これはどれだけリアリティがあったとしても、フツウでいいはずがない。
だから、悪夢、夢のはずだ―――
複雑骨折を負い、入院を余儀なくされた寝子島高校体育科2年の武井 琴代。
私生活も難しい状況の中、勉強にも遅れが出て、留年することは避けられない状況となっていた。
そのせいか、元々快活だったはず彼女の顔には陰りが浮かぶようになった。
そんな折に琴代は周りの人間には言っていないが連日連夜、悪夢を見ていた。
中世ヨーロッパに登場するコロシアムで自分が殴られ、異形のモノに全身を殴られ続ける悪夢。
話しても信じてくれないし、解決するものでもないと本人はわかっていた。
しかし、琴代のその悪夢は神魂が影響しているものの、骨折自体は異形によって負わされたものだ。
琴代はもれいびであり、夢に見るコロシアムに召喚されたことがあった。
そこで味方をかばって致命傷にもなる攻撃を受けてろっこんに関係する記憶失い、一命を取り留めた。
ある日、いつもと同じように見ていた悪夢が違う始まり方をしたのだ。
聞きなれない女性の、男らしい話し方で語る姿はやけにリアリティがあると思っていた。
「これより、傀儡師とのコラボレーション企画、異世界の力を使った試合をはじめる!」
埃っぽい藁の上の琴代は呆然と立ち尽くす。
どこかでいつものように悪夢から覚めることを期待して。
「有能なピエロが持ち帰った力を今、皆様にお見せしよう!」
そんなことはお構いなしに響く声。
良くない何かが始まろうとしている、そう本能が警鐘を鳴らす。
だが、悪夢であると思い込んでいるがために、終わりがあると思ってしまっていた。
「要望にお答えして、以前召喚した地球人を用意した! 存分に楽しんでほしい!」
点々と配置されていた動かなかった3メートルはあろうかという人間でない異形のモノたち。
それらが一斉に動きだし、持っていたなにかが降り下ろされる。
琴代は、どこか他人事のように見守るしかなかった。
歓声を聞き、掴みは上場と胸を撫で下ろす民族衣装風の女傀儡師。
実況はコロシアムの者がやってくれることになっているので、あとは異形を操るだけだ。
「しかし、勝手に【瞬きをしなければ反応速度上昇】なんて異世界の魔法を使ってもよろしかったので?」
「構わない。【触れた場所を回復】も使っているし、あのピエロも冥利に尽きるというものだろう」
白衣の男の確認に頷く傀儡師。
その男の後ろにいる、水溶液の中に入ったピエロを横目に見る。
「失敗すれば手を引くしかない、らしいからな。まったく、戦闘は嫌だって言ってるのに…」
「正確には蘇生術の試行中ですが…私のようなスポンサーを得るにはよい機会ですか」
傀儡師が異形を操りながらも、難しそうな顔をしている白衣との会話をする。
「あぁ、そうだ。緑髪の人間には手出しはしないし、捕えてもその子は逃がすからな」
「えぇ、もちろん。そういう契約ですからね。では、【神様の力】見せていただきましょうか」
保身のためにコロシアムには参加するが、恩は忘れない傀儡師。
難しい顔から一転、興味深そうな嫌らしい笑みで激戦が始まったコロシアムに目をやるのであった。
●●●このシナリオについて●●●
シリーズ風のガイドとなっておりますが、初参加の方も歓迎しております。
もちろん、今までずっと関わってきてくださってる方々も、です。
このシナリオの主な目的は2つあります。
一つ目は襲い掛かってくるオーガを倒すこと。特徴や弱点などは後述しています。
二つ目は生き残ることです。これは相手の目標を達成させない、という消極的な目的ですが、とても大切なことです。
●●●舞台・背景●●●
舞台となる『コロシアム』は小さな球場ほどの大きさで、周りは絶壁です。
絶壁の上には戦況を操っている傀儡師、白衣の男に加え、仮面をつけた観客がおり、各々楽しんでいます。
前回(寝子島高校救出戦)、ピエロが寝子島高校がターゲットになったときに持ち帰った生命力。
