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<終章>いぬねこの国
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真っ黒な海とも思える夜の草原が、丘の上から見渡せる。
広々とした丘の上で、熱くない魔法の光を灯し。それを
綾辻 綾花
、
恵御納 夏朝
、
羽生 碧南
、
ブリジット・アーチャー
、
夢宮 瑠奈
と、その灯を目指して合流した
花風 冴来
、
日暮 ねむる
が大きく囲んでいた。
ねこの王さまがその中で、ここで見た皆の情景について、改めて過去の戦争の話を説明していた。
それは、寝子島から来た皆が見た物と殆ど変わらず、ただ言葉として語られる事実だけが重くのし掛かった。
「ただいま。夜になるのは早いね」
そこを覗き込むように、四本足の
桜庭 円
がブリジットの隣にあった隙間に顔を出した。
円が、いぬの国へ繋がる場所を教えてくれたねこの王さまに、どのような顔をすべきか悩んだ一瞬の間。
「すまニャい」
先にねこの王さまから、円へと声が掛かった。
『思いやりにも、その助力にも力になれなくて済まない』──少し申し訳なさそうな声で、それでも己の取った行動が見通されている様子が伝わって来て、円はそれに少し恥ずかしく、困ったように情けなく笑うことしかできなかった。
「もう、この空間にいるいぬねこはここに集まった感じかニャ。
こうして事情を説明してしまえば、話すことは予想以上に少なかったニャ」
そう告げて、皆にねこカリカリを配っているねこの王さまの姿を、先程から碧南は落ち着かなさそうにじっと見ていた。
「(そう言えば……今だって、こんなに人がいるのに)」
碧南はずっと、ねこの王さまへの違和感を感じていた。
先の言葉通りであれば、ねこの王さまは犬のしょうぐんが助けられなくても、結界の張り直しの準備の一つも行っていても良いはずだ。
それがない。それどころか、碧南の目には極めてのんびりと、皆とねこカリカリをかじっているではないか。
「──王さまは、どうしたいんですか?」
心を改め碧南の言葉に、ねこの王さまは感情の起伏の無い声で答えた。
「決まっている、いぬのアレの救出と、世界の完全閉鎖だニャ。
吾輩も犬のアレも甘過ぎたニャ。望郷という感情があったなら、吾輩達は引きずられ過ぎた。
もう、次はない。結界は張り直すニャ」
どこも見ていない目で、ねこの王さまが告げた。
しかし、碧南はそこに先程からずっと矛盾を見つけていた。
「でも、王さまは今、何もしていないですよね?」
周囲が僅かに息を呑む。薄らと、その場の皆が気付いていても指摘をしなかった事実。
ねこの王さまは、表情を変えること無く。しかし、否定も肯定もしなかった。
「か、考え直してほしいんです。
見てきた回数は少ないけれども、私、ねこの国のお祭りじゃないですが、いぬの国とハロウィン、楽しんできました! まだ二回だけれども、それでも国同士が興味を持って、それから交流を持つって、悪いことじゃないと思ったんです!」
ねこの王さまは、その意見よりも気迫に圧されてた様子で、瞬きをして碧南を見る。
「まだ、本当に見てきた数は少ないけれども……いぬとねこの全体で見たら、これまでの交流で得たものは、失ってきたものより多いんじゃないかなって、私そう思うんです!
