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午後六時のスーパーマーケット
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小さな手が四つ、シンクの縁に並んだ。
「手伝う」
「手伝う」
そっくりな二対の瞳に真っ直ぐ見上げられて、
鴻上 彰尋
は制服のネクタイを緩める手を止めた。学校から寄り道しないで帰るなりの、台所で待ち受けていた双子の弟妹から矢の催促に思わず苦笑いする。頷こうとするより早く、双子は制服のままの腰にしがみついてきた。
「待って、待ってくれ、」
準備するから、と双子をなだめ、大急ぎで服を着替える。
帰りの遅い母と兄に代わり、普段の食事の支度は彰尋が受け持っている。ついこの前まではお腹が減ったとぐずるばかりだったのに、この春小学三年になってからの双子は何でもかんでも手伝うとまとわりついてくるようになった。正直なところ、邪魔だと思いもする。一人の方が手早く出来るのにと思いもする。それでも、これも成長のひとつなのだろう。
「今日のご飯はちらし寿司にしよう」
だから、帰路を辿りながら考えていた。今日はふたりに色々と手伝ってもらえるようなご飯にしようと。だってご飯は作れるに越したことはない。
言った途端、ご馳走だご馳走だと飛び跳ねる双子に笑いかけ、兄は腰にエプロンを巻いた。目を輝かせて指示を待つ妹には炊飯器の釜に米を入れて渡し、弟には冷蔵庫から出した玉子とボウルを渡す。米粒を落とさぬように慎重に研ぎ終わった米は炊飯器にセットし、恐る恐る割ってかき混ぜ終わった玉子のボウルを受け取る。
(包丁はまだ早い、よな……?)
双子のきらきらした視線を浴びながら錦糸卵を作り、細切りにした人参と椎茸を含め煮に、同じ大きさに切った胡瓜は塩を振って水を抜いておく。
出汁を取って塩と醤油で味を調え、水切りした麩を放り込んでお吸い物にする。双子にちぎってもらった三つ葉は一度冷蔵庫にしまっておく。
ここまでで、午後五時半。
「……よし」
下準備を済ませ、彰尋はエプロンの紐を解いた。すぐ帰るからと双子に留守番を頼み、財布を手に買い物に出る。
黄昏のシーサイドタウンを歩きながら、
花厳 望春
はちらりと唇を尖らせる。
(晩飯当番は俺じゃないのに)
上から順番に三人居る姉の名を挙げ、うん、と頷く。
(ほら、やっぱり夏姉ぇの番だ)
何度確かめても、今日の料理当番は三女。シーサイドタウンに姉弟の四人で暮らす花厳家では、その日の料理当番が買い出しに行くことになっている。それなのに、
(なんで俺が買い出しに行く羽目に)
――近くにいるからいいじゃん
学校帰りに掛かって来た姉からの電話口の言葉を蘇らせた途端、その一言であっさり押し切られてしまった自分の不甲斐なさまで思い出してしまった。どこにいるのか聞かれ、素直に答えたのも油断が過ぎたのかもしれない。
舌の上で転がしていた棒つきキャンディをガリリと噛んでしまいそうになって、望春は知らず強張っていた頬から力を抜く。
(えーっと、)
買って来て欲しいものはメールで送ったと電話で言っていた。携帯電話を取り出し、メール画面をたちあげる。
『カレー作るから、なんかテキトーに。隠し味的なものもよろしく』
(……いや、テキトーすぎるだろっ!)
適当も適当な三女からの指示に、思わず全力で突っ込む。
(隠し味的なものってなんだよっ!)
