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午後六時のスーパーマーケット
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茜色した道に影がふたつ、並んでいる。
並んで歩く影から目を上げれば、春爛漫のあの日から付き合い始めた大好きな彼女の横顔がある。
夕陽の色よりも鮮やかで優しい紅茶色した髪を冷たい夕風に揺らす
壬生 由貴奈
の顔を斜め下から僅かに仰いで、
卯木 衛
はうっかり緩んだ頬を片手で抑えた。
「いやぁ、今日も楽しかったよぉ」
衛の視線に気づいてか気づかぬままにか、由貴奈がいつものようにふうわりと微笑む。夕陽の色に染め上げられた睫毛を柔らかく伏せる笑顔が綺麗で、その綺麗な笑顔を向けられているのが他でもない自分自身で、衛は飛び上がりたいくらい嬉しくなる。
「というわけで、今日はうちでご飯食べていかない?」
ふわふわとした笑顔でふわふわと言われた言葉に、衛はますます嬉しくなった。
(由貴奈さんのごはん!)
「行きます!」
「何ならいつぞやみたいに泊まっていってもだいじょーぶだよぉ」
「とまっ……!」
何でもないことのように笑う由貴奈の言葉に、兎が耳を立てるようにピッと一瞬固まって、けれど脊椎反射で頷く。
「行きます!」
頷いてから、言葉の意味を深く考えた男子高校生は水に紅いインクを散らしたようにぶわわっと頬を真っ赤に染めた。
「い、……あ、」
反射で答えた口を両手で抑え、照れ笑う。
「いやー……口は正直だなぁ」
自分で自分に茶々を入れながらも、ますます熱くなる頬を両手でぱちぱち叩く。
夕陽より真っ赤になる衛をよそに、由貴奈は冷蔵庫の中身を頭に浮かべる。そういえば、食材が大分少なくなっていた。自分一人分ならどうにでもなるけれど、二人分となればそうはいかない。
(せっかく二人でごはん食べるわけだし)
心に呟いた途端、ふわりと胸に宿る温かさに思わず笑みを零す。
「うーちゃん」
「はい!」
「一緒にスーパーに買い物行ってくれる?」
「ん、荷物持ちなら任せてください!」
スキップじみてその場でぴょんと飛び跳ねがてら、衛は由貴奈に向けて力こぶを作って見せた。
(……うん、無いな!)
自分からアピールしておいて、どうひいき目に見てもちっとも力こぶになっていない二の腕をもう片手でぺちんと叩き、衛は何にもなかったような顔を装う。
なんだか悲しいような顔をする衛に、由貴奈は思わず頬を緩めた。
「うーちゃんは可愛いねぇ」
つくづく思う。このひとは、とても可愛い。可愛くて優しくて、だからこそ、きっと強い。
「というわけで、白百合ストアへれっつごー」
「おー!」
夕暮れの路をふたりで歩いて、向かうのは由貴奈の家の最寄駅である星ヶ丘駅からほど近い白百合ストア。
自動ドアを潜った途端に漂って来る、奥の惣菜コーナーからの揚げ物のにおいに衛は鼻をひくつかせた。
「ほあー……」
そうしながら、広くない店舗に整然と並ぶ野菜に果物、缶詰に酒類に乾物、豊富な商品をきょろきょろと見回し、蒲公英色の瞳をまん丸にする。
鮮やかな赤や黄色の茎が野菜とはあんまり思えないスイスチャード、幾何学模様にも見える不思議なかたちしたロマネスコ、緑色の花みたいでどうやって食べればいいのか悩むアーティチョーク。
「なんか知らねえ食べ物もいっぱいある」
「他のスーパーよりちょっと高いけど、いいものも多いと思うよぉ」
慣れた様子で入口近くに置かれた籠を手にする由貴奈を、衛は素直な尊敬の眼差しで見る。
「あっ、俺カート押します!」
「ありがとー」
由貴奈の後に続いてカートを押しながら、衛は目が回るような思いに駆られる。これだけたくさんの品物が売っていると、どれがいいのかさっぱり分からなくなりそうだ。
「俺だったらおつかいバナナくらいしか買えそうにねえけど……」
言いつつ青果コーナーを見遣れば、小指くらいのモンキーバナナから契約農場の特選バナナ、りんごの味がするらしいバナップルにちっとも甘くなさそうな青バナナ、多種多様なバナナが山積みになっている。
「バナナも無理かも……」
バナナひとつにも迷う自分とは違い、由貴奈はほとんど迷う素振りも見せず、黄色のズッキーニにオレンジの人参に玉葱にセロリに、色々な野菜を籠へ入れていく。
(由貴奈さん家庭的だなぁ……いいなあ……)
「すげー……」
「ん?」
意識せずに漏れた心の声を拾い、由貴奈が振り返った。衛はぶんぶんと首を横に振る。
牛肉と鶏肉のパックを手に、由貴奈は笑う。ふたりでこうしてスーパーをうろうろとするだけで、心が無性に弾んだ。
ひとりではない、というのはこんなにも嬉しい。
夕飯の材料を買い、店を出る。セロリの葉が覗くスーパーの袋を手に歩き出そうとする由貴奈の右隣に、衛は小走りに駆け寄った。
「俺が持つんで!」
言うなり由貴奈の手から袋を受け取り、左手に持ち替える。
「ありがとぉ」
「あの、手つないで帰りましょう」
「じゃあ空いた手で繋ごっか」
続けた言葉が重なって思わず微笑む由貴奈に、衛はパーカーの裾でごしごしと擦った掌を差し出す。
「ただいまぁ」
玄関の灯りをつけながら、由貴奈が暗い廊下に呟く。
