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【お花見】桜の下で待ち合わせ
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背丈の何倍もの高さの石垣に挟まれた石段を登る。月影の落ちる石段には絶え間なく桜の花びらが降りかかり、まるで幽世へ続く路のよう。
石段の果て、幾つもの篝火の光に迎えられ、刀は石垣に落ちる月影の暗さに慣れていた眼をしかめた。幾度となく瞬き、眩しさに眼を馴染ませる。抱くように腕に乗せた黒髪の人形ルヴィアの白い額に、小さな子どもにするように掌を翳す。
ようやく慣れた瞳をもう一度しばたたく。風もないのに桜が舞い散り続けるそこは、本丸に面した郭であるらしかった。空を覆いつくして広がる梢の下、彼方では若武者たちが陣を構えて武術を競い合い、此方では床几に掛けた身形のいい男を囲んで大勢の人々が樽酒を開けている。賑やかな輪を更に賑やかしているのは、曲芸師に笛や太鼓の芸能衆。
(時代劇の中に紛れ込んだ気分だ)
たっつけ袴姿の曲芸師の連続宙返りに目を瞠ったり、笛や太鼓の音に合わせて舞う女の流し目にどぎまぎしたり、刀とルヴィアは花の下の宴会を楽しむ。
「賑やかだな」
大切に抱えた人形にそっと話しかける。心を閉ざした彼女がいつか微笑んでくれると信じて。硝子の瞳に映るこの楽しい景色が彼女の心にきっと届いていると信じて。
兄ちゃん、と声を掛けられて振り向けば、酒樽を抱え込んだ紅い顔した男が酒を満たした素焼きの盃を差し出している。
「いや、俺未成年だからお酒飲めないよ」
手を振って断れば、男は不審げな顔をした。反論しようと口を開きかけ、何事か考えるように首を捻り、ややあってそうかと頷く。残念しきりな男に詫びつつ、刀は時代劇のような姿した城の人々を見遣る。
(この城の時代は俺位の年齢でもう飲めたのかな)
酒樽から漂う甘いような酒の匂いに鼻を動かし、ルヴィアに向けて首を傾げて見せる。そうするうち、
「そこな小僧」
今度は襷がけ姿の男から声を掛けられた。見れば、同い年ほどの男は片手に木刀を提げている。同年代の男に小僧呼ばわりされ、刀はムッと眉を寄せる。
「一手手合わせ願えまいか」
言うなり投げられた木刀を咄嗟に受け取る。見る間に周りを血気盛んそうな人々に取り囲まれた。殺気立つというよりは花の下での武芸に高揚しいかにも楽し気な人々の声援を受け、刀は知らず体温が上がるのを感じる。
「お~いいじゃん、やろう」
周囲の雰囲気に乗せられるまま、刀は鮮やかに笑った。誰も彼もが、――木刀での立ち合いをする人々でさえもが、皆が皆、とても楽しそうだ。
見物客の隙間からぴょこんと顔を出し、客の膝の上に座らせてもらってご機嫌な顔をする薄紅の着物を纏った少女にルヴィアを預ける。
「ルヴィア、見てろよ?」
人の輪の央、相手の男と向かい合って立つ。木刀を片手に互いに一礼し、ほとんど同時に構える。
裂帛の気合いと共、相手が踏み込んで来る。一ミリも退かず、初撃を受け止める。
(うん、)
カアン、と響き渡る高い音に、刀は唇の端を上げた。
(いい音だ)
鍛え上げられた太い腕と体幹から間髪入れず放たれる一撃一撃を、刀は声も漏らさず丁寧に受け止める。避ける方が容易いは容易いが、
(見てる方もこっちの方が楽しいと思うんだよね)
知らず零した白い歯に警戒したのか、相手がぎくりと飛び退った。打ち合ううちに汗みずくになった額を拭う余裕もなく、気合いを入れ直すように吼える。
