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<終章>いぬねこの国
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「異世界の住人さんでも、我々『いぬとねこの中立共存を目指す会』は歓迎するにゃー。むしろ、同胞なら尚更だにゃ~。
今回は強襲を目的にしていたから、食料や水の用意もしていにゃいが、我慢してほしいにゃー」
「ええ、大丈夫……」
喋りながら、
三宅 葉月
は漆黒の毛並みに尻尾を揺らして建物の中に入る。
どうやら座る椅子も足りないらしい、いぬねこの集まりから数歩離れ。葉月は丸太らしき風合いで出来た壁際へ寄って、その光景を観察し始めた。
二階は分からないが、一階は目算三十匹弱のいぬねこがいてもそんなに窮屈には感じられない。
しかし、そのいぬとねこは皆、へとへとの様子が見るからに伝わって来る。
「椅子、足りていないのね」
「足りていないにゃー。皆今日は走り回ったから、本当は一休みしたいにゃ~。でも──」
「まだまだ! 夜はこれからわん!
犬のしょうぐんがこちらにいる以上、今回の『かくめい』は勝ったも当然なのだわん! 気合いを入れるわん!!」
僅かな言葉の端を拾ったのか、こちらに向かって檄が飛ぶ。あまり日常から近づくことの無いその煩さに、葉月は焦げ茶色のいぬの意識がこちらを離れるまでの間、しばらくじっと両耳を押さえ続けた。
その一匹が目立っている。あれが『いぬとねこの中立共存を目指す会』のトップなのか。
しかし、その受ける違和感に、葉月は先程話していたねこに再び話し掛けた。
「……あの、茶色いいぬは?」
「『いぬきち』っていう、オスのトイプードルだにゃ~。今回の作戦を、隣にいる『会長』に提示したすごいいぬだにゃー。
ただ……少し、うるさいにゃ~。ぼくは、好きじゃないけれども、他のいぬねこは半分くらい『素晴らしいかくめい家』だと言って、いぬきちのとりこだにゃ~」
葉月はその言葉に、今も他のいぬねこに熱く語っているいぬきちをじっと見つめた。
いぬきちは、高らかに言葉を放ち、会長を褒め称え、疲労でぐったりしているいぬねこ以外からヒューヒューと歓声を受けている。
明らかなる違和感──葉月は、その犬と会長の言葉に集中した。
「しょうぐんと王さまは、首が離れても死なないわん! どこか窓の無い塔にでも閉じ込めて、いぬとねこの! ねこといぬの為だけの世界を作るのだわん!!」
──今までにない、過激論。同意する会長、同意するいぬねこ達。
葉月は、違和感の原因をここに見いだした。
このいぬが、今の中立共存の会を『暴徒化』させているのだと──
「いぬとねこ、我々だけの世界を作るわーん!」
「そうだにゃ! いぬとねこが一番なんだにゃー!!」
言葉に熱が籠もる。追従する会長と取り巻きのいぬねこ達。
そこに、さり気なく葉月は言葉を差し込んだ。
「……あら? ……犬のしょうぐんと、ねこの王さまは『いぬとねこではない』のかしら?」
はた、と葉月の言葉に、我に返ったいぬねこ達が一斉に息を呑んだ。
そのまま、動揺したいぬねこ達の視線を一身に浴びるが、葉月はそれに素知らぬ顔をして小首を傾げて見せた。
動揺を隠せないままに、いぬきちがオロオロと言葉を補う。
「し、しかし! 我々の共存には、あの二匹はもはや無用の存在なのは確かだわんっ」
「そ、そうだにゃ、我々の──」
それを同じく無意識に復唱する会長に、葉月は全てを解した様子で、凪いだ水面のようでありながらもはっきりと『意図した疑念を招く』言葉を口にした。
「今までの出来事の、最終決定をしてきたしょうぐん達の排斥。
……では、これからの最終決定権は誰が担うのかしら?」
いぬきちは当然とばかりに息巻く。
「当然、政治は会長を中心に主導権を握って行うのだわん!」
「そうだにゃ、政治は会長が──えええっ私がっ!?」
会長が、初めてその政の世界を変える重さに気付いたかのように、素っ頓狂な声を上げる──その一連のやり取りに、盛り上がっていたいぬねこ達も、流石に会長の意識の温度差によるこのやり取りはおかしいと気づき始めた。
その周囲の雰囲気が『これは、もしかして、今の状況はヤバい……?』と思わせるほどに落ち込んでいく。
「え、え……っ? こ、困るにゃ! 困るにゃ!
