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午後六時のスーパーマーケット
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スーパーの硝子窓から溢れる蛍光灯の光に照らされた駐輪所に自転車を突っ込む。店内の時計を窓越しに見遣れば、時間は午後六時二十五分。
駐輪所にはもうたくさんの自転車が停められている。近所の奥様のものらしいママチャリに、安売り商品を求めて遠征してくるらしい学生のマウンテンバイク。
(敵はいずれも一騎当千の古強者たち……)
背伸びするように店内を見遣れば、商品棚のあちこちにタイムセール狙いと思しき奥様方や貧乏学生達の姿が見えた。彼らの目に灯る飢狼の光に、朝衣は思わず武者震いする。既に出遅れ感濃厚ではあるが、負けるわけにはいかない。
(……だからといって退くわけにはいかないわ!)
虎視眈々と獲物を見定める客のたむろする店内へ、朝衣は籠を手に踏み入る。タイムセールとは関係ないために閑散としたお菓子売り場を過ぎ、主戦場である総菜売り場に立つ。冷蔵棚に納められた刺身をざっと眺め、素早く品定めをする。
六時半に店長による赤字決定な最終大幅値引きがあるものの、五時過ぎにもシールによる割引きは行われる。二割引き三割引きではあるものの、それはそれでお買い得には違いない。
土曜日であるせいか、一回目の値引き後の商品もあらかた売れたらしかった。棚に残る品物は少ない。
(これは厳しい戦いになるわね)
大物の刺身盛り合わせに照準を絞る。逃せば母に叱責を食らうかもしれないが、
(こちとら休日出勤帰りなのよ!)
ちょっとわけの分からない理屈をこねつつ、朝衣は総菜売り場を覗く。ここでも狙うは大物、トンカツ四枚入りパック。
空きっ腹に響く揚げ物の匂いをお惣菜争奪戦への力に変えつつ、朝衣はその時を待つ。ライバルを気にして油断なく見回してみれば、先ほど店の外の横断歩道で見た少年が青年を従えて入口の自動ドアを潜ってきている。
Tシャツにパーカー、半ズボンにスニーカーといったラフな格好の少年に対し、傍らで籠を持って立つ青年はスーツに手袋。まるでお忍びの富豪の少年とお付きの執事のようだと思う。
(お刺身もトンカツも譲らないわよ)
こっそり宣戦布告する朝衣にまるで老獪な貴人の如き優雅な会釈を見せて、少年は楽し気に総菜売り場を見て回る。胡瓜と人参と薄焼き卵の入った春雨サラダにポテトサラダ、きんびらごぼう、透明パック入りのポテトコロッケにソースの浸みたメンチカツ。
「お嬢さん、これは何だね?」
一通り眺めていた少年に尋ねられ、朝衣は黒い瞳をぱちりと瞬かせた。高飛車な物言いからみて、少年はやはりどこかの富豪かナニカなのだろうか。
「コロッケよ。知らない?」
「うん」
「味をつけたお芋にパン粉をつけて揚げるの。美味しいわよ」
だからトンカツは取らないでね、と朝衣はこっそり心の内に呟いた。
「ご丁寧にありがとうございます」
「いいわよ、こんなことくらい」
執事らしき青年に頭を下げられ、朝衣は少し慌てて手を振る。
一見和やかに談笑を交わしているうち、調理場の扉の向こうから白衣にエプロン姿の老人からふらふらと出てきた。赤マジックを手にした店長の姿に、売り場をうろうろしていた割引品目当ての奥様方や学生や朝衣が色めき立つ。
にわかにざわつき始める総菜売り場の端で、ヴェルトは戸惑い顔の執事を見上げた。
「……コロッケが欲しい」
「芋を揚げると仰られていましたね。あまり想像がつきませんが……先生が食べたいのであれば取ってきます」
言うなり、メーベルはふらりと踏み出した。総菜売り場に殺到する奥様方をするりと躱して、急いでいるようにも見えないその癖、誰より素早い動きで『先生』の求める半額コロッケのパックを手に取る。
「……う、く……っ」
トンカツを取ろうとしては学生の群れに押し負けて押し出される朝衣をちらりと見、
「こちらですか」
学生たちの隙間からひょいと取った四枚入りトンカツを朝衣に差し出す。
「えっ、わっ、ありがと、ついでにあの刺身盛り合わせも……!」
「承知いたしました」
「ほほう、……これも美味しそうだね」
刺身を取って朝衣の籠に入れてやるメーベルの脇、ひょいとヴェルトが顔を出した。刺身コーナーの隣にあるパック寿司を示す少年の指示に従い、メーベルはその長身を活かして刺身・寿司コーナーに集まる奥様方の頭上から目当てのパック寿司を軽々と手にする。
「君も好きなものを買いたまえ」
弾んだ足取りでレジに向かう朝衣に鷹揚に手を振り、ヴェルトは執事を仰いだ。
「では」
メーベルは素早く視線を巡らせる。折角の機会、あまり見たことのないものを食べてみたい。