「おかえりー」
何気なく後ろから聞こえた声に振り向けば、衛がちょっと驚いた顔をしていた。丸い目をぱちりと瞬かせ、何でもないように笑う。
「おかえりなさい」
そうだ、と由貴奈は思い出す。ただいまの言葉には、おかえりなさいの返事があった。ひとりで暮らすうち、真っ暗な廊下と部屋にただいまと呟き続けるうち、そのことをほとんど忘れてしまっていた。
「うん、……ただいま」
ただいまと笑えば、お腹の底から元気が湧いた。
「よーし、早速作っていくよぉ」
玄関に靴を揃え、由貴奈は腕まくりをする。廊下に立って振り返ってみれば、衛は玄関先で靴を脱ぎながらどこかソワソワと廊下に視線を彷徨わせていた。
「うーちゃんも手伝ってくれるー?」
声を掛けた途端、衛の瞳は真っ直ぐに由貴奈を見る。
「はい! 何すればいいですか!」
目を輝かせて駆け寄ってくる衛のお尻にあるはずのない尻尾を見たような気がして、由貴奈はまた笑った。
「そういえば、うーちゃんって家で料理とかするの?」
キッチンのシンクで並んで手を洗う。
「ちょいちょいお手伝い程度って感じです」
お皿出したり野菜洗ったり、と指折り数える衛の横顔に、由貴奈は彼の両親を思う。真っ直ぐで優しい瞳を持つこのひとの両親は、やっぱりきっと優しいひとたちなのだろう。
「料理は覚えておくといろいろ便利だからねぇ、一人暮らし始めた時とか、父の日母の日に贈り物する時とか」
由貴奈の指示に従って野菜を洗ったり鍋を準備したり、こまごまと手伝いながら、衛は頷く。
(成程)
覚えておけば、確かに便利そうだ。それに、手際よく料理できる男はきっと格好いい。だって現に目の前の由貴奈さんはとっても格好良く見える。
「俺も覚えようかな」
鶏肉を焼く由貴奈の隣でプチトマトの湯剥きを手伝いつつ、衛は考えを巡らせる。
(由貴奈さんに教えてもらうのと、)
幼馴染に教えてもらって彼女をびっくりさせるのと、どちらがいいだろう。
そんなことを考えながら、鶏肉の脇でオクラや玉葱を焼き始める由貴奈の横顔を盗み見てみる。料理経験のない衛には何が出来上がるのか分からないけれど、由貴奈の動きに迷いはない。
(俺が料理作ったら喜ぶかな)
「今日は恋人になったうーちゃんに初めて料理を作ってあげる日だからね、久しぶりに本気出すよぉ」
別の鍋でマカロニを茹で始める由貴奈の言葉に、衛は一瞬で心を固めた。
(うん)
たった今、こうやって作ってもらって死ぬほどうれしい。だから、こっそり習ってそのうちご馳走しよう。
(きっと喜んでもらえるきがする!)
うっかり力がこもった衛は、プチトマトを一個握りつぶした。
「……はい、完成」
牛肉ミンチたっぷりのミートグラタンに、じっくり炒めて甘味を引き出した野菜満載のミネストローネスープ、それから鶏肉と彩り野菜のマリネ。
「うわー!」
テーブルに並んだ料理に、衛は拍手もせんばかりに目を輝かせる。
「すっげーうまそう!」
ミートグラタンの焼けたチーズとパン粉の香ばしい匂いに、ミネストローネスープのトマトと野菜の甘い匂い。鼻をくすぐる美味しそうな匂いに衛は待ちきれない風に椅子に掛ける。
「良かった」
花を生けた花瓶をテーブルの端に置き、由貴奈は目を細める。ひとりきりの食卓をせめても彩るために買った花は、けれどふたりの食卓に飾ればいつもよりもっと華やいで見えた。
(桃色月見草と、カラー)
花屋で何気なく買った花の名を思い出す。桃色月見草の花言葉は『清純』、『自由な心』、それから『新しい恋人』に『固く結ばれた愛』。白いカラーの花言葉は『清浄』、『乙女のしとやかさ』。
「花、綺麗ですね!」
「ん、そうだねぇ」
花言葉を頭になぞるうちに、知らず熱が頬に上った。掌で頬を擦り、由貴奈は衛と向かいの席につく。
「いただきます」
「めしあがれ」
ふたりで作ったごはんに手を合わせ、ふたりでごはんを食べる。
「うめ~!」
そうして、作ったごはんを美味しいと言ってもらえる。それはとても幸せで嬉しいこと。
「そうだ」
幸せついでに、由貴奈はスプーンにミートグラタンをすくう。丁寧に吹いて冷まし、
「こういうこともやりたいなーって思ってたんだよね。はい、あーんして」
衛の口元にそっと差し出す。
「って、……」
「あーん」
思わず固まる衛を再度促す。衛は感極まったような顔をした。そーっとそーっと、まるで夢が覚めるのを恐れるような神妙な顔でスプーンに向けて口を開ける。ぱくり、とグラタンを含み、
「あ~……」
泣き出しそうな笑顔を浮かべた。
「幸せの味がする」
大袈裟だなぁ、と笑いかけて、由貴奈はその唇を柔らかな笑みに変える。同じスプーンで同じものを口にする。
「そうだねぇ、……」
知らず、瞳に笑みが滲んだ。
「幸せの味がするよぉ」
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年07月12日
参加申し込みの期限
2017年07月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年07月19日 11時00分
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