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魔女の咬み痕
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【東館三階実験棟】
「……無事でいろよ。サヤ……」
仲間たちとはぐれたのは、手痛い誤算だった。
楢木 春彦
は歯がみする。
幼馴染の彼女はなかなかにしたたかだし、霧に身を変えるろっこんは大いに彼女を助けるだろう。そう心配することは無いかもしれない。
それでも春彦は、胸の奥に重たくのしかかる不安を取り払うことができなかった。肌の粟立つ寒気を覚える。
「うーん。耐性無かったら卒倒モノだよねぇ、これ」
「まったくだ。ずいぶんとグロテスクな部屋だな」
壁や机に並ぶ奇怪な物品たちを覗き込みながら、
壬生 由貴奈
と
千歳飴 楓子
は顔を見合わせ、ほうっと嘆息した。
春彦や楓子が手にしたスマートフォンの発する頼りない明かりだけが今この場にある唯一の光源だが、それらが暗闇の中から浮かび上がらせるのは、この場所をいかに狂気が支配していたか。その証明だけだ。
真っ当に生まれることのなかった奇児の標本。いかなる生物かの判別もつかぬ肉の塊、切り離されたパーツたち。放置されたフラスコに満ちた生々しい桃色の液体には、今もって泡が立っている。興味本位でその匂いを嗅いだ楓子は、部屋の隅に嘔吐した。
「あめちゃん大丈夫?」
「おゥっ……ぐっ、ああ、ひどい臭いだ。ここは、何かの実験室というところか……」
「みたいだねぇ。あ、何か書いてある」
えずく楓子の背をさすりながら、由貴奈は机の上に開きっぱしにされている、紐綴じのノートに書きつけられたいくつかの文節を読み上げる。
「えーっと……『夢境構築学』? 夢想域機能マッピング実験、第三版の手順をここに記す。実験はジメチルトリプタミンやハルマリン、シロシビン、イボガイン等を主軸とする指向性混合幻覚剤の投与にメスメル式磁気催眠法を併用して行う。深度六以上の強ヒプノシス状態を維持し、磁気刺激と口頭による思考誘導により被験者の夢想域へ干渉し経過を記録する。この時、グラス・ハーモニカの音階を一定の規則性をもとに変動させることで夢想域の顕在化がより鮮明になる効果が確認されており……」
「?? 何のことやらさっぱりだな」
ここで何らかの実験が行われていたことには推測が至るものの、その詳細や目的については判然としない。
「なあ……こっちにも何かあるぜ」
それらの理解をいくらか深めたとするなら、それは春彦が床から拾い上げた紙片だろう。
由貴奈と楓子も傍らから覗く中、彼はそれを読み上げた。
マリーは第一の手順と称し、我が師ランベールへ取り入った。
師は既に壮年の盛りを過ぎ枯れかけた男ではありながら、一方でその芯は紛れもなく男であった。そして彼女は目的のため、自らの女を余さず活用することを厭わない性質だった。
師の陥落は容易に成った。
彼女を取り巻く派閥の中で、その頃の私は既に右腕と呼ぶに差し支えない地位にあったにも関わらず、彼女はランベールを操る妖艶な手管をたびたび私に見せつけた。
そうして嫉妬にかられる私を、彼女はこれも必要な手順であるのだからと優しく頬を撫で上げながら耳元にささやき宥め、そのたび私は屹立した。
当然にして、彼女はそれに気づいていたことだろう。私は彼女の手のひらの上で小躍りする愚昧な道化だった。
マリーはランベールと同様に、人が睡眠のさなかに見る夢には特別な力があるのだと確信していた。
他者の夢を覗き込み、探り、可視化する方法を実証していくその過程はそれ自体が彼女の目的であり、手段でもあった。実験を行う時、マリーはのめり込んでいるように見えた。
そんな時に彼女の横顔へ生じる開けっ広げな隙はたまらなく魅力的で、それは私が彼女を支え続ける理由ともなった。
ランベールから完全に主導権を奪い去ると、マリーは実験を更なる段階へ進めることを決めた。すなわち
「……っが!?」
春彦は、紙片を最後まで読み上げることができなかった。
鎖だ。首に巻きつけられた鎖が彼の呼吸を止め、実験棟に横たわる闇の中へと引きずり込んでいく。
「ならっきー!?」
「にッ……逃げ、ろ……ッ!!」
手を伸ばしかけた由貴奈を追いやるように制し、春彦は明かりのない深淵へ吸い込まれ消えた。彼を捕らえた何者かの赤い瞳が二つ、冷たく輝くのが見えた。
「ああ……由貴奈氏。確かに、逃げたほうが良さそうだ……」
「でも、ならっきー助けなきゃ……あ」
暗澹たるこの空間に潜む者は、鎖の繰り手ばかりではない。
頭上から、きち、きち、きちきち。音が落ちてくる。
それは、巨大な甲虫だった。恐ろしく長大で鋭い吻をもたげながら、そいつは由貴奈と楓子を見下ろしていた。
【西館二階医務室】
ぎいと、硬い金属へやすりをかけるような不快音。
物陰へ身を潜め、奇声がやがて遠ざかっていくのを確かめると、
化神 小次郎
は肺に溜めていた息を吐きだした。
「はあ……良かった。行っちまったぜ」
「ああ、上手くいったな。助かった」
周囲を確かめつつ
新田 亮
が言うと、小次郎は照れたように頭をかく。
肉混じりを遠くへ追いやったのは、小次郎のろっこんだ。幻影を作り出し囮とすれば、まともな思考力を持たないらしいあの異形たちをある程度操ることも可能で、危機回避には大いに役立った。
「よし。鷹司は今のうちにフォーツの治療を。俺たちは何か、武器になるものを集めよう」
「分かった」
