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八ヶ淵埋蔵金探索記
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『スーパー はちがぶち』の老店長の戯言じみた埋蔵金伝説を聞いても
後木 真央
は動じなかった。
「そんな一攫千金が転がってい……」
いれば本土で漁師をしている祖父の新しい船の資金が手に入る。あと猫鳴館建て替え資金も手に入る。
「……うぷぷ」
動じないはずだった。
うっかり本音と欲望がだだ漏れそうになる口元をぎゅっと引き締め、真央は老店長と並んで座るベンチから勢いよく立ち上がる。いやいやいや、と一攫千金狙いな本能を押し隠す。
「今月のNMRピッタリなのだそのネタ買ったのだっ」
代わりに表に押し出すのは、寝子高新聞部員としての取材魂。NMR、寝子島ミステリーレポートと題した特集は校内でも評判がいい企画記事のひとつ。
よし売った、と楽し気に笑う老店長から宝の地図(無料タウン誌)とさんま饅頭(賞味期限間近のため半額)とお弁当(三割引き)を言い値で買うなり、真央はビニール袋片手に鼻息も荒く九夜山登山に取り掛かった。
陸上部で鍛え上げた健脚と欲望でもってあれよあれよと現地に辿りつくも、
「ふおおお」
目当ての桜の樹のウロを覗き込むなり、頭上に広がる青空とは正反対の真っ暗闇に顔を引きつらせた。
「準備を、……準備をせねばっ」
決して暗闇に怯えたわけではないと自分に言い聞かせつつ、とりあえず踵を返して猫鳴館に駆け足で逃げ帰る。もとい、転進する。
暗闇に対する恐怖心は猫鳴館でお弁当を食べて腹の底に押し込み隠し、探検の準備をするために帰ってきたという建前通りに再支度に取り掛かろうとして、
「あっ」
いいことを思いついた。いそいそとスマートフォンを取り出し、何事かを画面に打ち込む。
「送信! なのだー!」
NMR重大案件を関係者各位に送信した後、今度こそ準備再開。
飲料水にお菓子は外せない。懐中電灯は言わずもがな、カメラに軍手も追加したディパックをいつもの赤猫リュックに突っ込み今度こそ意気揚々と出入り口をくぐったところで、オンボロの壁に立てかけられた誰のものともしれない大きなシャベルを見つけた。拝借し、背負う。
「にゃにゃにゃがおー!」
いつものようにろっこんでふくふく三毛猫を召喚して頭に乗せれば準備は完璧。寮と同じくらいにオンボロな寮生用自転車にまたがり、力強く漕ぎ始める。
「一攫千金ついでにMMR……ぐふふ、何のご褒美なのだ~……」
あまり整備されていない道もなんのその、跳ね飛ぶ勢いで寝子高に続く坂道を下り、校門前でわくわくと待つ。
頭に乗せたがおーがひとつ欠伸をする頃、星ヶ丘方面へ続く道の向こうによく知るふたりの姿が見えた。
休日の昼下がり、友人に出会えたことが嬉しくて思わず声が弾む。
「修ちゃん、美咲紀ちゃん!」
「真央」
「真央ちゃん」
いろんなものが詰まっているらしいリュックサックをそれぞれに背負った
八神 修
と
椿 美咲紀
が春の青空の下で手を振る。
「寝子高新聞部は常にアツい話題を求めているのであります!」
美咲紀が振った手を胸の前で拳にする。
「埋蔵金ってNMR案件ですよね、浪漫ですよね! ネコッターでも話題になっているのです!」
「先日の花見でも色々聞いたし、いい機会だ」
本格的な背嚢から文庫本を一冊取り出しつつ、修が頷く。
「『幻の八夜城』?」
覗き込んできて本の題名を読み上げる真央に頷き返し、八ヶ淵埋蔵金に関する記述がある箇所を指先で示す。
「入り口があるとすれば、天宵川の始まる辺りか」
「八ヶ淵のおじいちゃんもそんなことを言ってたのだ! さっすが修ちゃん!」
真央が意気揚々とスーパーの老店長から貰ったタウン誌を取り出し、島の地図が描かれた頁を開く。老店長が赤マジックで記した『宝の在処』も、修が口にしたのと同じ『天宵川の始まる辺り』。
「取材敢行なのです!」
「なのだー!」
のどかな春の青空いっぱいに、美咲紀と真央の溌剌とした声があがった。
険しい獣道の入り口に目印のようにオンボロ自転車を停めた後、川音をなぞってひたすらに山道を登る。
「あの樹なのだ! もうちょっと、もうちょっとなのだー!」
