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【お花見】桜の下で待ち合わせ
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春休みの、しかも早朝の校舎に人影は少ない。
それでも窓の外、グラウンドの端には部活に励む生徒の姿がまばらに見えた。
春爛漫の朝の光が流れ込む廊下を歩き、
御巫 時子
は校舎の一角にある理科準備室に向かう。
(尚輝先生は起床されてるでしょうか?)
窓から見える桜が満開なのを確かめれば、思わず足がスキップじみて早くなる。寝子島神社で桜まつりが開催されると知ってから、今日のこの日を楽しみに待っていた。
朝早く起きてご馳走をたくさん詰めた重箱と花見道具の入った風呂敷包みを両手に持ち、時子は科学研究室の戸の前で立ち止まる。うっかり高鳴る胸を押さえて、深呼吸ひとつ。
「おはようございます……」
小声で挨拶しつつ、そうっと戸を引く。
「ああ、やっぱり……」
器材に半ば埋もれる格好で作業机に突っ伏して眠っている化学教師
五十嵐 尚輝
の姿を見、時子は小さく眉を寄せた。
足音をひそめて準備室に入り、作業机の空いたスペースに風呂敷包みを置く。そうっとそうっと、尚輝先生の傍に近づく。
起きるまでコーヒーを淹れて飲みながら待つつもりではあったけれど、その前に。
(先生の、寝顔……)
見たいな、とこっそり思っていたのに、その目当ての寝顔を見るよりも先、尚輝は作業机に乗せた両腕に半分埋めていた頭をのっそりと起こした。
目を隠すほどに伸び放題な茶色の髪を掻き、ぼんやりと周囲を見回す。
腰掛けたまま眠ってしまっていた椅子の傍らにしゃがみこむ私服姿の時子を見つけ、尚輝は不思議そうに首を捻った。
「御巫さん?」
名を呼ばれ、時子は慌てて立ち上がる。三つ編みにした黒髪をぱたりと揺らし、
「おはようございます、尚輝先生」
ご挨拶。朝いちばんに大好きな先生と言葉を交わせたことだけでも嬉しくて、思わず笑顔になる。
「お早うございます、御巫さん」
若干眠たそうな、いつものぼそぼそとした声で応じる先生の背後の窓からは、満開の桜が見えた。
「ここはゆっくり寛げる特等席ですね」
空気さえ明るくするような桜の色に目を細め、時子は窓の外を見遣る。
「先生はお花見に行かれたのでしょうか?」
「お花見、ですか」
窓の外の桜に始めて気づいたように首を振る化学教師は、もしかするとまた何日も彼の根城と化している準備室に泊まり込んで、旧市街のアパートにも帰っていないのかもしれなかった。
「一緒に行きませんか。寝子島神社で桜まつりをしてるので」
思い切って誘いを掛ける。今日のために、張り切っていつもよりも豪華なお弁当も作った。ちょっぴりお洒落もしてみた。それもこれも、恋心をよせる尚輝先生のため。
「旧市街なのでアパートも寄れますし、歩くのは健康にも良いですから」
先生に断る隙を与えぬよう、時子はほとんど必死に言い募る。
一緒に、お花見がしたかった。
「アパートもそうですが、ここも空気の入れ替え位はした方がいいと思いますよ」
言いつつ、桜咲く窓辺に寄る。窓を開ければ、早朝の光と静かな春風が桜の花びらを伴って流れ込んできた。
作業台にひらりと落ちる桜をしばらく眺めてから、尚輝は猫背がちな背をぐうっと伸ばす。うん、と小さく頷く。
「……そうしましょうか」
「はい!」
時子は顔中で笑った。
「そうしましょう!」
廊下の窓の向こうに桜が見えた。
学校での用事を済ませ、特にすることもなく校舎をうろつく。春休みであるためか、いつも賑やかな学校のどこかしらも妙に静かだった。
自分の足音ばかりが耳に着く廊下を歩きながら、
北里 雅樹
は特にそうではないときでも眠たげに見える黒い瞳をグラウンドへと向ける。