どれも王さまが悪い、とは一概には言えないけれども……もう一度考え直して欲しいんですっ。
──確かにっ。
中立共存の会の会長が、あんな行動起こしたのは残念だと思います。
でもそれであれだけのお祭りをできるような関係を断絶してしまっては、絶対、長い目で見れば両方の国民にとって不幸なことになると思うんです、だから冷静に考えてほしいんです」
殆ど一息で訴え掛けた碧南の言葉が終わると、ねこの王さまは、軽く一呼吸を置いてから、落ち着いた様子で碧南に言葉を返そうとした。
雰囲気から、それが静かな否定であることは誰の目からも明らかだった。
「ですが、王様」
しかし、その碧南の言葉を無為にすることなく、今まで沈黙を守ってきたねむるが口を開いた。
「しょうぐんさまを捕らえた者たちの行動も衝動的なもの。交渉の余地は十分に残されてると思います。
一度、民草の声を直接耳にしてはいかがでしょう。ねこ王様」
「……ネムル、そんな畏まらニャいで欲しいニャ。
吾輩は、そんなすごいモノではないニャ」
声音だけは明るく。
しかし、ねこの王さまの表情は明るくなく、むしろ無表情にも近い。
だが最初の断言とは違う、はつらつからは遠い口調で置かれた言葉には、碧南やねむる、この場に集まった皆の視線が積み重なった結果だということははっきりと伝わってきた。
「王さま」
しなやかな金の毛並みを魔法の灯りに照らされて、その身体がふわりと光って見える冴来が、ねこの王さまにゆったりと話し掛ける。
「同じ悲劇を繰り返さない為……貴方の考えが間違っているとは思わない。
事実、悲劇の拡大や再発を防ぐ為、そうしなければならない事もある」
冴来の穏やかな瞳が、ねこの王さまの存在をそっと視界の中央に入れた。
「けれど、彼らの望みも尊いものだわ」
種族をこえて、一緒にいたい。
その『いぬとねこの中立共存を目指す会』の想いは、国民を守ろうとした王の在り方と、同じだけの価値がある……冴来は言外に、その切なる想いを添えた。
ねこの王さまが、完全に沈黙をした。言葉を探すわけでなく。ただ、己の胸に詰まる思いを感じ取るように。
「王さまは──こんな事があっても、
共存を目指す会の子たちの事を嫌いになれないでしょ?
王さま達にとって、子みたいなもんだもんね」
円の言葉に、ねこの王さまは変わらず沈黙で返す。
しかし、その無言は誰から見ても同意であったから。
円は落ち着いた声で言葉を続けた。
「王さま、一部は正しいけど、一部は間違えてると僕は思うよ。
民が笑顔で暮らせていたのは、ある意味正しいし──ボクも楽しかった」
円は、この世界の全てのお祭りを見てきた。いぬとねこは笑い合い、その笑顔に偽りなど有り様がなかった。
それでも、
「でも民を信じず、子供扱いして。
信じてあげない時期は過ぎちゃったんだよ。
自分たちで選択し始めたんだから」
この王は見てきたはずだ。
いぬとねこが、自分達で選んだハロウィンの祭りを開いたとき、その笑い合う笑顔は、カボチャのかぶり物があって尚明るかったこと──
「それでも」
ねこの王さまは、感傷を振り払うように口を開いた。
「境界を持つ存在は……接点を持てばいつか必ず憎み合う。そこに二度目がないとは言わせニャい。
繰り返させないのは──王の務めニャ」
頑ななまでに意を変えようとしないねこの王さまを、魔法の光だけが照らす。
そのまま続いた沈黙に、胸を痛めた綾花が、何とか場を繋げようと、とっさに話しても良いものかと思案途中であった事を口にした。
「王さま……
あの時の──戦争になるほど、国同士の仲が悪くなってしまった事故について知りたいです。
仲の良かった国が、一気にそこまで険悪になることなんてただ事じゃないですし……」
何より、今ねこの王さまが何よりもそれに固執している事は明確であったから。
「……話すほどの事はニャい。と言いたいところニャが。
こうして無償ではないはずの時間を、吾輩との時間に割いてくれているのならば、それに応える必要はあるニャろう」
そう前置きをして、ねこの王さまはこの場全ての存在に語り始めた。
「最初は、アレの……分かりやすくいぬねこで言うニャ。
