this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【お花見】しづ心なく花の散るらむ
<< もどる
1
…
12
13
14
15
16
…
98
つぎへ >>
寝子島という土地はまさしく神秘だ。どこへ行っても何を見ても、驚異に満ちているではないか。
それはまるで、長く生きすぎた退屈を、忘れさせてくれるおもちゃ箱のようだ。
季節ごとに精霊や怪人、霊獣が出没し、それにかかわる奇妙な儀式的風習がおこなわれるというのも興味深い。まだ未見だがこの島には、季節によってハロウィンなる精霊やサンタクロースなる怪人、鯉のぼりなる暴龍が出現し、その祟りを恐れ怒りを静めるべく、住民たちは霊的祭を執り行うという。
この時期、『花見(ハナミ)』と呼ばれる祝祭に住民たちが駆り立てられるのも、きっとそうした系列につらなる話なのだろう。
実に気がかりな話だ。これは、見ずにすませることはできないだろう。
というわけで
ヴェルト・レトランジェ
はこの日も寝子島の地に降り立ち、さっそく、初めて見るその花を興味深く観察しているのだった。
「おや、珍しい花が咲いているね……?」
「いいえ先生、これは『桜』といって、この世界ではありふれた花だそうですよ」
ヴェルトのすぐそばに侍す彼の執事、
メーベル・コルテージュ
がすらすらと述べた。
「なるほどしかし、こうも一斉に桜が咲いているのは、怪現象と言えはしないかい?」
ヴェルトは自分の右方向、ついで左方向に首を向けた。
川沿いの並木道が一斉に、桜の花を咲かせているのだ。見渡す限り、ずっと。
「そういう季節なのだと思いますが」
「おやメーベル、君、桜を見たことがあるかね?」
「いいえ先生」
と言いながらメーベルも、その主同様に自分の右方向、ついで左方向に首を向けた。
「……少なくとも記憶の中では見た覚えはありませんが」
「よろしい」
パンと手を打ち、偉大なるヴェルト・レトランジェは宣言したのである。
「なら丁度いいね。準備したまえ」
「準備? 何の準備でしょう?」
「決まっているじゃないか。この島で執り行われているという祝祭、花見とやらを楽しもうというんだ」
「お言葉ですが先生、花を見るのに準備が必要でしょうか」
「必要だとも。聞くところによれば、なにか食べ物とか」
「なにか、という漠然とした内容ではよくわかりませんが……もう少し具体的にお願いできませんか、先生」
「それは君、執事の経験と裁量でなんとかしたまえよ」
致し方ありませんな、と言って執事は一礼した。
「それでは適当に購入させていただきます。後で文句を仰らないで下さいね」
「期待しているよ」
この主従のやりとりを見る者があれば、奇妙さに首をかしげたのではないだろうか。
執事は、黒スーツにネクタイを隙ひとつなく着こなし、手にはまぶしいほど白い手袋をはめている。
だがその執事に「先生」と呼ばれているのはローティーンくらいの少年で、パーカーにTシャツ、ジーンズをあわせスニーカー履きという服装だったからだ。
もうひとつ奇妙なのは少年が、ときおり胸ポケットから箱のようなものを取り出しかけては、はっとしてしまうという行動をとっているところではなかろうか。どうやらシガレットケースらしい。
無論ヴェルトが見た目通りローティーンなら大問題だが、実際は見た目の30倍くらいの年齢なので問題はない。
むしろ寝子島という世界を意識し、彼が自粛していることを評価してあげてほしいところだ。
主従は川沿いのコンビニエンスストアなるものに入っていった。
慣れぬ場所ゆえ勝手がわからないが、幸い、入ってすぐのところに『特設! お花見コーナー!』なる立て看板があった。店員が描いた風の微妙なイラストが、無理矢理気味に場を華やげている。
メーベルはいち早くこの場所に入り、
「おや、先生、桜の葉を使った茶菓子が売られているそうですよ」
と、桜餅のパックを示した。
「桜の菓子? 桜を見ながら桜を食すというのか……なるほど読めたぞ」
「何がですか?」
「聞けばハロウィンなるものの時期には、カボチャの菓子を食べるという。つまり、ハロウィン期には寝子島じゅうでカボチャが一斉に実を付けるのであろう。川沿いの道がそれこそ、カボチャだらけになるに違いない」
「ゴ明察オソレイリマス」