わ、私は、ただいぬとねことが一緒に暮らせる世界にしてほしいだけで……!」
うろたえて思わず本音を零した会長の言葉に、慌てていぬきちが鼓舞する言葉にすり替えるが、時既に遅く。
その場の空気は一斉に、葉月が望んだ以上の効果をもって『これは、もしかしなくてもヤバい』という断言形にまでもつれ込んだ──
◆ ◆ ◆
いぬさんもねこさんも、無理をしている──それらを耳にしていた
大天使 天吏
の感想はそれに尽きた。
いぬさんもねこさんも、今まさに行っているのは『人間』のそれ。本来ならば、こんなあまりにもくだらないことに囚われる必要なんてないのに。
それは、とても哀しく天吏の胸を打った。
「天吏殿、本当に座らなくて大丈夫ですワン?」
「ええ、いぬさん……私は大丈夫ですから、他のいぬさんとねこさんに譲って差し上げてください」
恐らく、同じ寝子島の存在がこのいぬねこ達の説得に来ることだろう。
それを邪魔するつもりは無い。この事態は憂慮すべき問題だ。それがより良く解決されるのであれば、その手段が人間にあっても構わない。
だが──天吏には、伝えたいことがあった。こればかりは、いぬねこ達に伝えなければならないと思った。
人が来てからとも思ったが、ここで告げるべきなのかも知れない──天吏は、そっと今までいつも一緒にいた柴いぬに話し掛けた。
「いぬさん、改めて皆さんにお話したいことがあって」
「そう言えば、天吏殿からお言葉を承れると聞いたワン。我々に伝えたいこととは何でござるワン?」
「はい、それについて──」
天吏が言い掛けた瞬間、
二階から、何かを大きく破壊する激しい衝撃音が響き渡った。
「──!?」
──何が起こったのか、一階のいぬねこ達は誰も理解ができなかった。
誰もが口を開けない間、ようやく少しの間を置いて、見張りのいぬねこから、誰何する怒鳴り声が聞こえてくる。
それで初めて、侵入者が現れた事に理解が追いつき、いぬねこ達はこぞって二階へと押し掛けた。
◆ ◆ ◆
正座をしている犬のしょうぐんの目が驚愕に見開かれていた。
傍には、常闇よりも暗い毛並みをもつ黒い犬──
御剣 刀
が中立共存の会との間に、明確な意志をもって立ちはだかっている。
刀は深夜に近いこの時間、いぬねこ達の目を潜り抜け──否『いぬねこも認識出来ない速さで』背面からろっこんで建物の上空へと駆け上がり、二階の窓を破壊し建物を強襲した。
背面からの警備は確かに薄かったかも知れない。
しかし、果たしてそれが正面であり、かつ昼間であっても、いぬねこ達に捉えられたかどうか。
持続力は無い為、事前に偵察などができた訳でも無い。刀は、ただ直感でここに来た。直感でここの窓を蹴破って、辿り着いた。
ろっこん“加速”信じ難いことに、刀はその一つだけで、この警備を乗り越えてきたのだ。
しかし、ただ一つ。そこには刀にとって大きな決断があった。
今まで刀の中にはずっと、その能力は『早すぎる故に、誰からも認識されなくなる』という不安と恐怖を纏ってきた。それこそ、ろっこんによる能力の成長を止めるほどに。
その思いを、不安を、刀はこの世界で完全に解放した。
ろっこんは思いに応え、その能力に沿い、瞬間的にとはいえ刀に今回の侵入時のように、気付く者が殆どいない程の速さを与えた。
だが、それにより能力の発動中、相対的に遅くなる世界の中で。
刀は、ただ一人『自分しか動いていない。誰からも反応が無い』と錯覚させられるような孤独を──一身に受ける覚悟を決めたのだ。
その全ては、
今、目の前にいる王であったいぬの在り方に、強く心打たれたが故。
「いぬ皇」
いぬ皇──それは最初、刀が初めて犬のしょうぐんと知った時の名。
「その声はカタナデス!?」
犬のしょうぐんの隣で正座をさせられていた
トワ・E・ライトフェロゥ
が目を輝かせる。
しかし、その気配は殺気にも似た緊張感に溢れ、それがとても正義の味方の登場などではないことが分かる。
遅れて二階に上がってきた天吏は、トワの声から耳にした名前に、一度大きく尻尾を下に打ち下ろした。
「かたな、か。この様子では、他の世界の者も来ているのであろうワン」
僅かに苦渋の色を滲ませて犬のしょうぐんがぼやくように呟いた。
