの鱗をひとつきにするのは難しい筈。この中にいる、刃物を使うのがもっともうまい人物があやしいわ！」
「えっ」
　サキリの頭上にやじるしマークが現われた。
「それも、刃物がキャラクターのキーアイテムになるくらいビシッとはまった人ね。ろっこん能力に刃物を用いる人が最も怪しいのよ！」
「えっ」
　サキリの頭上のやじるしが巨大化した。
「と、みーせかーけて」
　くるっと指を回す来夢。
　くるっと反転する矢印。
「事件の真犯人はスケープゴートにされたマンボウくんの背後でほくそえむナイフ使いのサキリさんの更に後ろでほくそえむ樹さんよ！」
「えっ」
　振り返るサキリ。
　スポットライトの当たる新田樹。
「僕が殺したってさっきハッキリした所だけど」
「そこは『なんやて工藤』って言えっていってんでしょーがー！」
「「はぐーっ！？」」
　工藤ダブルラリアットが炸裂した。
「いいわ、私の推理を見せてあげる。締め切り前の原稿を書き上げたらね！」
　と言いながら来夢は編集さんに首根っこ掴まれて引きずられていった。
「……なんやてくどう」