ピエロが吸収した生命力を分析し、『異世界風の魔法』としてオーガへの魔法付与が成功。
そのお披露目として『コロシアム』が使用され、やられ役として召喚されたキャラクター達。
武具の類はなく、藁の上に無造作に転がされている状態です。
持ち込みの物品は召喚時に身に着けていたもののみになります。
また、寝子島への帰還は一人でも生き残っていれば同時に帰還ができます。
怪我などに関しては痛みは残るかもしれませんが、致命傷になる可能性は低いでしょう。
●●●これまでのあらすじ●●●
夏のある日に『コロシアム』に召喚された寝子島の人達は殺戮ショーで逆転劇をした。
その事を根に持ったピエロは異世界の力を使い3度攻め入るものの、ことごとく返り討ちにあう。
しかし、寝子島高校の戦闘で神魂の一部が流出。
ピエロの雇った傀儡師が意思を引き継いで『コロシアム』に寝子島の人達を再召喚して…。
●●●登場人物●●●
・武井 琴代(たけい ことよ)
学年・職業:寝子島高校2年10組
学科 :体育科
ろっこん :S型 強化タイプ 運動神経を総合強化する(※発動不可)
性格 :一本気に生きる恋多き少女だったが、病院生活に疲れを感じており、元気がない。
状況 :悪夢の延長と考えており、倒されることで夢から覚めると思っている。
右腕の骨折はそのままになっているため、戦力としては期待できない。
●●●敵情報●●●
以下の情報はプレイヤーのみが知ってる情報として、アクションに活用してください。
名称 :オーガ
性質 :攻撃力、耐久力、スピードが秀でている。
傀儡師の操作も受け付けているため、オーガの意思とは無関係に身体が動き、窮地に陥りにくい。
大きさ:平均300cm
数 :15体
戦術 :相手の戦力を分散させ、各個撃破が主な戦術。
弱点 :傀儡師の操作を可能にしている模様は後頭部にあるが、鎧に守られている。
特徴 :数体、フルプレートアーマーを装着し、ヨハン・プレストンの【プロジウム】を模した力を使用。
1体、後方に構え、尾鎌 蛇那伊の【快感ヒーリングマッサージ】を模した力を使用。
他のオーガはカッターを模した大剣を持ち、軽々と振り回す。
その他:使用する能力の条件、効力は同じですが、無理やり常に発動するようにされています。
桜庭 円、および緑色の髪をした女子は致命的な攻撃をされず、捕縛対象となっている。
以下の情報はキャラクターでも知ることができる情報としてアクションに活用してください。
なお、以下の敵は絶壁の上にいるため、攻撃することが不可能です。
不思議なことにお互いの声は聞こえるようになっておりますので、モノ申したいときは大声で話しかけましょう。
名称 :ピエロ
状態 :仮死状態。大きなカプセルに入った水溶液に漬けこまれている。
首と背中に縫合処置が施されている。
名称 :傀儡師(くぐつし)
性質 :特殊な糸と模様で相手を操る術を使う傀儡師。
常に自分の命を優先するが、今回攻撃を受けない場所にいるため、堂々としている。
名称 :白衣の男(はくいのおとこ)
性質 :ピエロと傀儡師がもって帰ってきた生命力を解析し、モンスターへの付与を行った人物。
地球を含む異世界侵略の野望をもち、地球侵略へ意欲的。
●●●その他●●●
Q:武井 琴代やコロシアムに、特に関りがないのだけれど、参加してもいいもの?
A:問題ありません。勝てば侵略を抑制でき、負ければ能力がコピーされて侵略される、という話ですので。
Q:その場にある武器は?
A:すぐに使えるものは砂、ペットボトルのキャップ程度の石、藁、ぐらいです。
Q:絶壁を壊したら敵が増えるのか?
A:いいえ、ドラゴンも何も出てきません。絶壁を壊しても絶壁が出るように補強されました。
Q:卒業式とか進級するよ! 祝って!
A:少し早いですが、卒業、進級、おめでとうございます。
では、僭越ながら三つの袋の話を…って、今は余裕ないですね。残念。