いぬとねこの国境は砦こそあったが、規制は特産品の貿易くらいで誰もを自由に通してきた。それだけの、信頼があったニャ。
そして、明確な国境は両国で侵入を禁止していた、国の境目にあった森の中心であったニャ。
故に、誰も森に入らなければ、いつまでも安泰のはずだったであろうニャ」
「それならどうして……?」
不思議そうに魚チップス味のねこカリカリをかじりながら訊ねる碧南に。ふと、気づきの花びらが降りたかのように冴来が口にした
「……その森に、敢えて入った人がいた……?」
「その通り──
何が理由があったのか、度胸試しだったのか。人の心は分からニャいが……。
『いぬの国の冒険者』が、侵入先の『ねこの国の領土』で、恐らく獣であろう何かに八つ裂きにされた。
夜盗ではないか、等の噂が立ったが、この時はまだマシであったニャ。
──問題は、その後。
その獣の討伐に森の潜っていた『いぬの国の領土』の狩人が……その噂の確認するという肝試しで、国境を越え探索に来た『ねこの国の子供』を、間違って射殺した」
ねこの王さまが、静かに、そして淡々と語る。
「本当に、あっという間の出来事だったニャ。あそこにも結界を張るべきか、そのような話がようやく出始めた事の起こりから、数日と経たなかった。あれは……避けられるものでは、なかったニャ。
しかし……『両方の国で、互いの国の人間を殺された』──そう、国民達は叫び始めたニャ。
『目を覚ますべきだと。
自分達は、無能な指導者により、平和に甘んじすぎていたのだ』と。
どうにか出来ていたはずだ、と言うのは結果論ではあったニャが──まあ、もう事実過ぎて言葉も出なかったニャね」
魔法の光を中心に、その場の全員が息を呑んだ。何か、ねこの王さまに声を掛けるには、それはあまりに生々しかった。
「それからは、国同士は火を風で煽るように、一斉に互いの国へ敵対心を盛り上げていったニャ。
今まで平和を置いていた吾輩らは、戦争が始まるまで『ボンクラ』と相手にもされなかったニャ。
吾輩達にその悪意が向かっていれば、いくらでもやりようはあったというニャに……」
ねこの王さまが一瞬見せた慚愧の念。それはすぐに付け足された言葉に隠された。
『今思えば思うほど、誰かが、どうにか出来る事件ではなかった。
故に、今回の件を再来として。何としてでも防がねばならない義務がある』
──その呟くような宣言をもってして、ねこの王さまは言葉を締め括った。
それを聞いた各々が、様々な思考を交錯させた。
やはりそれらは回避できたのではないか、国民を説得させる方法はあったのではないか。それらは、今となっては過去の机上の空論となってしまう事実が、空気としてその場に滲んだ。
「……そうね、話をするくらいなら」
その沈黙をブリジットが断ち切った。
異なる文明の、内部抗争に干渉すると大体ろくな結果にはならない──それを主題にしたSF映画の鑑賞を趣味としたブリジットの祖父が言っていたけれども。
「この世界の戦争で何が起きてどれだけの人が死んだのかも私は知らないから、どれが正しいなんて私は言うつもりはない。
──あなたたちの世界のことは、あなたたちで決めるべきだから」
それでも、完全に投げ捨てるには、心が咎めた。
「だから──私の世界で起きたことを話すわ」
「半世紀以上前に……えっと、私のグランパがまだ子供だった頃、私の国アメリカと日本という島国との間に大きな戦争が起きて、たくさん人が死んだの」
「皆の世界にも、戦争が起こっていたニャのか……」
ねこの王さまが、争うことに慣れない沈痛な面持ちで俯いた。
「で、戦争が終わった後、この二つの国はどうなったと思う?」
「──? それは当然、」
「関係を断絶もしなかったし、お互いにいぬやねこにもならなかった」
「……! ニャが、関係の断絶がなければ、どうやって──」
「今は良き友人として付き合ってるわ。
私はアメリカ人だけど今は日本に住んでいて、この円も含めて、たくさんの日本人の友達がいる」
その在り方が、あまりに心に残ったのか、ねこの王さまはアーモンドの形をした瞳を大きく見開いた。
「……何故、その状態で友人を作り、交流ができるのだニャ?
