this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
【お花見】しづ心なく花の散るらむ
<< もどる
1
…
13
14
15
16
17
…
98
つぎへ >>
伊賀解理は戸惑っている。
桜降るなか、樹の下で、北風貴子と向き合いながら戸惑っている。
なお、今日の貴子の装いは高校の制服ではない。もちろんジャージ姿でもなかった。飾り気のないベージュのモッズコートに白いシャツを合わせ、押さえたトーンのブルージーンズだった。モノトーンカラーのスニーカーもあって活動的なイメージ、荷物は黒いリュックサックだ。活動的といっても、スポーティというよりはおしゃれ文系といった組み合わせなのが彼女らしい。とてもよく似合っていた。お世辞じゃなくて美人だと思う。
それに、とっても大学生っぽい――解理は思った。もうすぐ大学生なのだから、当たり前なのだけれど。
いや待て。
現実の問題を避けている場合ではなかった。
解理は貴子に問われたのだ。「私はいつまで『いいんちょ』なのかしら?」と。
たしかにそろそろ変だとは解理も思っていた。貴子はとっくの昔に風紀委員長ではなくなっている。といっても高校も卒業したのだから『先輩』って呼ぶのだって変だ。
でも『北風さん』……は距離がハンパじゃなく遠くなった気がする……。
だから解理の出した結論は、
「……貴子さん、でしょうか?」
だった。恐る恐る、怒られないかとヒヤヒヤしながら窺った。
名前呼び!
まさかの名前呼び!
割と恥ずかしい!
だけど他のチョイスはないのだ。
頑張れ、ファイトだ僕! 解理はぎゅっと目をつぶる。自分を応援した。これで拒否されたら『元いいんちょ』とかですかね――そんな弱気を胸に抱えながら。
すると貴子はあっさりと、
「じゃあそれでお願いね」
と認めたのだった。
「だったら私は『解理さん』と呼ぶべきかな?」
「い、いえいえいえいえそんな! 畏れ多い!」
反射的にそう返して、解理は大きく飛びすさった。
「それでは、た、貴子さん、行きましょう」
「そうね」
貴子はまた笑みをこぼした。解理にしか見せない種類の笑みを。
歩きながら解理は空を見上げた。
「去年の今頃は新入生だったのにもう先輩かぁ……長かったような短かったような」
充実した一年であったこと、それだけは確かだ。
「正直、貴子さんがいない学校はまだ慣れないけど、後輩とかできて色々変わっていくうちに慣れていくのかな――」
「私も、二年目はそう思っていたものよ」
「貴子さんが!?」
「大げさに驚きすぎ、私だって平凡な人間なんだから」
「いえ、貴子さんは立派な先輩でした。……僕のできる事といったら、悪さをした後輩に貴子さん直伝の眼鏡ビームを撃つぐらいで……」
「平凡な、って言わなかったっけ」
キラっと貴子の眼鏡が光ったような気がした。元風紀委員長の迫力、いまだ健在なり!
「それは冗談にしても、ほどほどににいい先輩でありたいとは思ってます。でも……色々変わることはあってもまたこうして一緒の時間を過ごしてくれますか?」
訊くまでもないでしょう? と返した貴子の言葉が、解理の耳には心地良かった。
――ああでもやっぱり、『解理さん』呼びを受けてもらったほうが良かったかなあ……?
