午後六時のスーパーマーケット｜リアクション

午後六時のスーパーマーケット

「ただいま」
　双子の待つ家のドアを開く。
「お帰りなさーい！」
　声を重ね、転がるように部屋から飛び出して来て迎えてくれる双子に笑みかけ、彰尋は買ってきたものをひとまず冷蔵庫に仕舞う。
「手伝う！」
「手伝う！」
　シンクに並んで立つ双子に今度頼むのは、酢飯つくりのお手伝い。寿司桶にあけた炊き立てご飯に寿司酢を手早く混ぜてから、ふたり揃ってうちわで扇いでもらう。
「ツヤツヤしてくるまで頑張れよ」
　ふたりに頑張ってもらっている間に、戦利品である刺身を一口サイズに切り分ける。帰り道にある魚屋で、イクラも無事に入手できたのも幸運だった。
　ツヤツヤになったよ、と胸を張る双子のそれぞれとハイタッチを交わし、冷ましておいた人参と椎茸、それから胡瓜を混ぜ込む。出来たご飯を平皿に盛りつけ、食卓で待機する双子の前に置く。歓声をあげる双子に錦糸卵と桜でんぶを好きなように飾らせて、こちらは好きに盛らせると尽きてしまう危険のある刺身は彰尋が盛り付ける。
「よく出来ました」
　大満足な顔を見せる双子をとりあえず褒めれば、夕飯の支度は完了。
「ご飯にしよう」
　サーモンにマグロにホタテにイクラ、激安品が手に入ったお陰でお刺身たっぷり、双子と彰尋の愛情たっぷりな豪華なちらし寿司と、お麩と三つ葉のお吸い物が、今日の鴻上家の晩御飯。
　美味しい美味しいと笑顔を見せる双子に笑みを返しながら、
(こうやって二人ともだんだん出来ることが多くなってくるのかなぁ)
　双子の世話をずっとしてきたお兄ちゃんはちょっぴり嬉しいような寂しいような気分に駆られる。
(……あ、でも)
　小学校での調理実習はまだ先ではあるけれど、今後のお手伝いのためにも二人のエプロンでも買ってこようか。
　三人で並んで料理をする少し先の未来を思い、彰尋はくすりと笑った。

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あとがき

担当マスター：阿瀬春
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お待たせいたしました。
夕方のスーパーマーケットでの一幕、お届けにあがりました。

ラブラブなお買い物のひとときだったり、穏やかで優雅なお買い物の一幕だったり、値引き品争奪戦のあれこれだったり。色んなスーパーでの色んなお話を描かせていただきました。楽しかった！　日常も日常極まれりな光景を拝見するのも、とても楽しいものですねえ……！

少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。
ご参加くださいまして、読んでくださいまして、ありがとうございました。
またいつか、お会いできましたら嬉しいです。

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