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午後六時のスーパーマーケット
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(きんぴらごぼうに春雨サラダ、……贅沢を言っていいのならお刺身も……)
総菜コーナーをうろうろとして棚に残る惣菜を確かめながら、
塔ヶ崎 璃亜
は今日の夕飯を考える。時間が来て店長のお爺さんが値引き価格を書き込んだ瞬間から、争奪戦は始まる。殺到する奥様や学生をかきわけすり抜け、どうにかして激安惣菜を手に入れたい。
魚介コーナーの棚に残る商品の確認に向かう。
(鰹のたたき、ホタテ、ほたるいか……)
新鮮な旬の魚の刺身に見惚れて歩いていて、
「きゃっ」
「あっ、」
向かいから元気よく歩いてきた黒髪の少女、智瑜と正面からぶつかってしまった。智瑜のふくよかな胸にほとんど顔を埋めそうになって、璃亜は焦る。
「ご、ごめんなさい……!」
雪より白い肌をさっと赤く染め、頭を下げる璃亜に、智瑜は慌てて首を横に振る。
「私こそごめんなさいっ、チョコばっかり見ちゃってました」
「ちょこ……?」
不思議な顔をする璃亜に、智瑜は照れ笑いを浮かべて見せた。学校の廊下で見たことのある少女は、もしかすると隣か近くのクラスの子なのかもしれない。
「お刺身狙いですか?」
「あ、……はい」
「私もです!」
聞けば、旧市街に住むという璃亜もこのスーパーをよく利用するらしい。
「じゃあ、安くなる時間はばっちりですね!」
少女たちは揃って店内の時計を見上げる。見上げた視線を戻せば、丁度、店の調理場から白衣にエプロン姿の老人が出てくるところだった。
「今晩は、智瑜ちゃん、璃亜ちゃん。おや、鴻上さんとこの坊ちゃんも」
幼い頃からの常連であるふたりと、シーサイドタウンに住む彰尋も目にして、老店主は目を細める。
「今晩は。……もう坊ちゃんなんて齢ではないですよ」
「今晩は、八ヶ淵のおじいちゃん!」
「今晩は。お世話になります」
同じように頭を下げる彰尋と智瑜と璃亜の頭を撫でんばかりに、老店主はしわくちゃの顔をますますしわくちゃにして笑った。
「よしよし、それじゃあ、いつもの始めようかー」
言いつつ、老店長は赤マジックの蓋を取った。迷いのない動きで次々と刺身や惣菜のパックに直接値引き後価格を書き込んでいく。大抵のものは半額、下手をすれば八割引きな商品に向け、待ち受けていた人々がわらわらと群がる。
「負けるわけにはいきません!」
小柄な痩せた体をめいっぱい使い、璃亜が総菜売り場へと一目散に駆け込む。
「今日の夕飯の為!」
負けじと智瑜も刺身売り場へ飛び込む。割引される前に売り切れていたいつかの日のことを思えば、何種類かの商品が残っている今日はまだ勝ち目がある。
「う、わ……」
刺身や総菜売り場に殺到する人々や少女たちの勢いに負けそうになりながら、それでも彰尋は懸命に目的の商品に手を伸ばす。
(うっかりしてた……!)
