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【東館二階大書庫】
書架の上には大人が立って歩けるほどの十分なスペースがあり、地上にうろめくあの肉混じりたちを避けて安全に進むことができた。
にもかかわらず、彼らは書架の上へ腹這いになって寝そべり、息を潜めている。
「何だ……あれは……!?」
聡明な
八神 修
ならば、それが先ほど相棒たる
椿 美咲紀
の示唆した、床の書物を赤く濡らした何者かであることにすぐにも思い至ったことだろう。
それでもなお彼が誰ともなく言葉を漏らしたのは、大書庫を司るその異形が彼の想像を越えていたためだ。
「しゅ、シュー君?」
「ああ。静かに。やりすごそう……」
努めて抑えた美咲紀の声をかき消すように、巨大な生物が空気を震わせながら書架の脇を通り過ぎていく。
身体つきはかろうじて女性に見えたが、胴部は象のように歪に膨張し、文字通りにはち切れた肌からは赤い雫が常に滴り続けている。
超重量を誇るだろう身体を支えている、鋭利な針のように細くねじくれて伸びた四肢は優に十数メートルの長さがあり、それらをごくゆっくりと動かし歩く様は野原を行くキリンか、あるいは海底を緩慢に移動するタカアシガニを思わせた。
膨れ上がった身体に比べ異様なまでに小さな頭には角帽を目深にかぶり顔は見てとれないが、少なくとも目線は書架の頂点と同じくらいの高さがあった。
「何なの、あれ……?」
新田 樹
が書架の天板に寝そべりながらリヒャルトへと尋ねたのは、あくまで興味本位に過ぎない。
恐怖に怯える少女を綿密に演出する樹へ、リヒャルトは身を縮みこませながらに語る。
「あ、あれは……ラモ・ダワ。ここの司書長だよ。だった、と言うべきかな……」
「司書長? 知っている人なの?」
「うん、まあ。書庫には僕も良く足を運んだから」
リヒャルトはさりげなく隣の
工藤 来夢
の身体で司書長とやらから自分を隠しつつ、青い顔で続ける。
「彼女は学内にも何人かいる、地元住人の協力者の一人だった。気立てが良くて、明るい良い娘でね……誰とでもすぐに打ち解けていたよ。僕とも……そう、レッドヒル・マリーとも彼女は親しく……」
「静かに!」
鋭く言ったのは、美咲紀だった。いつもの朗らかで奔放な彼女らしからぬ、ひどく切羽詰まった声だった。
「み……見てます。私たちを……」
異形と化した司書長の表情は見てとれない。しかし、確かにその顔は彼らを捉えていた。
瞬間。
「ひ、み、見つかった……!? こ、こ、こっちに、こっちにくる……!!」
リヒャルトの声に帯びた震えが深まったのは、彼の怯えのためだけではない。司書長ラモ・ダワがねじれて尖った四肢で歩くたび、床へ伝わる震動が書架をも揺らす。
「くっ、逃げろ!! 走るんだ!!」
不安定な天板の上を走るのは容易では無かったが、今は泣き言を返す余裕さえ許されない。彼らはすぐさま身を起こし駆け出した。
司書長は恐るべき歩幅で追いすがると、腕……あるいはもう、前足と呼ぶべきか。錐のごとく鋭利な先端を持ち上げ、獲物を刺し貫くべく突き出す。
「うわっ、あっぶない!」
「ちょっと、冗談じゃないわよ!?」
先端は樹と来夢の間を通り過ぎ、空気を裂いた。一撃でも受ければ当然にして、命は無いだろう。
「シュー君っ、あれ! 使えませんか!?」
美咲紀の発した機転を、修は即座に読み取った。
「っ……砕けろっ!」
