【星幽塔】最終決戦！すべての希望に火を灯せ！｜リアクション

【星幽塔】最終決戦！すべての希望に火を灯せ！

　その最中、アヴィケンナと目が合ったロベルトはすっ、と彼に手を差し出した。
「君がアヴィケンナくん？　僕はロベルト。この場ではあなたの手と足となりあなたを守ります！」
　そう言って恭しく手の甲にキスをしようとするとアヴィケンナが「おいっ！」と振り払う。
「守ってくれるのは嬉しいけど、ボクは男だ！　淑女への礼は不要だよ！」
「そんな！　でもきっぱり言う君もいい！」
　突っ込みを入れるアヴィケンナに、キラキラとした眼差しを向けるロベルト。相変わらず可愛い男の子に優しいロベルトの様子にアカリが近くで「むー……また誰かにデレデレしてる…」とやきもきしている事に気づいていない。シドニウムはむくれるアカリの肩をやや遠慮がちに、ぽん、と叩いた。
「ともかく、作戦を始めましょう。一刻の猶予もありません」
　フローレンスの言葉に、全員が気を取り直したように頷いた。だが、この時。フローレンスの表情が僅かに曇っている事に気づいた者は、誰も居なかった。

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（この浮いた石も、石柱から生える水晶も厄介ね。いささかこちらに分が悪すぎるわ）
　桜は、ボウガンを構えながら苦々しい表情になる。だが、それは敵も同じ。せいぜい光を味方につけておこう、と彼女はため息を吐いた。
　少し離れた所では衛が、翼のはえた豹を思わせる姿をした光の獣の跨っていた。その手には流星のフライパンが握られている。光の獣は、どこか嘗て心を通い合わせた翼獣に似ているような気がした。
「やっぱり同時攻撃するとか、囮とか狙ってった方がいいよな、これって」
　ならば自分の出番だ、と気合は十分だ。その後にはアカリもいる。自分単体ではあまり動けない上攻撃しづらいと考えた彼は、渡りに船だ、と衛が呼び出した光の獣に乗せてもらう事になったのだ。
「攻撃は、俺に任せておけ。操縦に専念してくれると嬉しい」
「俺もヤツを殴りたい！　このフライパン貰った時からゴンザレス太郎を殴るって決めてたんだ！！」
　ふわり、と飛び立つ中でアカリが言えば、衛が手にしたフライパンを見せつつ言う。何を言っても聞かないと思ったアカリは「無茶だけはするなよ？」と僅かに桃色がかった目を細めて念を押した。

「視界に関しては策がある。安心して行って来い」

　２人を後押しするかのように遥斗が両手剣を構えて言う。元が竹刀という事もあり「衝力」として打撃的に敵を圧する、攻撃を防御することに重点をおいた武器である。そして、それを振り下ろす事で彼のろっこん『風の篭手』は発動し、風を巻き起こす。事前にろっこん使用時は合図をする事になっていた。
「さて、参りましょうか」
　月が、柱へ鋼糸を飛ばし、振り子のような立体機動で巨人へと向かう。と、急に手が伸びてきた。彼女へと伸ばされた手と反対方向の手は、銀の使い魔を呼び出したフローレンスへと襲い掛かる。
「さっそく来たか！」
　手にした両手剣を盾にし、高久がフローレンスの前に出る。その間に、彼女は使い魔を巨人にけしかけた。だが、攻撃が及びそうな場所へとステラが移動させられる。
「危ないっ！」
　月の静止によりぎりぎりのところで使い魔は止まり、フローレンスは唇をかみ締めて呼び戻す。同時に聞こえる微かな融解音。シドニウムがその攻撃の隙に巨人の足へと何らかの薬を投げたらしい。
「予想通り、だな」
　シドニウムが不機嫌そうに言い放った途端、再び襲い掛かる腕。またもフローレンスを狙うそれに、今度は日和が向き合う。彼女はペンダントを握り締め、魔風の力を発動させた。
　腕が上がり、宙を飛ぶ小さな石が砕けて視界を遮る。遥斗は「避けろ」と叫び、衛が急旋回。遥斗は両手剣を振り、ろっこん『風の篭手』を発動させて視界をクリアにし、その隙間を狙いアヴィケンナと桜が同時に矢を放つ。
「貴方の相手は、私です」
　砂煙が流れていく中、鋼糸をつかって攻めに出る月。もちろん、ステラはその攻撃が至りそうな場所へと動く。
　月がぎりぎりの所で寸止めし、別の方向へと突き刺さる２本の矢。オートマータもその隙に攻撃し、ステラが移動させられ始める。