『はちがぶち』は夕方のこの時間になると割引品争奪戦が始まることを失念していた。いつもよりだいぶ人がいるかな、とのんびり構えている場合ではなかった。
(サーモンとマグロとホタテ、……あとイクラ……)
値引き率が周りより少し低いせいか、売れ残っていたサーモンとマグロのサクを運よく手に入れ、籠に入れる。ホタテもパック入りのものを首尾よく掴み、ついでに白魚も勢いで手にしてしまいつつも、混雑する刺身売り場を離脱する。イクラは取り損ねたけれど、これは別のスーパーで買おう。
(ここからだと……)
別のスーパーマーケットや魚屋を思い浮かべつつ、彰尋は一息吐く。
「っ、きゃ……?!」
総菜売り場に集る学生の群れに押し出され、小柄な上に華奢な璃亜が床にぺたんと尻もちをついた。際どく捲れ上がるスカートの裾から、彰尋は慌てて視線を逸らす。
「璃亜さん」
鯵と鯛と鮪のお刺身、それもそれぞれに八割引きの品を三パックも首尾よく手に入れた智瑜が慌てて璃亜の傍に駆け寄る。
「大丈夫ですかっ」
「私は大丈夫です」
ああ、でも、と璃亜は悲しい息を吐いた。運悪く人の群れに押し出されてへたり込んでいる間に、目をつけていた割引品は全て他の客の籠に入れられてしまっている。せめても何かしらの惣菜や弁当が残っていまいかと棚を覗き込んでみても、残っているのは白米や割引のされていない保存の効く惣菜ばかり。
自分の一定範囲内の自分を含む誰かが不運な目に遭うその代わり、その範囲内の自分を除く人達を幸運にし、ついでにその人達を幸運にした分の不運を背負い込むというある意味呪いのようなろっこん『運命の輪』を無自覚に発動させておきながら、璃亜はがっくり肩を落とす。
「あの、」
「大丈夫、大丈夫です、……駅の猫城岩井に行ってみます……」
気遣ってくれる智瑜に力なく笑み、璃亜は顔色悪くふらふらと立ち上がった。夜遅くまでやっているあのスーパーなら、この時間でもまだお弁当が残っているかもしれない。
(値段は高いですが……)
この流れで行くと、次のスーパーでも運悪くお弁当が売り切れているかもしれない。そうなってしまえば、もう仕方がない。大人しく家に帰って、泣きながら備蓄のカップラーメンのお湯を沸かそう。テーブルに突っ伏して出来上がりを待ち、めそめそしながらラーメンを啜ろう。
「璃亜さん、これ」
空手で歩き始める璃亜の前、智瑜が立ちふさがった。たわわな胸を揺らし、戦利品であるお刺身三パックのうちのひとつ、鮪の刺身を差し出す。
「良かったら、どうぞ」
「あ、俺のも」
八割引きの鮪の刺身を智瑜から、半額の白魚のパックを彰尋から差し出され、璃亜は青い瞳を瞬かせる。
「いいんですか……?」
「買いたいお刺身はゲットできましたし」
「俺も、目的のものは手に入った」
何だか泣き出しそうな顔をして頭を下げる璃亜の籠にお裾分けの戦利品を入れ、智瑜は乳製品の棚に、彰尋は混みあうレジへと向かう。
「ありがとうございます」
今日の戦場を共にしたふたりに向け、璃亜はぺこりとひとつ、頭を下げた。
弾む足取りでレジに向かう璃亜に手を振り、智瑜は籠に収まる八割引きのお刺身二種を見下ろす。
ふふ、と嬉しい笑みが思わず零れた。
(今度日暮さんに会えたらこのスーパーの事を教えてあげなくちゃ)
寝子島神社の桜まつりの日に出会えた、シーサイドタウンに暮らす友人一家を思い浮かべれば、笑みはうっかりますます深くなった。
(夕さんにも)
日暮の伴侶である夕には、同じ日に優しい心遣いも貰った。
今日が賞味期限であるために安くなっているプリンをひとつを手に取りながら、智瑜は優しい友人たちに感謝して祈るように目を伏せる。
今日のデザートにしようとプリンも籠に入れれば、足は自然と幸せに弾んだ。口の中で冷たく甘くとろけるプリンは、きっととても美味しいだろう。
弾む足で最後に向かうは、もちろんお菓子コーナー。目を付けていた新製品のチョコレートにほくほくと手を伸ばす。花の絵が描かれた春らしい可愛いパッケージの中には、苺チョコとホワイトチョコで花を象った小さなチョコレートがたくさん入っている。期間限定、今を逃せばもしかするともう二度と食べられないかもしれないチョコレートも無事に手に入れ、智瑜はもう嬉しくてたまらなくなる。
食後のプリンと折々のおやつにする期間限定チョコの味を思い浮かべながら、混みあうレジを心安らかに待ち、暮れなずむ駐輪所の自転車に戦利品の詰まったレジ袋を積み込む。ご機嫌な鼻歌を歌いつつ自転車に跨り、大満足な顔でペダルをこぎ始める。
(お祖父ちゃんとお祖母ちゃんも喜んでくれる)
亡くなった両親に代わって育ててくれている祖父母の喜ぶ顔を思えば、鼻歌は春の夕風にますます弾んだ。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年07月12日
参加申し込みの期限
2017年07月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年07月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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