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寝子島高校
【お花見】桜の下で待ち合わせ
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寝子島シーサイドアウトレットの入口で配布されていたのをそうと知らずに受け取ってから、
「……」
はあ、と
青物 といき
は息を吐いた。何気なく受け取ってからよく見てみれば、それは大観覧車の半額チケット。
(空から桜を見てみよう、ねえ……)
春の青空を背負う大観覧車を仰ぎ、菫色した瞳を不機嫌にしかめる。折角の半額チケットとはいえ、相手のいない観覧車の何が楽しいというのか。
チケットを鞄に押し込み、金色に染めた髪を軽く振る。当初の予定通り、春物のシューズでも買ってさっさと帰ろう。
スポーツ用品やブランド物、食料品に雑貨、様々な品が定価の何割引きかで買えるアウトレット店が並ぶ通りへ向け歩き出そうとして、
「……あ」
上げた視線が固まった。賑わうアウトレットの人込みの中、見間違えるはずのない背中を見つけた。
短く刈った黒髪に、少し低めで、でも筋肉質なのが分かる背中。ちらりと見えた、二十五歳にしては幼い横顔。
「浅井先生!?」
といきが所属する陸上部の顧問であり、担任でもある
浅井 幸太
の姿を確かめるなり、といきは迷うことなく声をあげた。人込みの中で不意にかけられた声に驚いて振り返る先生のもと、といきは駆け寄る。
「青物」
「浅井先生!」
人の好い笑顔を浮かべる先生の肘に、といきは両手で抱き着いた。女子高生に触れられて頬を赤らめ慌てる先生に、といきは悪戯っぽい笑みを向ける。
「何、彼女でもできたからデート用のお洋服でも買ってたのかにゃ?」
からかうように口にしてから、もしも本当にそうだったらどうしよう、と胸が痛んだ。だから、まさか、と困ったように笑う先生の言葉にこっそり胸を撫で下ろす。
「本当かにゃー?」
安堵を気づかれぬよう先生にまとわりついてしつこく冷やかしてから、
「先生」
といきは先生の前に回り込んだ。からかわれて憮然とした表情を見せる先生の顔にちょっと俯く。鞄に押し込んだチケットを取り出すには、少し勇気が要った。
「こ、この間の修了式では先生の前でみっともない姿見せちゃったし、」
言葉にしてから、理由にするには十分だ、と思う。修了式の日、あの時先生は何も言わずにといきが泣き止むまで抱きしめてくれた。
顧問として、優しい担任としての対応だったのかもしれないけれど、あれはとても嬉しかった。思い出すたびに目眩がするくらい頬が熱くなった。
でも、あれは先生にしてみれば迷惑だったかもしれない。
思い出しては赤くなったり青くなったりする記憶を振り払うように、花束を突き出すように、といきは観覧車のチケットを先生の胸の前に出して見せる。
「お詫びに一緒にのろーよー!」
駄々をこねる生徒に、先生は困ったように笑った。
「けどな、青物。みっともなくなんかないからな」
聞き分けのないこどもにするように肩を叩かれ、励ますように笑われ、といきは泣きたくなる。先生と生徒。学校の外で出会えたって、それはやっぱり変わらない。
「観覧車! 観覧車! のーりーたーいー! センセーはといきにひとり孤独に乗れって言うのかにゃー?! 寂しくて死んじゃうにゃー!」
微かな揺れと駆動音を響かせ、空へと昇り始める観覧車のゴンドラの向かいをちらりと見、といきは心の中で小さくガッツポーズをする。
「センセー」
駄々をこねた甲斐があった、と内心で思っていることを悟られぬよう、といきは無邪気な風で窓の外に見えるシーサイドタウンの道を指し示す。
「うん?」
「いつもといきはあそこ走っているんだにゃー」
「どこだ?」
「ほらほら、あそこにゃー、桜の花が咲いてる通り」