彼がろっこんにより分解したのは、大書庫の天井から吊り下げられている、今は用を成していない豪奢なシャンデリアの留め金だった。
落下したシャンデリアは狙い違わずに司書長の頭上を直撃し、遠く山向こうから届くやまびこめいた苦悶が大書庫へ響く。
が、シャンデリアはわずかな一時を稼いだものの、巨大な司書長の質量をその場へ留めるには至らない。
「ど、どうするんだ、これじゃ追いつかれて……! ああ、あああ、イヤだ、僕はイヤだ。あんなのに貫かれて、そんな死に方は……!」
「んー。そうねぇ。なら、こうしたらいいんじゃない?」
来夢のやけに頼もしい口ぶりに、リヒャルトが期待の眼差しを向ける。
来夢には、行動に伴う大義名分があった。少なくとも彼女の中では揺るぎのない、絶対の理由が。漫画家である彼女は執筆に穴を開けることなど許されず、読者の期待を裏切ることもできない。
だからこそ彼女はそうすることに躊躇いひとつなく、リヒャルトには身構える隙すらも無かった。
「さ、行ってみよう! リヒャルトくんのちょっといいとこ、見てみたい♪」
「えっ」
来夢はリヒャルトを、書架の下へと蹴り落とした。
「あっあああああああ!?」
「大丈夫、キミの死は無駄にはしないわリヒャルトくん! アタシの次の作品で、ばっちり活躍させてあげるからね!」
「な……何てことを!!」
しごく真っすぐな感性の持ち主である修や美咲紀には、仲間を囮にする手管など思いもよらなかったろう。
幸いにしてリヒャルトは積まれた書物の山へと落下し軽傷ではあったが、背後には司書長のねじくれた四肢が迫る。彼の命は風前の灯火だった。
「たっ、たすけ……たすけっあああ、お願いだから!!」
「行くぞ、美咲紀!!」
「はいっ、シュー君!!」
来夢を責めるより、自らの身を案じるよりも、彼らはリヒャルトを救出することを選択した。
「な……無茶ですよ!」
樹が叫び止める声にも振り返らず、ふたりは書架に立てかけられている梯子を滑るように下り、呆然としたリヒャルトへと駆け寄っていく。
「あらら、囮は一人で良かったのに。どうせ彼、後で仲間を見捨てて逃げるけど、結局追い詰められて殺されちゃうってタイプなのにねー。まーいっか、あたしたちは今の内に脱出しよっか?」
「……仕方ないですね」
来夢の感性が歪んでいるなら、樹もまた内実はそう遠くない。
(肉壁が一気に減ったわね。まぁ、ゲームにはこういう逆境も必要かな? ふふっ)
眼下から響く叫び声に素知らぬ顔を返し、来夢と樹は書架の上を駆けた。
【西館一階講義棟】
ここが大学であるなら、半ば水没しているにしろ、この部屋は講義室なのだろう。木造の椅子の合間を縫うように、彼らは水飛沫を跳ね上げる。
「志波先輩、お願い……っ!」
「オッケー任せて! そのまま、そのまま……そこだッ」
香月 良衣
がろっこんにより増大した膂力で抑え込み、
志波 武道
の手刀が鋭く突き込まれ麻痺させる。動きを止めることさえできれば、後はジャックの剣が最後を務めた。
「ナイス、良衣ちゃん! このまま行こうゼイ!」
「うん。えと、了解」
振り返れば武道には幾度も、こんな状況を切り抜けてきた経験がある。もちろん心に動揺は少なからずあったが、それでも冷静を装い的確に振る舞うことはできた。
そして良衣にとっては、そんな彼もまた見習うべき先達に違いない。初めての怪異との遭遇に、頼りになる仲間の存在は彼女の胸の高鳴りを鎮め、勇気を奮い立たせる活力ともなっていた。
(ろっこん、初めて使うけど……いける。私、やれる。まとめてかかってこい……!)