ああもう、と携帯電話を制服のポケットに入れる。難しくしかめた栗色の瞳を上げ、時々訪れるシーサイドタウンのスーパー『はちがぶち』の電光看板を見遣る。昼過ぎに来ると大体閑散としているけれど、午後六時前の今は案外人が多い。皆夕飯の買い物なのだろうか。
(えーっと……)
駐輪所の脇に置かれたごみ籠の前で飴を食べきろうとしている間に、自転車が一台、勢いよく滑り込んできた。
「っと」
「あっ、ごめんなさいっ」
目を丸くする望春に、スカートの裾を翻して自転車から元気よく飛び降りた黒髪の少女がぺこりと深く頭を下げる。
「ああ、いや、平気」
首を横に振り、望春はキャンディの棒をごみ籠に捨てた。寝子島高校生らしい少女は慌てた様子で狭い駐車場の端にある時計を見上げ、安心したように胸をなでおろす。
「夕方の割引セールに間に合いました」
望春の視線に気づいてか、
宮祀 智瑜
は僅かに照れたような表情を見せた。ああ、と頷く望春にもう一度頭を下げ、今度はのんびりした足取りで店内へと向かう。
智瑜の後に続く格好で、望春も自動ドアを潜った。籠を手に、出入り口すぐのところにある野菜売り場の前に立つ。とりあえずは、カレーに使うものを揃えよう。
(にんじん、たまねぎ、じゃがいもにカレールゥ、)
定番野菜とルゥを籠に入れてから、望春の足が止まる。
(『隠し味的なもの』……)
大雑把すぎる指示に眉を寄せる。分からなかったからと買わずに帰れば、辛辣な言葉を浴びせられるかもしれない。最悪再度買い物に放り出される可能性だって否定できない。
(カレーの隠し味っていうと、)
野菜のコーナーを過ぎ、魚介類の並ぶ一角を過ぎる。空の籠に何を入れるでもなくぼんやりと立つ痩せて小柄な少女の後ろを通り過ぎる。大分前からそこに立っているのか、何だか退屈そうな所在なさそうな顔した長い銀髪の少女も、もしかすると夕方の値引き商品を狙っているのかもしれない。
よくよく見回せば、あちらこちらに値引き待ちらしい奥様方や学生らしい姿も見える。
時間になればレジが混雑すると読み、望春は足を早める。買うものを買って早く帰ろう。遅くなればなるほど、待ちくたびれた三女に叱られる確率が高くなる。
乾物の棚を横目に通り、お菓子の棚の前で足を緩める。
(秋姉ぇはチョコ入れるって)
次女から教えてもらったことを思い出し、色んな種類の板チョコが並ぶコーナーの前、野菜とカレールゥの入った籠を脇にしゃがみこむ。
(いや、でも)
次女ならばともかく、食い意地の張った三女にチョコレートなんて渡せば最後、カレーに入れる前にそのまま食べ尽してしまいそうだ。挙句、チョコを隠し味にと買って来たお前が悪いと難癖をつけられそうだ。
三女にはいくつもの前科がある。少し前にも、頑張って作って冷蔵庫で冷やしていたシュークリームを、人数分作っていたにも関わらず残らず全部食べ尽された。
あの春の日の怒りをうっかり思い出し、ぎゅっと眉を寄せる望春の背後、軽い足音が止まる。人の気配に振り返れば、駐輪所で顔を合わせた智瑜が新作チョコレートに熱い視線を注いでいた。望春と目が合って、智瑜はふわりと人懐っこい笑みを浮かべる。
「あっ」
花のかたちしたチョコレートに手を伸ばそうとした瞬間、智瑜は店内の時計の針が示す時間に気が付いた。午後六時十五分。老店長が赤マジックを手に値引きを書き込み始める時間。
「いけないっ」
呟いて、智瑜は生鮮売り場へと足早に向かった。何を買うにしても、まずは目的のおかずを買ってからにしなくては。
新作チョコに後ろ髪を引かれる様子の少女の背中を見送り、望春も立ち上がる。三女の前科的に、チョコレートはいけない。『隠し味的なもの』は別のものにしよう。
(何にするかなぁ……)
混雑し始める惣菜や刺身売り場を視界の端に捉えつつ、人の少ない売り場へ売り場へと向かううち、気づけば立っていたのは製菓材料の棚の前。折角買い物に来たのだし、とお菓子作りを趣味とする男子高校生はちょっと楽し気にお菓子の材料を物色する。
(何か買って帰ろうかな)
少し前から気になっていた製菓材料のアガーの小箱を見つけ、望春は頬を緩める。ゼラチンよりも透明度の高いゼリーを作ることのできるアガーを使えば、水の雫のような水ゼリーや琥珀色した綺麗な珈琲ゼリーも作ることができる。
そこまで考えて、望春の眼が不意に輝いた。
(……あ、珈琲!)
カレーの隠し味として使うと苦味とコクを加えることが出来ると、いつか聞いた気がする。思い出すまま、望春はインスタント珈琲の小瓶を手に取った。
(うん、これに決めた!)
最悪、もしもうまく使えなかったとしても、
(俺が美味しい珈琲ゼリーにして食べてやろうっと)
もちろん、姉たちの分も忘れず作ってあげよう。
三女のおつかいと自分の好きなものを首尾よく手に入れ、ほくほく顔でレジへと向かう望春の後ろ、総菜・刺身売り場のあたりではそろそろセール品争奪戦の気配が漂い始めている。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年07月12日
参加申し込みの期限
2017年07月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年07月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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