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魔女の咬み痕
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【東館三階実験棟】
霧と化した
一条 紗矢香
の胴を鋏が通り抜け、しゅりんと閉じた。
「っ!!」
「こっちだ!!」
高杉 かよう
の呼び声へ向かって紗矢香は駆ける。
「……真白ちゃんまで。いつの間にはぐれたの……痛っ」
床へ散らばる割れたフラスコか何かを蹴とばし足が傷ついたが、背後にははさみ男。些末な傷などに構っている暇はない。
甲殻に覆われた左足が床を蹴るたび、震動が彼らの心をも揺らす。
紗矢香のろっこんは致命的な一撃を避けるため大いに役立ったが、全てをそのようにいなせるわけではなかった。紗矢香は肩口に鋏の片刃が突き刺さり、またかようも左腕や脚に少なからずの刃傷を負っている。
「くそっこの変態が、こっちに来るんじゃないわよ!! このっ!!」
それらは概ね、このシモーヌをかばったが故の負傷だった。彼女はその場にある実験器具の残骸を拾い上げてははさみ男へ投げつけている。
紗矢香には、無理を押してまで彼女を助けるつもりは無かった。自分と幼馴染、仲間たちの安全を最優先に確保すべきであり、見知らぬ女を抱え込む余裕などないはずだった。
「おっと、相手は俺だぜ!! よそ見すんなよ!!」
シモーヌめがけ鋏を突き出す男へ、かようの手から放たれた虎の子の硬球が直撃する。硬球は彼が持ち込むことのできた唯一の物品だ。
蟹の複眼を吹き飛ばされたはさみ男が苦悶を叫び泡を噴く間に、シモーヌは二人のもとへ走り寄る。
「ストラーイク! ってな、いやデッドボールか? 大丈夫かはすっぱ姉ちゃん」
「シモーヌさん、今のうちにこっちへ!」
「え、ええ。ありがと……」
二人がシモーヌを見捨てなかったのは、いつからか、彼女にどこか変化が生じたように見えたからだ。眉を逆さ八の字に吊り上げたまま、それでも彼女は殊勝に礼を述べた。
恐らくは先ほど、あの溶け落ち続ける女を目にしてからのことだろう。どうやら在りし日の女とシモーヌは親しい間柄であったらしい。
「こっちだ。あのはさみ男は趣味じゃねぇんでな、逃げるぜ」
「当然よ。あんなクソでかい鋏に切り取られるなんて冗談じゃないわ」
かようの先導で、三人は入り組んだ実験棟を駆ける。このあたりにはいくつもの実験室や、研究者のものと思われる個室が並んでいて、どこかに身を隠すこともできそうだ。
走りながらも隙を見て、紗矢香はスマートフォンの通話ボタンをタップする。
「何で出ないのよ、春彦……」
幼馴染の声は聞こえて来ず、呼び出し音が空しく続くのみだ。
「……死んでたら許さないんだから」
【東館三階実験棟のある個室】
実験機材。机の残骸。中身も知らない薬品。奇怪な肉が浮かぶ大瓶も。手に触れるものは何でも投げつけた。
「こ……来ないでっ!」
その全てが女と同化し、やがて循環し始める。
個室の一つへ追い詰められた
白 真白
の胸を、抑えようのない動悸と絶望が支配し始めている。
やみくもに逃げるうち、仲間ともはぐれてしまった。真白は今、目の前の女と二人きりで対峙している。
「あ、うあ……あ、ああ」
後ずさりながら、真白は自分の思い違いを悟っていた。
まるでホラーゲームのようだ。そんな思いで探索し、もっと奇妙なものは無いかと探した。
恐怖はあった。しかし同時に、高揚してもいたかもしれない。恐るべき闇に囲まれながらも、真白はどこかでゲーム感覚を楽しんでいた。
異形の女に逃げ道を塞がれるまでは。
「っ、?」
ずるり、ずるりとにじり寄る女から遠ざかるうち、背中が石壁に押し付けられる。
視線が揺れた拍子に、壁際の机がふと目に入った。
「こ、これ……」
額に収められたいくつかの写真を、真白は見た。
「これ、あなた……なの……?」
モノクロ写真のいずれにも写り込むどこか幼さの残る顔立ちの少女は、目の前の溶け落ちる女の顔によく似ていた。
ある写真では、少女はつまらなさそうに口をへの字にしたシモーヌ・デュボアの腕へ抱き着き、親しそうに笑みを浮かべている。
ある写真では、少女はよく似た顔立ちの金髪の青年とはにかみながら並び立っていた。彼は確か、リヒャルトと呼ばれていたろうか。
目の前の女へと視線を戻す。ディートリントの顔は熔解する苦悶に歪み、泣いているようにも見えた。真白へ手を伸ばす様は儚げで、助けを求めているようにも思えた。
「あなたも……苦しいの?」
もはや逃れようもないことを悟り、事ここに至って真白の覚悟は固まったのかもしれない。もはや自分の死が避けようもないのなら、せめて目の前の哀れな少女……恐らくそう歳も変わらないのだろう、彼女の心を少しでも安らがせてあげようと。そんな風に考えたのかもしれない。
「……いいよ。私があたためてあげるから……おいで」
真白は覆いかぶさるディートリントを受け入れた。
そして直後に、少しでも聖人ぶって受け入れてやろうなどと血迷った自分を激烈に呪った。
「ッぎ、ィッあ、がッあっあああっあああああ」
そこから真白が発する声はもはや、ひとつとて意味ある言葉を成さなかった。
まず、掴まれた真白の両腕が女と同化した。次には両脚が循環する女の一部となった。