「いぬ皇よ。
俺は貴方がさくらの木で作った板に書いた願いを読んでいる。その上で問う。
『貴方はどうしたい?』」
犬のしょうぐんは、沈黙した。
ここに単騎で飛び込んでくる能力を持った存在が傍にいる。
しかし、少なくとも犬のしょうぐんは、それに即救いを求めるような真似はしなかった。
刀は、その様子に犬のしょうぐんの心を無言の内に理解する。
「俺は部外者だ、今までの歴史とかいぬとねこの国での責任とかそういうとは無関係だ」
「ならば……何故ここに来た。ここは一層かたなには無縁であろうワン」
「ここに来たときに……世界を見た。
──無縁であっても。それでも貴方の在り方に感じ入るものがあった、ねこの王との決断には敬意を払うべきだと思った」
結末として、王達が受けた仕打ちはあまりに重く。しかし、それでも国を護った意志に比べれば。刀が抱えてきた『目的はあれど、失うものが怖くて手が届かない』など、言い訳にすらならないと思った。
それを知った時に、刀は決めたのだ。
ならば、全力で駆けよう、と。届かないものにたどり着くために。全てをその場に置き去る事も悔やまない、と。
そして、今──
そのような、刀の『先』を示した存在が、尊厳無く囚われているならば、やることは一つしかない。
「だから。
この問いに対する貴方の答えは尊重するし、その為に成したい事があるなら全力で手伝おう。
今──この時だけは、俺は貴方の刀だ」
刀の言葉に、周囲は一斉にざわめいた。
この本拠地に一人で攻め込んでくるような存在だ。犬のしょうぐんの言葉一つで暴れられてしまっては、犬のしょうぐんが逃げてしまうのは勿論のこと、この場のいぬねこは全て叩きのめされてしまうかも知れない。
しかし、周囲のざわめきをよそに、犬のしょうぐんは静かに告げた。
「……考えていたワン。我を今斬れる刃があるならば、今すぐ介錯を願いたい中。
民を──争いを止めた結果に、この結末があったなら。
……それを、最後まで飲み込まねば主にあらず、と」
刀は静かに、僅かに驚いた様子を伴って『王』を見た。
犬のしょうぐんは、静かに語る。
「王と共にあったものが、二度王を見限った。
ならばそれも必定である、と。受け入れるべきだ、と理解したワン。
それこそが、永く。主であった者の役目だと」
淡々と、とつとつと。中立共存の会の行動に沿うことを話す犬のしょうぐんに、その会の会長すらも驚いてそれを聞いていた。
「しかしワン。
かたな。今は、その申し出を有難く受け取るワン。
この落ちぶれた姿であっても、主の最後の矜持として、佩刀が許されるならば、今これ以上の剣はない。
──明日、恐らく事態は変わるであろうワン。
それまで、どうか我の唯一の剣として、傍にいてはくれまいだろうかワン」
「ああ」
その言葉を待ち構え、刀は無二もなく頷いた。
「縄は解いた方がいいか?」
「否、このままで──周囲を、無駄に警戒させてしまうワン。
だが、隣の小さないぬの縄は解いてやってほしいワン。何も悪いことはしてないワン」
「分かった」
「ぐぬぬ……複雑、マス……! もし王さまが武力行使で来たら、しょうぐんはどうするデス?」
正座から自由になったトワの言葉に、犬のしょうぐんはさも当然のように顔を向けた。
「今、お前達の世界の者が、他にも来ているのだろうワン?
──ならば、次にやつが来るとしたら確実に『話し合い』だワン。
城のいぬジャーキー一年分を賭けてもいいワン」
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冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年10月21日
参加申し込みの期限
2017年10月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年10月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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