ばっちり体育会系な真央に背中を押され、体力づくりに余念のない修に手を引かれ、息を切らせながら獣道を辿ってきた美咲紀が見たのは、若緑に染まる森の中、そこだけ鮮やかな薄紅に色づく満開の桜の樹。
「え?」
けれど瞬いた次の瞬間、満開の桜は幻と消える。あるのは周囲と同じに瑞々しい緑を吹き出させる葉桜の大木。
「……葉桜も良いものですね」
辿りついた桜の樹の前、へたりこみそうになりながら一息吐いて、美咲紀は首から提げたカメラを手にした。大木の周囲を注意深く調べる真央と修を映し、青空に向けていっぱいの若葉を広げる桜の梢を撮る。
「やっぱりここしか入り口っぽくないのだ……」
桜の根元に口を開く真っ暗な虚の前、どこかしょんぼりとした顔で真央がしゃがみこむ。
「成程、如何にもだな」
「真っ暗ですねえ」
真央の背後から修と美咲紀が虚の暗闇を窺い、楽し気に笑う。それぞれの鞄からライトを取り出し、スイッチを入れて頷きあう。
大人ひとり通れるほどの隙間を潜り抜ける。絡み合った木の根を足場に降りてみれば、そこには案外広い空間があった。身長百七十センチを超す修が背筋を伸ばしても、頭は天井につかない。
後に続く女子ふたりに手を貸してから、修は胸ポケットのIC録音機のスイッチをオンにする。
「直径三メートル、高さ二メートル。巨大な虚だ」
ライトで内部を照らし出し、独言じみて状況を記録する。手持ちのデジタルカメラで周囲を映すことも、ノートに簡易な地図を描きこむことも忘れない。こうしておけば、後日の部活動の際に他の部員にも臨場感と共に詳細を知らせ、語り合うことができるはず。その楽しみのためにも、しっかりと調べておかねば。
「虚の端、一メートル弱ほどの石像、……地蔵かな?」
「穏やかなお顔ですね。大分古そうです」
修に倣ってIC録音機の電源を入れつつ、美咲紀が地蔵の前にしゃがみこむ。ライトを膝に乗せ、そっと両手を合わせる。
「お邪魔しますなのです」
挨拶をし、カメラのシャッターを切って気づいた。壁際に安置されていると思われた地蔵の後ろに、ひと一人ほどの隙間が開いている。失礼しますと覗き込んでみれば、更に地下へと続く梯子が一台。
「暗いのだ……」
「俺が先に行くよ」
暗澹たる面持ちで呟く真央の背を叩き、修はライトを携え梯子を下る。危なげなく梯子を下り、ライトと五感で危険がないかを探る。
「大丈夫だ」
続いて降りてきたふたりに示すのは、梯子の向こう、左右に伸びるふたつの道。
「二手に分かれよう」
修の言葉を受けて、真央は左右の道をライトに照らし出す。右手は人の手で掘られた上に木材で補強された坑道、左手は元々地下に存在していた自然のものらしい洞穴。
「……人の手が入った方は違う気がするのだ」
如何にも怪しげな人為的な場所に宝は隠さない気がする。
こちらに進むと左を指す真央の反対の手は、美咲紀の手をぎゅっと握っている。
「よし、俺は右へ行こう」
「終わったらお地蔵さまの前で合流しましょう」
軽やかに手を振る美咲紀の明るい声に暗闇へ踏み入る勇気を貰い、真央は修と別れて左の道へと足を踏み入れた。
暗闇に二条、ライトが走る。岩肌を白く照らし出しながら、真央と美咲紀は足音を洞穴に響かせる。
「真央ちゃん」
「ひっ」
「あそこ、……何でしょう、扉……?」
美咲紀のライトが暗闇の先に照らし出したのは、開けてはならないと戒めるかの如く黒い閂の掛けられた扉。
「……開けてみるのだ?」
扉の前に立ち尽くして後、ふたりは顔を見合わせる。開けてはならなさそうな扉があれば、中を見たくなるのが好奇心というもの。
「開けてみましょう」
決然と言い放ち、美咲紀は閂に手を掛ける。ひんやりとした鉄の冷たさに顔をしかめつつも力いっぱいに引けば、女子ひとりの力でも案外簡単に扉は開いた。
扉を開く。光のない部屋をライトで照らす。そう広くない部屋の中、浮かび上がった土饅頭に真央は思わず息を呑んだ。
「……うひぃ?」
「お花が添えてある?」
お参りに来た誰かが来るたびに愛おしげに撫でて撫でてつるつるにしたような丸くすべすべした石の傍のひとつひとつの傍には、昨日今日供えたような花の束。蓮華に山吹、ツツジにたんぽぽに菫、ここに至るまでの道すがらに大切に摘んできただろう野の花と、別のお墓の前には少し古くなったお団子まである。