窓辺に揺れる桜の薄紅越し、春休みてあっても部活に励む生徒たちの姿が見えた。自主練習なのか、人数はそう多くない。
グラウンドで走り込む背中、ストレッチをする二人組、
「……あ」
走り高跳びのバーを今しも飛び越えたスレンダーな後ろ姿を目にとめ、雅樹は思わず小さな声を漏らした。
「っと」
声を出してしまってから、ちらりと肩を落とす。一度視線を逸らし、見なかったことにして歩き去ろうとして、
「……」
幼馴染で元彼女である
椎井 莉鳥
の一心に走る背を無意識のうちに再び見つめていることに気づいた。黒い瞳を伏せ、もう一度息を吐く。観念し、廊下から玄関口へ、玄関口からグラウンドに続く通路へと向かう。
グラウンドの端、陸上部の自主練習が一望できる位置に立ち、誰を見るともなしな顔つきで、けれど実際にはただひとりだけを視線で追う。
こちらに気づく様子も見せず、セパレートのウェアを身にまとった莉鳥はグラウンドを駆ける。踏切り、跳ぶ。宙に背を逸らし、惚れ惚れするような綺麗なフォームでバーを飛び越える。跳ね起き、バーを見据える。走ってスタートラインに戻る。その一挙一動を眼で追いながら、雅樹は唇を噛んだ。
俯き、半ば無理やりに元彼女から視線を外す。
(……何、考えてるんだろうな)
思うのは自分自身についてではなく、一心不乱に練習に励む莉鳥のこと。
(練習中って、どんなことを考えるんだ?)
何も考えたくなかった。それが本音なのかもしれない。
だから走った。跳んだ。繰り返し、繰り返し。
(……分からない)
それでも、呪いのように頭の中をその言葉ばかりが巡った。
莉鳥は、今年ようやく高校二年に進級する。
本当ならば、幼馴染であり彼氏であった雅樹とともに、去年二年生になるはずだった。学力に問題はなかった。成績も良かった。
(分からない)
二年生にならなかったのは、去年の期末考査全科目を放棄し、留年することを選んだ自分自身のせい。けれど、衝動的に留年を選んだ去年の自分の選択が、莉鳥には今も理解できずにいる。あの時、どうして試験期間中ずっと自分の部屋に閉じこもっていたのだろう。理由はなんだったのだろう。
(……本当に、わからない)
その時の気持ちを他人に説明できる言葉を莉鳥は持たなかった。それどころか、自分自身にさえも。
その言葉を探す方法すら見つけられないまま、一年が過ぎてしまった。
四月には莉鳥は二年になり、雅樹は三年になる。莉鳥が自身の行為で開けたふたりの距離は、雅樹が猫鳴館に移ったことで更に開いた。このままあと一年が過ぎてしまえば、雅樹は卒業する。今は同じ高校に通う縁もあって顔を合わせることも少なくないけれど、そうなってしまえば、別れは決定的になる。
一年なんて、きっと瞬きの間に過ぎる。
(本当の別れの時が来たら、)
心中の堂々巡りから逃れようとするかの如く、莉鳥は地を蹴る。投げ出すように自分の体を宙に舞わせる。
(私はどんな顔をしてそれを受け入れるのかしら)
宙に舞う視界に空が映り、グラウンドの端の桜が映り、そうして桜の樹の下に佇む雅樹の姿が映る。
「……!」
栗色の瞳を見開いたまま、マットに背が落ちる。跳ね起きた瞬間、自主練終了の笛の音が響いた。
気づかぬ振りで道具を片付け、部活棟に戻ろうとする。シャワーを浴びて汗を流し、制服に着替えて素知らぬ顔で家へ帰ろう。どうせ向こうは、こちらに気づくでもなくなんとなくぼんやりと立っているだけだろう。
「よう、椎井」
そう思っていたのに、元彼はいつものように飄々とした軽い口調で声を掛けてきた。
「……何?」
ちらりと向けた視線の先、雅樹はいつものようにふうわりと笑う。
「桜、綺麗だな」
「……あんたが花に興味あるなんて知らなかったわ」
「いや、桜咲かないと春が来たって感じしないし」