波濤のごとく精神を撹拌する激痛にさらされながら、真白はなぜか、手足が無いこれからの自分の人生に思いを馳せていた。もはやまともな生活を送ることはできないだろう。イヤだなぁ。これじゃあゲームもできないよ。
もっとも真白の絶望は、強酸性の女に包まれすぐにも残らず溶け落ちた。
彼女はもう、何も心配する必要はない。
【東館三階廊下】
「あ、がっ……ぐ、う、ゥ」
喉が焼け付くように痛む。
楢木 春彦
の首、右腕、左足首にはくっきりと鎖の痕跡が刻まれ、服には赤黒い染みが浮かび上がっている。
意識をかき消しそうに全身を苛む苦痛に耐え、よろめきながらもスマートフォンの明かりを前方の暗闇へ掲げ、春彦はそうすることしか許されていない自動機械のように歩を進める。
「……ッぐ、ザヤ……どご、だ……」
潰れた声帯が呼ぶ声はひび割れてかすれ、誰に届くとも思えないが、それでも春彦は呼ばずにいられない。
彼を襲った異形はかろうじて人の形のシルエットを保ってはいたが、頭部には湾曲する二本の角を持ち、マグマのように赤く開いた口には鋭利な牙がまばらに並び、下半身はヤギに似ていて蹄があった。全身には赤錆びまみれの鎖を帯び、それを自在に繰って春彦を捕らえ弄んだ。まるで子どもが考えた冗談のような、滑稽で理不尽な怪異だった。
爛々と灯る真紅の瞳がいつ暗黒の向こうから現れるかと考えるだけで、春彦の心臓は締め付けられ痛む。浅くはない負傷によるものばかりではない。幼馴染の彼女をこんな暗闇の中へ放置している不甲斐ない自分へのやるせなさが、傷んだ身体以上に春彦を抉った。
「ザヤ……、? う……?」
すぐにもここから離れるべきであるのに、ぐらぐらと頭は揺れているというのに。不思議と春彦の視線は壁に貼り付けられた単なる紙片へと再び吸い寄せられ、いつしかそこに書かれている文脈を理解しようと試みていた。
カノウの変化は、実験の達成ラインを飛躍的に押し上げた。
そして、恐るべきものが私の目の前に現れ始めた。
実験は、編纂された被験者の夢想域が、現実の肉体へ変化を及ぼす段階にまで達していた。
ある被験者は半身をまるで蟹のように変化させた。またある被験者は肉体を膨張させ、人体のあらゆる部位を混ぜこぜに入れ替えられた。
ある被験者は、鎖を引きずる悪魔のごとき姿へと変えられた。私の故郷に伝わる伝承を語って聞かせた時、マリーがやけにそれを面白がっていたことを思い出す。クリスマスの夜に子どもらを拐かす、鉤爪を持った悪魔の話を彼女は気に入った様子で……
ぼんやりと眩暈に翻弄されながら、春彦はそれが自分を襲ったあの異形を指しているのだと気づいた。
足を止めていては、再びあれがやってくるだろう。しかし春彦は、文面の続きを読み込むのを止められない。
私は彼女と実験にのめり込んだ。この魔術を究めれば何を成せるのか、突き詰めずにはいられなかった。
しかし実験に水を差したのは、ノア・マッケラン学長その人だった。
学長は一方的に実験の即時中止を通達した。彼はマリーの偉大な──今となっては恐るべき──成果を危険視し、やがて引き起こされる何らかの魔術的暴走やパンデミックを危惧していた。
学長の措置は徹底していた。マリーや私や、ランベール教授と彼の学派に属する学徒たちを常に監視し、実験の再開を妨げた。
彼女が怒りを露わにした数少ないあの瞬間を、未だ忘れられない。マリーは恐ろしい顔をして学長を睨みつけていた。
当然にしてマリーは探究者たる己を曲げることはなく、やがて彼女は学派を広げるべく更なる信奉者を募り始めた。マッケラン学長はその名を校外にすら轟かせる魔術師の最高峰であり、いかなマリーとて単身反旗を翻すのは無謀に過ぎた。
私は彼女の押しも押されもせぬ右腕として隣に立つことを、望外の極みとして誇りに感じていた。
唐突に鳴り響いた軽快なリズムがスマートフォンの着信音であると気づくまでに、数秒の時を要した。先ほどからいくら通話を試みようとも一度とて通じなかったことも、着信音を消すまでのごく僅かな時を引き延ばしたかもしれない。
「……っガ!?」
鎖だ。遠くから届く耳障りで奇怪な笑い声に危機を察した直後、闇から伸びる鎖が春彦の首を再び捕らえ空中へと引き上げていた。
「あ、が、ぐ……っ、が、がが、がっァ!!」
悪魔めいた異形が鎖を振るうたび、春彦は背中から石壁へ、顔面から真正面に床へ叩きつけられる。
「……かっ……あ!! ッ……、……ザ……っ」
幾度も。幾度も。
「…………っ…………、…………」
首を括られたまま振り子のように揺れながら、春彦の思考はか細くも途切れることなく、願うのは幼馴染の彼女や仲間たちの無事だった。
奇跡を求む彼を嘲笑うように、ヤギの脚と赤い瞳、角を持つ悪魔は彼の顔が破裂しそうなほどに赤化し、瞳がまぶたの裏へ隠れ、呼吸を完全に止めるその瞬間まで、下卑た笑いを上げるのを止めなかった。
「………………」
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推理・サスペンス
ホラー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年07月27日
参加申し込みの期限
2017年08月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年08月03日 11時00分
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