奇襲！　ろっこん無効を打破せよ！｜リアクション

奇襲！　ろっこん無効を打破せよ！

●●●勝利の崩落●●●
　白衣が崩落に巻き込まれたこと、寝子島への帰還方法が判明したことを伝える修と刀。
　刀はろっこん【加速】を用いて途中にいた敵は無視して仲間の元へと走る。
　崩れてきた天井の大きな破片は修がろっこん【分解】を使って当たっても問題ない程度にしていく。

「この揺れは、そういうことね。助かったわ」
「い、いえっ。近接で頑張っていただいたので…本当すごいなって思います」
「うふふ。ありがと、ペルラちゃん」
「こちらこそありがとうございます、蛇那伊さん」

　鎧オーガやキマイラ、ゴブリンが累々と昏倒している中、蛇那伊はペルラに礼を言う。
　蛇那伊が抑えてペルラが麻痺、というのが思いのほかうまくいった結果である。
　2人の活躍もあったうえでの解決と言えよう。

「うん、デイジーカッターさんも大丈夫だと思う」
「ありがとう、恩に着るよ、椿、クロノワール」
「良かったぁ…どうなることかと」

　他人を癒す【舞花の祈り】を使い、踊り続けた美咲紀は汗をぬぐって微笑む。
　そんな美咲紀に癒されていたサキリは礼を言い、アスワドは安心してへたり込む。
　下手をすると崩落に巻き込まれるが、廊下側からの爆発は少なく、今の所安全と言えた。

「不甲斐ない。が、阻止できたならそれでいい」
「もう、ムチャしちゃダメなんですからね、ストレイトさん」

　サキリと同様に傷を癒してもらい、意識を取り戻したザ・ストレイト。
　ザ・ストレイト達が時間を稼いでくれていなかったら、結果が違っていたのかもしれない。
　そういった面では感謝している美咲紀だが、傷の具合から一言付け加えざるを得なかった。

「全くお前は…パンツまで取ることなかっただろ、樹」
「えへへ。でも結果オーライだよ、兄さん」
「無事解決したねー。これで一安心だねー………ZZZ………」
「ちょ、メイディさん！？　ここで寝たらだめですって！」

　亮は樹の提案と実行によって隙を作ったとメイディから聞き喜んだ。
　が、その方法を聞いたときには呆れの色の方が濃くなってしまったのは致し方ない事ではある。
　そんな兄妹のやり取りの中、何も気にせず船を漕いでいたメイディはその場で寝ようとする。
　慌てて亮が止めに入るが抱きとめる訳にも行かず、メイディの首は90度に曲がり苦しそうであった。

「ふむ。一件落着というものかの」
「いやぁ、来た時に戦いが終わってるのは楽でいいね」
「…あの、そろそろ下ろしてもらっても？」
「おお、これはすまなんだ、お嬢さん」

　大部屋Aにいた徹之進、大介、碧南は大部屋Bに入って間もなく崩壊が始まった。
　地面が揺れたことに驚いた徹之進が碧南を持ち上げて安全なところに行こうとしたときに伝達が来た。
　そのため、碧南は下ろしてもらうのに一声かけなければならなかった。
　大介は煙草に火をつけながら、ダメな大人の台詞を吐いていた。
　幸い、ケガなどなく寝子島や星幽塔に戻るのに苦はなかった。

「これで全員かな。よかったよかった、ありがとねー、刀くん、修くん」
「志波先輩こそ、ありがとうございます。最後の助言、助かりました」
「『身代わりの術』か。結果が分かっていれば原因を作らせなければいいからな」
「ははは、そーゆーこと。んじゃま、撤退しますか！」

　息を切らしながら鎧オーガの攻撃を避け続け、刀と修で崩落に巻き込むことに成功していた。
　その後、3人で寝子島からやってきた面々が帰ったかどうか確認していた。
　全員の帰還を確認し、撤退を宣言する武道に頷く刀と修。

　そうして白衣の研究所は破壊され、幾度も爆発が起こって崩れていった。
　それを1人、浮遊コアの上に立って顛末を見届ける傀儡師。
　白衣とピエロの最期を確認するはずであったが、しかし。

「何時か、か。このレメヌス・ファルエーン、その言葉、守らねばなりません」

　傀儡師は円の言葉が反芻され、顛末を見逃してしまったのであった。

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あとがき

担当マスター：御宮久
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続いてのニュースです。昨日明朝、白衣B-85の研究所から煙が出ているという通報がありました。
捜査団数名が駆け付けましたが、研究所は崩壊しており現場は一時騒然となりました。

被害は白衣B-85の研究所と近隣にあったコロシアム、直下にあった草原です。
人的被害は発表時点では0名となっております。
ですが、研究所を管理していた白衣B-85、在宅申請を受けていたピエロ151代目、当日警護の担当だった傀儡師LLFF、は現在行方がわからなくなっており、巻き込まれたのではないかとの見方もございます。

今回は奴隷搬送課、ピエロ135代目に来ていただいております。
今回、研究所がなくなってしまうという痛ましい事件が起きてしまいましたが、いかがでしょうか。

実は、研究所が破壊されるのは珍しい事ではないのです。
奴隷を扱っているとコロシアムや運送路が破壊されることも、まぁよくあります。
ですから、この件もおそらく奴隷の怒りを買ってしまったのではないでしょうか。

なるほど。奴隷の扱いに関しての規定についての問題も多く残されておりますからね。

本当です。足並みをそろえるようにと幹部同士では話し合いが行われているといいます。
ですが、実態に合わないことも多く、新しい規定の普及には難航しているのが歯がゆい所ですね。

ありがとうございます。
次の番組は『奴隷と子を成す若者。この世界の恋愛観はどうなってしまうのか？　～実録、子供の新能力の弊害～』をお届けします。
以上、今日のニュースでした。それではまた次の放送で。

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