オーマ・トンノ
は無言で、しだれ桜を見上げている。
なにも言わない。表情からも、何を考えているのか読み取れない。
「大丈夫だよー、盗聴器も爆弾も仕掛けられてないよー」
刻人・F・ミセリア
が駆け戻ってきて告げた。
けれど彼の言葉を耳にしても、オーマは何の反応も示さないのだった。目はやはり桜から動かず、耳がないように超然としている。刻人の言っている内容は、かなり物騒なものであるというのに。そもそも、聞いているのかどうかすら定かではなかった。唇はしっかり真一文字に結ばれたままだ。
だがオーマに限って言えば、これは特殊な状態ではないのである。普段と何も変わらない。むしろ刻人に返事をしたりコミュニケーションを取ろうとしたとすれば、それこそ異常な事態と言えただろう。
刻人も慣れたものだ。オーマの無反応を気にすることなく、ごく当たり前のように呼びかけた。
「というわけで今日はスワンボートで遊んでみようよ」
そして、オーマからの返事など待とうともせず、さっさと川岸に降りてボートのそばで手を振ったのである。
オーマはやはり無言のまま、ここでようやく、ボートに一瞥をくれた。
間もなく、スワンボートはぎこちなく川に乗り出した。とてもではないがスムーズな航行とはいえない。左右にぶれながらよたよたと進むその姿は、傷ついた雌鶏のようでもあった。
刻人はどうもうまく漕げないようで、何回かに一回は足をペダルから踏み外していた。だがそれでもスワンボートが進んでいるのは、かたわらのオーマがゆっくりとだが着実にこれを漕いでいるからだろう。
両岸から均等に離れたあたりまで漕ぎ出したところで、疲れた疲れたといって刻人はペダルから足を離している。
「話させてもらっていいかなー」
一応、疑問形という口調こそ取っているものの、数秒あけて刻人はまた口を開いた。
「いやさーこれくらいの密室ならいいよねー? 仮に外に漏れたとして、何しゃべっても周りもどうでもいいと思ってるだろうしさー」
オーマは無視している。ただ、ペダルを漕ぐのはやめていた。
一人芝居の役者のように、刻人はある程度の間だけ空けて続きを口にした。
「いやー僕だって疲れることとか吐き出したいことあるんだよねー」
はあ、と溜息をつくと、肩が凝る、と言いたげに腕をわざとらしく回して、
「ただの大学生としてやっているときはなかなか情報が集まらないし、かといって夜になってそういう事態になるとオーマがいないとけっこうつらい」
陽光の下では柔和そうな刻人の目なのだが、スワンボートという半密室の暗がりのせいか、その目は刃物のように鈍い光を帯びていた。
オーマは帽子の鍔を引き下げたが、刻人の言葉への相づちではないだろう。ただ、したかったからそうしたようにしか見えなかった。その証拠に、オーマは彼を見ようともしていない。
ところが刻人は話しながら、なにやら興を覚えたらしい。だしぬけに身を屈めると、くぐもった小さな笑い声を上げたのである。
「ふふ、桜の下でこんな愚痴きかせちゃってごめんね」
漕ぐためのペダルは止まっている。オーマは沈黙を決して破らない。だから聞こえるのはスワンボート内に反響する彼の笑い声と、ちゃぷちゃぷという小さな水音だけだった。
しばらく、その状態が続いた。
やがて、おかしみが収まったのか、ふう、と刻人は目尻を拭って言ったのである。
「桜の下には屍体が埋まってるーとかいうけどさ」
窓の外の水面を指して、さもおかしそうに言った。
「こうやって水面に浮かぶ桜のように、いつかは人に見つかるから処理・隠蔽組はいつも大変そうだよねー」
このとき、オーマも水面に漂う花びらを見つめていた。見つめたまま、一切視線を動かさなかった。いやそれを言うならオーマの体は、石膏像であるかのように動かなかった……片脚以外は。
どすっと鈍い音がした。オーマがその片脚で、刻人の脚を蹴りつけたのだ。無造作に出しただけの蹴りだったが骨身にこたえる重い一撃だったらしく、うぐっ、と刻人は蹴られた脚を手で押さえ身を屈めた。
「……イテテ、悪かったよオーマ」
オーマはやはりなにも言わない。何の反応も示さない。
彼女の視線は川面の桜、あるいは、舞い落ちる桜にじっと注がれている。
ずっとそうだったかのように。
これからもずっと、そうであるとでもいうかのように。
<< もどる
1
…
13
14
15
16
17
…
98
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
【お花見】しづ心なく花の散るらむ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
117人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月20日
参加申し込みの期限
2017年05月27日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月27日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!