対して
朝鳥 さゆる
と
史越 奈津樹
は、ごく淡々として撃退のサイクルを形作っている。
「……こっち。よろしく」
「うん、トドメ刺すよ」
さゆるのろっこんは発動していないものの、彼女の動きには淀みというものがない。そろそろ手に馴染んできた木切れを振るい、打ち据え、壁に叩きつけ押さえ込む。
その冷静な判断力と応用力が功を奏し、彼女はまだ深手を負ってはいない。自らを案じるそぶりも痛みを想像し身を引くつもりもないことが、結果的にさゆるを生かし続けていた。
そして奈津樹の手には、ジャックから借り受けた拳銃がある。
「よし、これでラスト……っと」
異形のこめかみへ銃口を突きつけると、先端が柔らかくめり込む感触があった。異形は七色の光を活性化させ、戯れる幼子のように無垢な笑みを浮かべる。
奈津樹が引き金を引くと、透き通る淡泊な白い肌が弾けて吹き飛び、最後の一体は動くのを止めた。
「……ひとまず凌いだな。悪くない腕だ。良いハンターになれるぞ」
「ジャックさん、大丈夫ですか?」
「ああ……初めてではないからな」
奈津樹が尋ねると、苦い顔の彼は左腕に右手を添えつつも口の端を吊り上げて見せた。
ひと時静けさを取り戻した空間に、水音が乱反射する。
「これ……魔術の授業、ってやつか?」
水飛沫にいくらか洗い流されてはいるものの、武道が見上げた黒板にはびっしりと文字や図解が書き込まれている。
『クロウリーに学ぶ神秘理論』。『心的結界術概論とその矛盾』。『タリスマンに刻むべき聖句と七大惑星の関係性について』。『効率的なアストラル像の具象化訓練法』。記された雑多な知識は、寝子島における異変や奇怪を目の当たりにしながらもまさしく物質文明に深々と浸かり日々を生きる彼らの目にはひどく縁遠く、曖昧なものに映った。
「……この紙は? 何かしら」
そんな中でさゆるが見つけた一枚の紙きれは、彼らの興味をそそった。
石壁に釘で打ち付けられているそれを、さゆるは戯れに読み上げる。どこか歌うように諳んじた。
実験を次なる段階へ進めるにあたり彼女が被験者として選んだのは、私とともに彼女の助手を務めるヤサブロウ・カノウだった。
もっとも、私が彼と会話を交わすのは常に必要な事案についての二言三言のみであり、積極的に交流を深めようなどと考えたことは無い。
彼はマリーと共に神秘大学の扉を開いた同郷にして幼馴染であり、彼女への情愛を隠しもせず臆面もなく語る恥知らずの一人だった。
私は知っていた。信奉者か良く懐いた犬のごとくに纏わりつくカノウを、マリーが次第に疎んじ始めていたことを。
「ヤサブロウ・カノウ……あの気が触れた東洋人か。あの男も魔女の傀儡であったのか……?」
ジャックの評するように、蜘蛛の子を散らすような逃走の直前に垣間見た加納 弥三郎の姿は、誰にも狂人と映ったことだろう。
「……同郷? 幼なじみ?」
かすかに首を傾けたさゆるはその響きにどこか奇妙な引っかかりを覚えながらも、続きを口にする。
実験においてマリーは他者の夢を覗き、そこに自身の痕跡として他愛のない文言を書き残した。そして目覚めた後、被験者が彼女の痕跡を一言一句違えず自動的に発するのを聞いた。
彼女は潜在意識下に書き込まれた言葉や命令が、現実においても発現されることを発見した。
人の夢を編纂することで、人を意のままに操れるのでは、と彼女は考えた。
皮肉にもその実例を最初に明確化したのは、嬉々として自らを投げ出し志願した、他ならぬカノウだった。
実験は見事成功し、マリーの手で夢想域を無作為に書き変えられ機能経路をずたずたに寸断されたカノウの精神は、正常を保てなくなった。
天井を虚ろに見上げとめどなく唾液をこぼすカノウをマリーは、くふふ、と笑った
途絶えた声に、武道はさゆるが紙片の内容を全て読み終えたものと考えた。
「? さゆるちゃ」
しかし彼女を顧みて、武道はそれが誤りであることを悟った。
視界の向こう、天井を何か小さな生き物たちが群れをなして這うのが見える。そこにぶら下がる、見慣れた顔の青ざめた表情も。
「え。あ」
隣に立つさゆるに残されていたのは、彼女の下半身だけだった。
「……え?」
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3人まで
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推理・サスペンス
ホラー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年07月27日
参加申し込みの期限
2017年08月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年08月03日 11時00分
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