「なんだその平板な言い方は……信じておらんな。まあ、ハロウィン期を楽しみにしておくといい」
言いながらヴェルトはウイスキーの小瓶を見つけた。さすがにこれは異種族であっても理解できる。
「酒はどうする? やめておくかい?」
「飲酒は……俺は遠慮しておきましょう、帰れなくなると困りますから。先生が飲まれるのでしたら買って来ますが……いかがなさいますか?」
「そうかい。つまらないね……飲みたいのは山々だけど、ここで私が飲むと、煙草同様の問題になるそうだからやめておくよ」
「ふむ……なかなかに複雑なのですね、この世界の事情は」
「仕方がないから紅茶でも買うとするかな」
「紅茶も……できれば遠慮したいところですが」
「なんと、この世界では執事に紅茶を禁じる法まであったとはな」
「いいえ。俺の紅茶は、先生のために淹れているものなので」
ところで、と小声でヴェルトは言った。
「気のせいか、我々の会話は妙に注目を集めているようだ」
そう、奇妙な少年と執事のコンビは、店員をはじめとしたコンビニじゅうの人間の耳目を引きまくっていたのだった。
露骨にジロジロ見ているおばちゃんまでいる始末だ。
しまった、とメーベルは凍り付いた。このままでは正体が……。
先に行動したのはヴェルトだった。彼はおもむろにメーベルの腕をとって、
「ねえメーベル、あれ乗ろうよ。ダメ?」
と急に口調を幼くしてコンビニの壁に貼られている『屋形船乗船券発売中』のポスターを指さした。ポスターには、立派な船の写真まで掲載されている。
「……!? せ、先生……?」
メーベルは今度は、別の意味で凍り付いてしまった。か、可愛い……じゃなくて……なにこの豹変ぶり!?
「い、いえ……俺は構いませんが……」
すると腕を組んだまま、
「わーい! 大好きー!」
と叫んで今度は、ヴェルトはメーベルに密着、そればかりか、彼の胸のあたりに頭をぐりぐりすりつけてきたではないか!
大好き、の言葉に反応してはいけない――!
なぜかそのことだけは肝に銘じつつ、メーベルはヴェルトに引きずられるようにしてレジに向かった。
こうして間もなく、ヴェルトとメーベルは船上の人となったのである。
肺の空気が全部出るんではないかというほど、深く大きなため息をメーベルはついた。
「先生、あまり驚かせないで頂けますか……」
「なんだねあれくらい」
屋形船の窓から、川の流れを楽しみつつヴェルトは言う。
「ちょっとからかっただけじゃないか」
「発言にはお気を付け下さい。あと、ぐりぐりも」
「あれくらいどうということもあるまい。何か減るものじゃないだろう」
「……減りますよ、俺の寿命が」
これは一本取られた、とヴェルトは苦笑いした。
「それは悪かった。君の命が有限であることを忘れていたよ。しかし……」
と言ったとき、ヴェルトは顔をまっすぐにメーベルに向けていた。
「その寿命、より有意義な使い途があるのではないかね? 僕の気まぐれのために人生を賭ける必要はないと常々思っているのだけれど」
「何を仰られるのかと思ったら……」
メーベルは目を逸らせた。主の瞳を、見つめ返せる自信がなかったから。
「俺はこれでいいんです。俺の命は、先生のその気まぐれで救われたのですから」
おや、というようにヴェルトは片眉を上げたが、それ以上追求はしなかった。
「わかった。好きにしたまえ」
とだけ言って、また窓の外に顔を向けたのである。
「……ええ、好きにさせて頂きます」
主の黄金の髪を、見つめながらメーベルは思う。
あなたは……気づくでしょうか? と。
告げたのは嘘ではないけれど建前で、本当はただあなたと、一緒にいたいだけなのだと。
<< もどる
1
…
12
13
14
15
16
…
98
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【お花見】しづ心なく花の散るらむ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
117人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月20日
参加申し込みの期限
2017年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!