奇襲！　ろっこん無効を打破せよ！｜リアクション

奇襲！　ろっこん無効を打破せよ！

●●●潰える野望●●●
「やはりここに来たか。白衣。貴方の暴走はここまでだ」
「ピエロを守る形になるのは皮肉だが…これ以上、俺たちのフツウを壊させやしない」

　ピエロの前に着き、その開放をもって敵の打破を狙っていた白衣。
　しかし、ピエロの容器を守る様に立っていたのは警棒を手にした修と刃引き刀を構える刀。
　白衣の顔が絶望に染まっていく。

　今の状況から何かをすることはできない？
　痛む腕、着慣れた白衣も身に着けていない。
　本当に？　これが最後？　こんな、奴隷たちに。

「こんな、奴隷、どもがぁ！　『武具召喚』―――マシンガン」
「往生際が悪い」

　白衣の悪あがきに3体の鎧オーガが修と刀を守る様に滑り出る。
　マシンガンの銃弾はフルプレートアーマーに弾かれ、明後日の方向に飛んでいく。
　その様子を理解できないとばかりに見る白衣に声をかけたのは傀儡師であった。

「く…くっはは。君が、そちらに付いたか」
「それもあるけど、これがボクの結論」
「傀儡師ちゃん…」

　涙なのか汗なのか、ぐしゃぐしゃの顔をしながらも嗤う白衣。
　冷徹な顔で返答する傀儡師だが、小さく震えているのを傍にいた円は見逃せなかった。
　横に立って傀儡師の手を握り、驚く傀儡師に柔らかな笑みを向ける円。

「…終われるわけ、ないだろ！」

　意を決したように白衣が左手を伸ばし、目の前の鎧オーガに触れようとする。

「左手！　触れさせるな！」

　その時、武道の咆哮にも似た叫びが刀たちに届く。
　瞬間、刀の体は動き、鎧オーガの前に躍り出て刃を振るう。
　白衣は左手を弾かれるも、左手で指を鳴らそうとする。
　そこに修の警棒が振り下ろされて、かまいたちが発生するも、地面を抉るにとどまる。

　息を切らして鎧オーガに追われた武道が運が良かったとでもいうようにサムズアップをしていた。
　使い物にならなくなった両手を忌々しく見ながら、白衣はそれでもと口にした。

「ぎ…ッ！　っ、崩落、しろ！　―――『緊急崩壊』」
「貴様…！」

　その言葉が言い終わった瞬間、地震でも起きているのかと思うほどの揺れが始まった。
　同時に、隣の大部屋Aからの爆発音。
　傀儡師は慌てて両手で印のようなものを組み、甘く、めまいのするような空気を拡散させた。

「皆さん、ここから離脱を！　今なら元の世界に戻れるはず！　強く、強くその世界を思って！」
「分かったが、その前に」
「ああ、決着はつけないと」

　修と刀は獲物を構え、その軌道を白衣へと向けた瞬間。
　突風にも似た衝撃が修と刀と鎧オーガ、少し離れていたはずの傀儡師と円をも巻き込んで吹き飛ばす。
　次いで大部屋Bでの爆発が始まり、研究所の崩落を告げる。

「っ、おまえ…！」

　体制を立て直した刀が目にしたのは白衣の肩を尋常じゃない力で噛んでいるピエロ。
　その目に理性は宿っておらず、白衣の頭を陥没するほどに両手で掴む。

「相手にしなくていい！　この崩落で無事には生きていけない！」

　傀儡師が叫ぶとタイミングよく地面に亀裂が入る。
　その亀裂は加速度的に大きくなり、大部屋Bをバラバラにしていく。
　構うことはないとばかりにピエロは白衣にさらなる攻撃を加える。
　刀と修は反転、仲間に状況を知らせるために疾く走る。

「く、傀儡師ちゃんは！？」
「大丈夫、だから、早く戻って！　円！」
「…！　レメヌスちゃん、何時か、立場気にせず遊べるといいね」
「っ…！」

　鬼気迫る傀儡師の言葉に円は先ほど伝えられなかった言葉を伝える。
　傀儡師、レメヌスは息が詰まるような感覚を覚えて目を背けてしまった。

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