彼らはひとまず、いくつか纏められていた点滴用ポールを手に取り武器とした。また消毒用のエタノールや、保管されていた清潔そうな包帯、シーツ。それに異形の何かを退けるのに役立ちそうな、劇薬の類もいくつか確保することができた。
鷹司 凜太郎
が
スピカ・フォーツ
に応急処置を施すのを待ってから、彼らは再び医務室の奥へと歩みを進める。
「歩けるかい? スピカ君」
「……うん。ありがとう、リンタロウ……迷惑かけて、ごめん」
「気にすることはないさ」
ふたりは小さく笑い合ったが、互いの心には灰色めいた不安のヴェールがかかっている。
先に立って歩くのは、加納 弥三郎。もっとも彼に他者を先導しようなどという考えは無いのだろうが。
「そうだ。俺はそうしたはずだ。あの時確かに。こっちだ。覚えてる、もちろん、もちろんさ。ああ、ようやく、もう一度、ああ、あ、あああ。俺、君に、俺は、もう一度……」
足取りは危ういものの、行き先ははっきりと認識しているようで、虚ろな瞳を闇の向こうへ真っすぐに向けている。
「さて。何が待っているのやら」
どこか歌うように、
日向 透
の声が石壁に反響する。
無数に並ぶベッドの合間を進んでいるが、彼らはそこで静かな寝息を立てる、シーツをかぶった何かしらの怪異を起こさぬよう細心の注意を払わねばならなかった。
「何が眠っているんでしょうね。さすがにシーツを剥がして確認する気にはなりませんが」
「ああ、絶対良くないモンだぜこれ……も、物音とか立てるなよな?」
「ええ、もちろんですよ。ふふふ」
「なんで楽しそうなんだよお前は……!」
恨みがましく睨んだ小次郎へ、透はにこやかに笑みを返す。
「ったく……って、桃川、大丈夫か? おい、震えて……」
「っひ!?」
桃川 圭花
は未だ気丈を装ってはいるものの、仲間たちの目に映る彼女の怯えは小次郎以上だ。眼鏡をかけていない圭花はいつもの度胸にあふれた彼女ではなく、気弱なただの少女に過ぎなかった。
「ッあ、だ、大丈夫。何でもないわ、気にしないで。大丈夫だから……私は大丈夫。大丈夫……あの人が言ってたじゃない。マリーって人が、私たちを迎えに来てくれるって。だから平気。私は平気……」
「でもお前、真っ青じゃないか」
仲間たちは彼女へ、心配を寄せていた。
その身の安全ばかりではない。あくまで他者にすがるのを良しとしない彼女に蓄積された恐怖が、いつか外へ向け弾けるのではないかと憂慮していた。
「なあ、おい……」
「へ、平気だったら!!」
そして圭花が小次郎の手を振り払った瞬間、そんな懸案は現実のものとなった。
ぱしりと音が走り抜けて、本来の圭花が持ち合わせていたはずの、華やかにして凛と立つ堂々たる一本の支柱は、脆くも崩れ去った。
「お、お前……!」
「……っあ……ああ。ご、ごめんなさ、私そんな、つもりじゃ……あっ、あ、あっああ」
不意にベッドへ触れた圭花の手が、ろっこんを暴発させた。気付いた時には遅かった。
分解されたベッドが傾いて崩れ落ち、鈍く重い轟音をあたりに響かせる。同時に覆いかぶせてあったシーツがするりと滑り落ち、それは現れた。
「これは、何だ……?」
亮がプロテクタを縫い付けたハンマーグローブをはめた拳を構え、透や凜太郎が点滴ポールを突き出す。
繭。蛹。卵。見たままを言い表すなら、ベッドからまろび出たのはそのようなものだ。しかし、半ば透けるほど薄い殻か膜の中には仄かな虹色に発光する何かがうごめき、光は一定のリズムで脈打っている。
「生き物の……卵でしょうか?」
透が口にした直後には、周囲に並ぶベッドの上にもまた、異変は起こり始めていた。
「うわ、ひゃあああああ!? た、助けっ、あああああ!!」
触手だ。発光する触手がシーツの中から伸び、小次郎を後ろから捕らえ瞬く間に天井近くへ持ち上げる。
「くっ、これは……!?」
「リンタロウ……っ!」
凜太郎の手足にもそれは絡みつく。恐ろしい力で締め上げ、身動きが取れない。
とっさにスピカが投げつけた薬瓶が繭の上で砕け、緩んだ隙に拘束を抜け出したものの、繭たちは残らず目覚めてしまったのか、そこら中から触手は伸びていた。
「く……離れるなよ!! 日向さん、化神の触手を引き剥がしてくれ! 俺はこっちを!」
「さて。そう上手くいきますか……はは、深刻な状況になってきましたねぇ?」
亮は叫び、ろっこんとその進化能力を用いて全力で繭を殴りつける。手応えは薄く、ゴム毬のように弾んで床へ落ちたが触手の動きは鈍らない。
透は薄く笑みながら点滴ポールで小次郎を捕らえた触手を突く。一切の躊躇なく全力で叩きつけたが、やはり効果は薄い。
「あ……あああ、違うの。ごめ、私、そんな……そんなつもりじゃなかったの、だって私……」
目の前で、複雑に混ざり合う七色の燐光が舞っている。圭花の瞳に映るのはおよそそのように曖昧な像であり、何が起きているのか、何を起こしてしまったのかを知ることはできない。
ただただ、圭花は純粋なる恐怖に震え続ける。
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3人まで
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推理・サスペンス
ホラー
バトル
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年07月27日
参加申し込みの期限
2017年08月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年08月03日 11時00分
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