８０００文字探偵｜リアクション

８０００文字探偵

■はらぺこ探偵、椿美咲紀！
　シャバダバ的なミュージックと共に聞こえるシャワーの音。
　カーテンの向こうではグラマラスなシルエットがシャワーを浴びている。
　という光景を海外の有名モデルに撮影させつつ、美咲紀はポッ……あの、なんだっけ、両側から食ってチューするためにあるようなお菓子、あれ、あれをぽりぽりやっていた。
「へんしゅーちょー、これを私のナレーション映像ってことにできないですー？」
「できないですー」

（※某頭脳は大人な子供探偵風のミュージックを脳内でながしてね☆）
　私は美少女探偵、椿美咲紀。
　今日もミスユニバースの最終選考に選ばれつつあるさなか、知り合いの刑事さんが私のもとへ駆けつけてきたのです。
「探偵！　事件だ！」
　刑事さんに連れられてやってきた私が見たものは、寝子島高校の家庭科室で起きたというサンマさん殺人事件。
　磯の香りが漂う事件、けれど真相はサバじゃない。謎を暴き真実見抜く、その名は名探偵美咲紀！
（※ハイここでミュージック終了です）
「ぼくがやったよー」
　血まみれの包丁を手にぼへーっと立っているマンボウくん。
　お料理研究クラブの作ったクッキーを三枚同時にいただこうとしていた美咲紀は、ハッとして振り返った。
「ちょちょちょ、ちょっとまってくださいね」
　手元のクッキーをもぐもぐごっくんすると、胸を叩いてお水を飲み干してから振り返りなおした。
「刑事さん、この事件がそんな簡単に終わるとは思えないのです」
「えっでも自白してるし……」
「本当にいいんですか。ここで終わったら、あとは美咲紀の三十分クッキングになるのですよ！」
「ええっ、某有名番組の十倍も？」
「見てください、サンマさんといえば秋の味覚。まだらっかみ時空的にもリアル時空的にも季節外れですがサンマといえば美味しいお魚、きっと食欲にかられた犯行なのです。だとすれば小魚しか食べないマンボウくんは犯人とは考えられません！」
「えっそうかな」
「この事件――私がリアクション一本分もたせます！」

　そして私は校内を走り回った。
　購買でメロンパンを買い、ベンチで女子高生とランチをし、休み時間のおやつを貰い、放課後またたびメイトの自販機を連打した。
　そして――。

「わかったのです。この事件の真犯人が」
　関係者全員を集め、美咲紀は決め顔でいった。
「犯人は食欲にかられ、サンマさんを殺したのです。しかしサンマといえば七輪焼き。しかし七輪は家庭科室にはない。だから外に出たのです。勿論さばいたばかりのサンマを野良猫にとられないためにハイ施錠。そして見事七輪をもってきた犯人は美味しくサンマさんを頂いたのです。そう、犯人はお昼になってもあんまりご飯を食べなかった……あなたなのです！」
　びしっとある一人をゆびさす美咲紀。
　真犯人とは一体誰なのか！？

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