見る間にほぼ空になった売り場にぽつぽつと残る惣菜の中から選んだのは、海老とサーモンの生春巻き。魚介のオレンジと野菜の緑を半透明な皮で包んだそれは、いかにも物珍しく美味しそうだ。
見回せば、売り場はもう閑散としている。
あっと言う間に始まりあっと言う間に終わった割引セールの戦場を後に、戦利品の入った籠を手に客たちの並ぶレジ前に立とうとして、
「待て」
ヴェルトが鋭く囁いた。視線が向いているのは、二台しかないレジの脇の飲料コーナー。
「酒はどうする?」
「……飲まれるのですか?」
他の人々に聞きとがめられぬよう、メーベルは声を潜める。
「こちらの人の目に付けば面倒な事になると思われますが」
「たしかにね」
渋る執事を横目に、ヴェルトは興味津々、飲料が並ぶ冷蔵棚の前に立つ。果物ジュースの前に立ちつつ、アメジストの瞳に捉えているのは缶ビールにワイン、
「おや、こちらは米を使ったもののようだ」
それから日本酒。
「……向こうで飲む分には構わないでしょう、買って行きましょうか」
主の意を汲み、メーベルは透明瓶に詰められた酒を手に取った。
星幽塔に来てから、主の喫する煙草のにおいには慣れはしたが、酒にはまだめっぽう弱い。主が気まぐれに勧めてくれる酒も、断ってばかりいる。
「ペットボトルの紅茶も買おうか」
「はい」
主の言葉のまま、瓶よりも薄くて軽い容器に詰められた紅茶を手に取る。
「……本当になんでも売っているのですね」
「君の紅茶とどちらが美味しいだろうね?」
淹れてから時間が経っているだろうに、容器に詰められた紅茶は少しも濁っていない。時を止める魔法でも掛けられているのだろうか。
思わず零れた小さな息に、ヴェルトが愉快そうに眼を細めた。
「こちらの紅茶の方が美味しいようでしたら、俺としては少々情けない気もしますけれど」
「おや、煙草も扱っているのか」
ペットボトルの紅茶を籠に入れるまでに、主の興味はレジ台の内に積まれた煙草の箱に移っている。見たところ、星幽塔には無い種類のものが多そうだ。
スーツの腕を掴んで背伸びする主に腰を屈める。
「君なら大丈夫だろう? 五番の煙草を買うと言うんだよ」
「……人目につかない所でお願いしますね」
そっと耳打ちされて、メーベルは囁き返した。
割引惣菜と日本酒と煙草を買い込み、主従はすっかり陽の暮れた路地を辿る。路の果ての堤防に出てみれば、道路の端に設けられたベンチがあった。
水平線を臨むベンチに並んで腰かけ、レジ袋を広げる。
「先生」
どうぞ、とメーベルから差し出されたコロッケをヴェルトは半分に割った。主から半分こにされたコロッケをありがたく口にしながら、メーベルは目を丸くする。芋を丸ごと揚げているのかと思っていたけれど、ほぐしたものを再度まとめて揚げているらしい。
「これなら俺にも作れそうですね。今度試してみましょう」
パン粉のさくさくとした食感も相まって美味しい。隣の主も美味そうに食べている。
「こっちはどうだ」
コロッケを食べ終えた主が次に手にしたのは、パック入りの寿司。食えとばかりに差し出され、メーベルは手袋を外した。生魚の乗せられた一貫をつまみ、口に入れる。
「ふむ……美味しいですね」
厚焼き玉子の寿司を口にしながら、ふと思い出したようにヴェルトが唇を歪めた。
「どう思う」
楽し気に口にするのは、この世界での己の外見のこと。
「ここで君は僕より年長者だと看做されているけど」
「どちらかと言えば先生が俺の親のようなものですが……不思議なものですね」
く、く、と喉を鳴らし、主は笑う。
「子供扱いしてもいいのだよ?」
「子供扱い、ですか……」
老獪な笑みさえ浮かべてみせる主を困った顔で見て後、メーベルは生春巻きを手に取った。
「例えばこう、でしょうか」
口元に差し出す。幼い子供にするように、あーん、と言って笑ってみせる。流石に笑い崩れて断るだろうと思っていたのに、主は一欠けらの動揺も見せずに口を開いた。
ぱくりと口にして、上目遣いに執事を見上げる。頬を薄く染め狼狽える執事の表情を楽しむように、剥きだしの指についたソースを舐めてみせる。
「っ、……あ、あのっ」
「く、く」
目元まで赤くする執事の指先から舌を離し、主はまた笑った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年07月12日
参加申し込みの期限
2017年07月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年07月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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