首を捻る先生の隣にここぞとばかり身軽に移る。僅かに傾くゴンドラに慌てる先生の様子が可笑しくて可愛くて、といきはくすくすと笑った。先生の肩に身を寄せるようにして、いつも走るランニングコースを教える。
「毎日だよ?」
陸上部として頑張っている姿をアピールすることも忘れない。
「先生も誕生日を迎えたし、一緒に体鍛えない? ランニングとか」
一緒の運動を勧めようとしたところで、
「にゃっ」
窓から迷い込んだ桜の花のひとひらに気が付いた。思わずぱちん、両手で挟んで捕まえる。
(……あれ)
ふと、思い出す。いつだったか、女性ネタで顔を真っ赤にした、純情な先生の初めての顔。あの時はからかって楽しいばかりだったのに、
(今は……)
桜の花弁を手に俯いて、といきは一度瞼を伏せた。
「青物?」
心配そうに声を掛けてくる先生の声を耳に、目を開く。先生の傍らで、先生を見つめる。
「センセー、といきといて楽しい?」
必死の想いで尋ねてみても、
「もちろん、楽しいぞ!」
先生は先生らしい返事をするばかり。
募る想いを口に出来ず、といきは掌の中の桜を握りしめるばかり。
真っ直ぐに切り揃えた前髪を海からの春風が撫でて過ぎる。
シーサイドアウトレットのあちこちの服屋で買い揃えた私服や、本屋で買ったハンドメイドアクセサリーの本が入った買い物袋を両手に提げ、
水上 桜
はほんの少し疲れた息を吐いた。おひとりさまでの買い物は楽しいけれど、ちょっぴり寂しい。
(でも、四月からは一人暮らしなわけだし……寮だけど)
大手銀行である『みけねこ銀行』に勤める父のニューヨーク支店栄転に伴い、今まで一緒に暮らして来た母も弟も父と一緒に渡米する。
寝子高校への入学が決まっていた桜だけが、ひとり寝子島に残る。
(しっかりしなくちゃ、ね)
シーサイドタウンにある実家は、父が米国赴任する三年の間は貸しに出すことになっているため帰ることもできなくなるけれど、木天蓼市には祖父母だって住んでいる。それもあって、両親は最初、木天蓼市から高校に通うことを提案したものの、
(通うには遠いもんね)
その一点から、桜は運よく空きのあった桜花寮への入寮を決めた。三月のうちに引っ越し準備は済ませている。あとは寮へ移り住むだけ。
両手いっぱいの荷物を抱え、家族の待つ家へ帰ろうと歩き出したところで、手際の良い係員のおじさんに観覧車の半額チケットつき広告を渡されてしまった。
「空から桜を見てみよう……」
広告に書かれたポップな文字を小さく読み上げ、桜は黒髪を揺らして首を傾げる。
――土曜日の昼からは家族みんなで桜まつりに行こう
引っ越し準備に追われながらも、父はいつになく楽し気にそう言っていた。家族離れ離れになる前に、思い出を作っておこうと。栄転に浮かれながらも娘と別れることはやっぱり寂しいのかな、桜は案外冷静に分析する。
約束まではまだ時間がある。
(ちょっと立ち寄ってみようかな)
おひとりさまだけど、と口の中で呟いて、桜は海に面した大観覧車へと足を向けた。
チケットを使う前に荷物をコインロッカーに預け、乗り場に立つ。係員の案内に従い、ゆっくりと流れて来たゴンドラにひとりで乗り込む。
「……うん」
ひとりきりで観覧車に乗れば、ちょっぴり大人に近づけた気がした。
(高校生になるんだもの)
ゆっくりと空に昇って行く観覧車の窓から、眼下に広がる寝子島を眺める。春風に包まれた寝子島は、なんだかどこもかしこもが桜色に染まって見えた。
(綺麗)
眼下のほとんどを占める桜の色の美しさに、言葉もなくしばらく見惚れる。
(これを見るだけでも十分、得したなあ)
そんな気分になって、桜はひとり、上機嫌になった。そうして安堵する。ひとりでも、大丈夫。きっとなんだって楽しめる。
(女子高生だもんね)
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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