ラブ☆部活＆同好会デー｜リアクション

ラブ☆部活＆同好会デー

　北校舎の三階、視聴覚室で探検部によるスライド上映が行われていた。猫の着ぐるみの効果なのか。多くの生徒が参加していた。
　スクリーンに映し出される画像が変わる度に副部長の龍目豪が説明をする。
　また画像が切り替わった。薄暗い中をゴムボートで進んでいく一行が映し出された。
「これは去年、寝子原人の噂があった鼻岬洞窟を探検した時の一枚だ」
　画像は鍾乳洞を映し出した。冒険の雰囲気を語る一枚となっていた。
「この探検でロープの重要性を再認識した。命綱というだけではなくて用途に合わせた結び方を学ぶ必要がある」
　豪は用意した瓶をロープで結んで吊り下げる。振っても落ちない状態で簡単に解いて見せた。
「なるほど」
　前列の席にいた島崎嘉織が関心を覗かせた。
　スクリーンに小さな島が映し出された。
「寝子島の近くにある鈴島を探検した時の一枚だ」
　すぐに切り替わる。森のようなところで部員が水を飲んでいた。
「無人島のようなところでは飲み水の確保は大切だ。海から真水を作る方法もあるが、時間の関係もあるのでまたの機会に話すとしよう」
　その後も画像を伴った説明が続く。事前の準備や状況判断の大切さを大きな身振りで訴える。厳しい表情で語る豪に嘉織は真剣な表情で聞き入った。
　話が終わると豪は破顔した。
「寝子島には不思議がいっぱいだ！　探検に必要な知識を身に着けて、仲間と一緒にどんどん冒険しようぜ！」
　その檄にも似た声に生徒達は盛り上がった。
　嘉織が立ち上がる。軽く手を挙げた。
「僕、入部します」
「おう、そうか！　よろしくな！」
　突然、ドアが勢いよく開いた。全員の視線が向かう。猫の着ぐるみがよろけるように入ってきた。崩れるように両膝を突くと、両手で握り拳を作って叫んだ。
「俺は帰って来れたんだ！　自力で校内ダンジョンを攻略したんだ！」
　探検部の部長、邪衣士の心からの歓喜の声であった。
「ま、まあ、あれが部長の邪衣だ。どんなところでも冒険できる楽しい人物だよ」
　豪は苦笑いで士を迎えた。