奇襲！　ろっこん無効を打破せよ！｜リアクション

奇襲！　ろっこん無効を打破せよ！

●●●殲滅戦、ほしびとの力●●●
「霊力解放、限定獣化解除、三峰大狼の力を余す所なく喰らっておくでござる」

　鎧オーガに刀を突き刺し、徹之進が持つ力を開放する。
　苦悶の叫びを上げる鎧オーガはその場に崩れるように倒れ、徹之進は素早く刀を抜き取る。

「ん、だぁぁあ！　もう、さっきからちょこまかと！」

　少し離れたところでは大介がネズミとキマイラを相手にしている。
　叫んでいる姿は駄目なサラリーマンの代表のような姿だが、攻撃を食らっていない。
　徹之進はカッカッカ、と笑いながらもう一体の紅オーガを見やる。

「先はしてやられたが…背後に憂いなし故、全力で参らせてもらうでござる！」

　鎧オーガを回復しようと向かってくる紅オーガ。
　徹之進は刀をしまい、させぬとばかりに無手で紅オーガに攻撃をする。
　紅オーガは徹之進を振り払うように腕を振るうが、接触してから腕の感覚が消える。
　危機感を覚えた紅オーガは鉄之進と距離を取る。

「ほう、鬼の癖に知性があるでござるか」

　徹之進は笑うように言葉を発し、じりじりと間合いを詰めていく。
　焦れた紅オーガは残った片手を大きく上げ、勢いと体重を乗せて振り下ろす。

「浅い！」

　徹之進は半歩後ろに下がり、腕をやり過ごす。
　下がる足に力を入れ、獣化の限定解除も再度使用し、出来るだけ型を作って刀を抜く。
　刀は美しい弧を描き紅オーガの首を分断する。

「志波殿の力があれば些事でござったな」

　緑色の血がまき散らされ、徹之進は血を払うように刀を振って収める。

「いやはや、さすがお侍様。結構なお手前で」
「む。拙者は華道家では…と、そちらも終わったでござるか」
「あー、まぁ、終わったは終わった」

　疲れた様子の大介が世辞のような称賛を徹之進に送る。
　大介が対応していたネズミとキマイラは仲間割れをし、残ったキマイラに一撃を加えて終わったらしい。
　これが漁夫の利かぁとのんびり考えていた大介に徹之進は苦笑する。

「他の敵がいないなら、援軍に参るでござるか」
「そうですな。他に動けるやつはいないので、次行きますかー」
「ほう」

　索敵を勧める徹之進に、半分やけになりがながら応える大介。
　しかし仕事はしっかりこなすようで、モンスターが容器の外に出ていないことを確認していた。
　徹之進はその様子に関心を示すが、言わぬが花というものである。
　向かうのは相当数の敵が解放された、大部屋Bである。