元彼女のいつも通りに素っ気ない物言いにどこかかみ合わないような返事をしていて、雅樹はふと思いついた。
「桜まつりに行こう」
「……は?」
「寝子島神社の。おごるからさ」
この前当たった宝くじの当選金が残っている。ほとんど預金に回しはしたものの、多少は小遣いにしたって構わないだろう。
「俺、ここで待ってる」
トレイに乗せたポットの上、ふわりと桜の花びらが舞い降りた。陶器の蓋の上を滑り、先に落ちた花びらに重なる。
人待ち顔で、
夢宮 瑠奈
は中庭のベンチに腰掛けている。
頭上の桜を仰ぎ、ポットからカップに紅茶を注ぐ。軽音楽部の部室に一年掛けて揃えて行ったお茶のセットは、今日この日のためにあるような、そんな気がした。
(今日は特別な日)
満開の桜の下で、誰とも約束していない待ち合わせをする今日が、特別でなくてなんだというのだろう。
約束していない誰かのカップにもお茶を注ぐ。春風をお砂糖の代わりに、温かい紅茶をのんびりと口に含む。
春休みの学校に、人気は少ない。
離れたグラウンドから聞こえていた陸上部の声も、気づけば桜の花びらにさらわれるようにして聞こえなくなっている。
頭上に咲き乱れる桜の梢を仰ぎ、瑠奈は紅茶色の瞳を柔らかく微笑ませた。
「うん」
とてもいい、そう思う。
今日はのんびりふんわりしたい。そんな気持ちだった。春陽と春風を浴びて座っていたかった。だから今日は、春休みな学校の中庭で特別なお茶会。
伸ばした視線の先、校舎の窓に見えるのは、五十嵐先生と歩きながら心底楽し気な御巫時子の姿。
視線を転ずれば、部活棟から着替えて出てきたらしい凛とした雰囲気の女の子と、待ち切れずに迎えに来たらしいおっとりとした雰囲気の男の子。恋人同士なのかそうでないのかまでは分からないけれど、
(頑張れっ)
瑠奈は心の中で応援する。
今日は、世界中の誰もに優しくなれる気がした。お花見にはめを外してはしゃぐ誰かにも、ひとりきりで誰かを想う誰かにも、やるせない想いを抱えたままの誰かにも。
誰もかもに、今日の陽射しのように温かく、春風のように優しい気持ちを届けたかった。
(あたしは)
紅茶のカップを両手で包み、薄紅の桜に透ける穏やかな青空を仰ぐ。
(あたしは愛をあなたに届けたいのよ)
ぽつり、空に向けて囁きかける。その気持ちは確かにあるけれど、『あなた』が誰に当たるのか、
(今のあたしには見つけられない)
見失ってしまった。
「過去のあたしなら、わかったのかもしれないけれど」
小さな声にして呟きながらも、知っている。今はもうそれでいい。それでいいと思っている。
風が吹き、桜の花びらが空へと舞い上がる。
うららかな春の真ん中に座り込んだまま、優しく満ちる胸に思わず微笑む。
思い出すのは、一年前にみんなで山に登ったこと。猫又川の水源近くにある桜の群生地や樹齢三百年ともいわれる桜の大樹を目指して学校のみんなと山歩きしたあのときは、
(おさるさんと色々シッチャカメッチャカ)
大変は大変だったけれど、楽しかった。
「懐かしいなぁ」
左耳の後ろで結った亜麻色の髪を春風に揺らし、四月から始まる新しい一年を思う。
今までの一年よりも輝けるだろうか。
もっと楽しく過ごせるだろうか。
不安と期待が入り混じった心は、今はのんびり終わる一年と始まる一年の間を漂う。
(輝く星になろうか、きらめく太陽になろうか、それとも見守る月になろうか)
心に紡ぎ、歌うように桜を仰ぐ。
今はまだ、なんにでもなれる。だからこそ、瑠奈は願う。
(いつか、心に残る存在になりたいな)
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
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