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【お花見】桜の下で待ち合わせ
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ソファの前のテーブルには、桜に関するイベントの掲載されたタウン誌が広げられている。
紅茶の入ったカップを片手ずつに戻ってきたアパートの部屋の主、
ヒュー・ヒューバート
に向け、
城山 水樹
は甘い笑みを浮かべた。
「桜まつりか」
「そう、桜まつり」
水樹が開いたページには、寝子島神社で開催される桜まつりの記事がある。
紅茶のカップをテーブルに置き、傍らに腰を下ろすヒューのアッシュグレイの瞳を水樹は見つめる。視線に気づいて控えめに微笑むヒューに、水樹はまた笑みを向けた。ひとの体温を求める猫のように、ヒューの腕に腕を絡めてもたれかかる。
ふふ、と知らず笑みが零れた。
「久しぶり」
「うん、久しぶりだ」
水樹は有名雑誌の専属モデル、ヒューは写真撮影で全国を飛び回るフォトグラファー。
先だって水樹が有名コスメブランドのイメージガールに選ばれたこともあり、学生の身でありながら水樹には春休みさえ無い状態だった。お互いのスケジュールが合わずに逢えない日々が続いていたものの、桜の咲くこの週末、ようやくにして偶然、ふたりの休みが重なった。
「行きたい?」
肩を抱かれ、優しい声で問われ、水樹はくすぐったげな笑い声を漏らす。賑やかな場所をふたりで歩くのも悪くはないけれど、
「ふたりだけで桜が見たい」
ふと思いついて、思いついたままを言葉にする。言ってしまってから、そんな都合のいい場所があるのか不安になった。
「……わがまま?」
恋人を困らせるつもりはない。そっと見れば、ヒューは少し考える風をしながらも優しいキスをくれた。額と額を合わせ、悪戯を告白する子どものように笑う。
「寝子島イリュージョンランドは?」
ヒューの提案を受け、水樹は目を輝かせる。
「九夜山の遊園地の廃墟?」
「そう。前に広告写真の撮影をしたときに、桜が何本か咲いているのを見た」
「その手があったか!」
言った途端、水樹は歓声を上げてヒューに抱き着いた。勢いでソファーに押し倒しつつ、白い頬をヒューの胸に押し付ける。
その日は夜更けまでシングルベッドで寄り添って廃墟でのお花見計画に花を咲かせ、翌日、ふたりは木天蓼市にあるヒューのアパートを出た。
早朝の冷たい空気にも関わらず、水樹は漆黒の瞳を溌剌と輝かせ、春物コートの裾を春風に揺らして颯爽と歩く。恋する彼女がそのままどこかに行ってしまいそうな気がして、ヒューは傍らを歩く水樹の指に指を絡めた。
木天蓼市からねこでん木天蓼線に乗り、寝子島大橋を渡って寝子島駅へ。レトロな木造駅舎にある七福猫モニュメントの前にはしゃぐ水樹が立ち、ヒューがカメラのシャッターを切る。
水樹が生まれ育った旧市街を水樹の案内で過ぎ、桜まつりの準備に追われる寝子島神社を横目に耳福池を過ぎて登山道入口駅から砂掛谷駅へ。ロープウェーに乗り換え、展望台前駅で降りた先からは徒歩で三夜湖まで。
短くはない道のりも、道々に咲く桜をふたりで楽しみながら歩けば然して遠くは感じられなかった。
朝の眩しい光をきらきらと反射させる三夜湖に沿ってしばらく歩けば、旺盛に繁殖する葛の蔦に覆われ緑に呑まれつつある寝子島イリュージョンランドの入口に辿りつく。
「足元に気をつけて」
「ええ」
年月にか人の手にか破れたフェンスの穴を潜り、文字通り夢の跡と化した遊園地に恋人たちは潜り込む。
木の根や蔦に乱された石畳を歩き、繁る葛葉に半ば呑まれた錆びついた観覧車や最早動かぬ回転木馬を眺める。朝の白光の中に見る廃墟は、どこか胸をつく寂しさと美しさがあった。
人のいない廃墟を歩きながら、ヒューはそっと内心で息を吐く。
(朝早くに来て良かった)
廃墟マニアに案外有名なここは、時折撮影会が行われたりするほど。けれど思った通り、この時間は誰もいない。
(それに)
朝の光の中にある桜も、なかなか悪くないだろう。
「ああ、……ここだ」
誰もいない遊園地の一角、ヒューは足を止める。
そこには、誰に見られることもなく満開に咲いて散りゆくひともとの桜が佇んでいた。
枝が見えぬほどに咲き乱れ光の欠片のように舞い散る桜を浴びて、手を繋いだまま、ふたりはしばらく言葉もなく桜を見つめる。
「ヒュー」
突然、水樹が唇を開いた。
「私を撮って」
「……ん」
肩に提げたカメラを手に、ヒューは微笑んだ。
「いいよ。撮影会を始めよう」
恋人の言葉に、水樹は花のように笑う。桜を背にしたその笑顔をファインダーに納め、ヒューはシャッターを切る。
桜の樹の下、人待ち顔に佇む顔。
待ちかねた恋人に向けた満面の笑顔の後の一瞬の拗ねた顔。
舞い散る桜の花びらを広げた両手に受け止め浴びる横顔。桜の花びらと舞い踊る魅惑的な肢体。冷たい桜の花びらが降り積もる地に、花吹雪と共に伏せて倒れれば、白い頬に黒く長い睫毛が落ちる。魅惑的な曲線を描いた腰にも胸にも、薄紅の桜が降る。廃墟と桜を背景にした女の姿はひどく妖しく艶やかに、撮影するヒューの瞳に焼き付いた。
切なげな息を吐く紅の唇、儚いほどに白いうなじ、触れれば壊れてしまいそうな細い手首。恋人の見せるどの一瞬も見逃さず、ヒューはほとんど夢中になってシャッターを切り続ける。
ファインダーの向こうに映る恋人の表情は、裸眼で見るとき以上にかけがえのないものであるように、思えた。
「ヒュー」
甘く濡れた吐息のような声で恋人に呼ばれ、その瞬間さえカメラに収めて、ヒューは忘れていた息を吐き出す。知らず、肌が粟立っていた。そのくせ胸はひどく高鳴っている。
「水樹」
応じれば、水樹は桜の花びらを纏って横たえていた身をゆっくりと起こした。黒い睫毛を震わせ、顔を上げる。花びらの褥についていた手を恋人に向けて伸ばし、艶やかに微笑む。
「……水樹」
伸ばされた指先を、花吹雪の風に舞う黒髪を、一途に捧げられた切なげなまなざしを、微塵も余さず写真に捉える。その後の、夢から醒めたように顔中をくしゃくしゃにして照れたように笑うその表情さえカメラに映して、ヒューはようやくカメラから手を離した。
「撮れた?」
「ああ、撮れた」
満足げな笑みで、ふたりは桜の中で手を取り合う。手を取って水樹を立ち上がらせるなり、ヒューは水樹の体をきつく抱きしめた。まとわりつく桜ごと恋人の黒髪を撫で、細いうなじに貼りついた花びらに唇を寄せる。
人気のない廃墟で、桜吹雪の舞い散る中で、恋人たちは長い長いキスを交わす。
互いの唇の熱を奪い合うように唇を重ねながら、水樹はそっと瞼を閉ざす。熱を帯びた瞼から、すうっと一筋、涙が頬に零れて落ちた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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