勝者の驕り、敗者の媚び。
──それならば、考えられる事もニャくはニャいが」
その言葉に、ブリジットは軽く両手を挙げる。
「さあ。
もちろん奇麗な話ばかりじゃないのも認めるわ。
今でもお互いのことを嫌ってる人はいるだろうし、戦争の傷跡が何もかも世界から消えてなくなったわけじゃない。
むしろいくつかは敢えて残されている。
戦争の悲劇を忘れないよう、二度と同じ過ちを犯さない為に」
ブリジット深蒼の瞳が、ねこの王さまの姿を正面から捉えた。
「でも確実に言える事があるとするならば。
どんなに人死にが出ても、どんな戦争が起こっても。ひと個人での絆が切れることはなかった。
今の私に、大切な友達がいるように。
……今でも、戦争の火種であった国民の子孫を、大切な人を殺されてなお『民』と呼ぶあなたのように。
──少しは、参考になったかしら?」
「個人の絆、か……」
過去を振り返るように、静かに訪れた時間に思考を巡らすねこの王さまに、冴来はそっと言葉を添えた。
「絆……王さまも、出来ることならしょうぐん様と、離れ離れになりたくないでしょう?」
「……さて、それを言われると非常に複雑だニャ」
ねこの王さまが、文字通り猫の顔の表情限界まで嫌な顔をしてみせる。
しかし、先程の深刻さは感じられない。
「一度で良いんです──お互い納得できる様、彼らとお話してみませんか?
今度は私達も一緒、きっと大丈夫」
その言葉に『一緒』に対する否定をしようと、ねこの王さまは周囲の灯りを囲む存在を見やる。
他の世界の来客を危険な目に遭わせるわけにはいかない。しかし、来るなと言っても来ようとする存在がいることを、ねこの王さまはようやくこの場をもってして理解した。
「そうだな、そう……することにする、ニャ」
僅かな未来に、期待を持つ。それは今までねこの王さまが忘れ、持つことのなかった感情。
その心のやり場を、ねこの王さまは今まで言葉を重ねてくれた、この場の全ての存在に懸けることにした──
◆ ◆ ◆
「ルナ、昼間の話ニャが」
昼間の件で落ち込んだわけではない。しかし、心のどこかでそれが尾を引いて。会話に混ざらず、一匹で猫カリカリをかじっていた瑠奈に、ねこの王さまが声を掛けた。
「王さま……」
ねこの王さまは、一瞬申し訳なさそうな顔をしてから、遠くに僅か見える、あちこちにある空間の歪みの一つを指差した。
「本拠地には、恐らくあそこから行けるニャ。
明日、向かうにゃ。一緒に来るなら安全ニャから一緒に行くニャ」
瑠奈の顔が花が綻ぶように明るくなった。それを見て、ねこの王さまは先程の己の様子を恥じながら瑠奈に告げる。
「でも、もしニャ。歌を歌う為に、単独になるのニャったら」
ねこの王さまはやおら立ち上がり、瑠奈に声を掛けて丘の上に唯一生えている樹を揺さぶった。
コツン、と落ちてくる木の実が二つ。
木の実の殻を割れば、今の夜空のように闇色の綺麗な石が二つ。
「これ自体はただの石ニャが──」
ねこの王さまは、その中の一つを両手に持って、何か聞き取ることの出来ない呪文らしきものを呟いた。
すると、その石はいつしか、僅かに光を放つ薄紫色の石へと変化する。
「流石に全員分は作れニャいが、敵地で一人になるかも知れないのが分かっているなら、お守り程度にも持たせないには行かないニャ。
ルナ、持っておくニャ」
「王さま……」
瑠奈は、そうして渡された仄かに光る石を、ゆっくりと手に取った。
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SF・ファンタジー
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2017年10月21日
参加申し込みの期限
2017年10月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年10月28日 11時00分
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