美咲紀は土饅頭のひとつひとつに丁寧に手を合わせた。
「お邪魔しますなのです、騒がしくしたらごめんなさいなのです」
土の下で眠っているのが一体何なのか、誰なのかも想像はつかないけれど、それでも、この世界に自分よりも先に存在していたナニカにはすべからく敬意を払いたかった。
「な、なにゆえ墓地なのだ……?」
木の虚よりも更に地下、ナニカから隠すようにして作られた墓地を前に真央は立ち竦む。NMR取材陣としては墓を暴き何が葬られているのか探るべきなのかもしれないが、
「う、……ううう」
古はピラミッドの例もある。そんなことをすれば呪われてしまうかもしれない。
悩みに悩んだ挙句、結局はデジカメのシャッターを切るだけに留めておく。
何が映り込んでいるかも分からないデジカメ画面を確かめる気にもなれず、真央は美咲紀と扉を再び封印し足早に通路の先を目指した。
「もうひとつ、扉ですね」
「扉なのだ……」
次の扉は木造格子戸。そろりと開き、頭を並べてふたりと一匹はそっと中を覗き込む。
「ぅひッ」
ライトに浮かび上がる鎧兜武者たちを目にした途端、真央が短い悲鳴をあげた。
「んー、……そんなに古い時代のものでもなさそう……?」
「古い?」
「戦国時代よりこっちくらいの様式なので、古くはなさそうです」
日本史が得意な上、歴史ドラマから派生して夢中になったその手のBL本からも甲冑に関する知識は得ている。経緯はあんまり言いたくないものの、知識は知識だ。
「兜の下、お面みたいなものがあるでしょう? 面頬が広まったのは確かノブナガの頃ですもん」
「戦国時代は立派な大昔じゃ……ヲヤ?」
歴史マニアの言葉に首を傾げかけて、その『古くはない』兜の庇と面頬の間、要は目のあたりがキラリ剣呑に光ったように見えた。真央は反対側にもう一度首を傾げる。
「がおー、今何か、」
がたがたがた! 真央の言葉に反応したかのように、床几に掛ける格好で居並ぶ甲冑の一着が激しく震え始めた。
「えっ」
「んぎゃー!?」
美咲紀が目を瞠る。真央が力いっぱい叫んで間髪入れず頭の上の定位置にしがみついている三毛猫がおーを引っぺがして投げつける。
「ハッ!? がおーに何するのだー」
甲冑の頭にぺしーんと叩きつけられて必死に貼りつくがおーの危機に気づき、真央は慌てて真っ暗な部屋に飛び込んだ。がおーを投げた自分の所業も忘れ、背中のシャベルを引き抜く。
「がおー、がおー今助けるのだー!」
むくれた顔で兜にしがみつくがおーを助けるべく、鎧の胴に向けてシャベルを振り上げたところで、
「待ってください! 貴重な鎧にそんなこと……!」
続いて飛び込んできた美咲紀が真央と鎧との間に身を割り込ませた。よくよく見れば、甲冑はもう動きを止めている。目の部分に宿っていた光も消えている。
にゃあ、とがおーが鳴けば、鎧の中でちゅう、と小さな鳴き声が聞こえた。かたかたと鎧を震わせ、具足の隙間から小さな影が外へと飛び出し何処かへ消える。
「ネズミ?」
「なのだ?」
兜にしがみつくがおーを真央が引きはがす。甲冑が被った埃や蜘蛛の巣を美咲紀がそっと払う。床几からずれた鎧兜の位置をきちんと整え、美咲紀はポケットから取り出した花をその膝に供えた。もしもの際のろっこん用にと持っていたものだけれど、花はまた外で用立てればいい。
(捨て置かれているわけではなさそう……?)
それでもきっと、鎧兜は誰かが有事に備えて用意していたものには違いあるまい。もしかするとこれを纏って戦った誰かもいるのかもしれない。
(私は縁者じゃないけど、……ちゃんと供養して貰える方が良いよね……?)
いつかの昔に鎧を纏った誰かのため、美咲紀は祈った。
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担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年10月11日
参加申し込みの期限
2017年10月18日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年10月18日 11時00分
参加キャラクター一覧
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