空気が震えるような相手の声を聞きながら、刀は静かに呼吸を整えた。周りに聞こえていた観客の歓声も聞こえなくなるほど、相手の気配にだけ深く集中する。
相手の強さは理解した。どの一撃も充分に速く、充分に重い。
(ただこっちも、剣の道を究めんとしている者だ)
心に宣言し、間合いを切る。構えていた木刀を、鞘に納めた刀に見立てて腰に差す。
(……だから、最後の一太刀だけは)
全力でいかせてもらう。
大技の気配を読んだ人々から声援まじりのどよめきが沸いた。対峙した相手が紅潮した頬を恐怖に近く緊張させる。全ての攻撃は悉く受け止められた。向き合った、一見細身の少年からは殺気にも似た鋭い気迫が溢れ出している。
それでも、退くわけにはいかない。
敗北の空気を感じながら、もう一度木刀を構え直す。打ちかかるも困難な隙の無さですり足で進んで来る刀の片手は、油断なく木刀の柄を押さえている。そこにどれほどの力が貯められているのだろうと想像した途端、背筋が凍った。
「……ッ……!」
足を竦ませる恐怖を振り払い、踏み出す。最早声すらなく木刀を振り上げた、その瞬間。疾風よりも速く、疾く、刀の木刀が降り抜かれた。
明確な殺意を帯びた切っ先が一気に喉元へ殺到する。
躱すことも捌くことも出来ず立ち尽くす格好となった相手の男の顎先で切っ先を止め、刀は黒い瞳をにこり、いっそ無邪気に細めた。
「参った?」
「参った」
悔しい顔で呻く男の喉元から木刀を退け、数歩下がって一礼ひとつしたところで、
「すごいすごい!」
「うわっ」
腿に全力で抱きついてきた少女に不意をつかれ、たたらを踏んだ。今の今まで闘った刀の頓狂な声に毒気を抜かれ、男は声を上げて笑う。男の明るい笑い声につられてか、観客たちが同じような明るい歓声をあげた。
「ごほうびあげる! よくがんばりました!」
薄紅の着物の少女は子猫のように刀にまとわりつきつつ、刀にルヴィアを返し、汗ばんだ刀の手に金色の桜の花片をひとひら握らせる。
「褒美?」
「ごほうび!」
黒髪の下の紅い瞳を屈託なく笑ませ、少女は跳ねるような足取りで観客の輪の向こうへ消えた。
木刀を交えた相手の男に礼を言い、労いの言葉を騒がしく駆けてくる観客のひとりに木刀を返し、刀もその場を離れる。いつのまにか額に浮いていた汗を袖で拭い、空を覆う桜の梢を仰いで息ひとつ。花の宴を一望できる花の下に座り、掌に乗せた金色の桜の花びらを眺める。
小指の爪ほどの大きさのその癖、金の花片はしっかりとした重さを感じさせた。
「奇麗なのですー」
気配も感じさせず、ふわり、間近に銀糸の長い髪がなびいた。驚いて瞠る視界に、灰銀の幼い瞳が覗き込んできた。白い頬に銀の睫毛の影を落とし、
ゼロ・シーアールシー
は刀の掌の金の花片を見つめる。
「お前……」
クリスマスの夜に九夜山で見たことのある神出鬼没な純白の少女の姿に刀は小さく呻く。
「ゼロはゼロなのですー」
「……ゼロ」
ふうわりと言い、ゼロはその場にころり、無防備な子猫のように横たわった。
「奇麗なのですー」
舞い散る桜に小さな両手を伸ばしていたかと思えば、瞬きの間にすうっと眠りに落ちる。
何処とも知れぬ場所で警戒ひとつなく寝入る幼い少女を護るように傍らに座ったまま、刀は肩をすくめた。
(以前もこんな事やったな~)
花の下で少女から貰った『ごほうび』を手に思い出すのは、黄昏の空の下での喧嘩祭。賑やかさの種類は少し違うような気もするけれど、人々の楽し気な顔は少し似ている気がする。
(便りがないのが良い便りって言うけど)
「カンナ」
唇をついてでるのは、黄昏空のセカイを今も護っているはずの少女の名。もうずいぶんと会っていない彼女は、元気にやっているのだろうか。
(お前、寂しくないか?)
桜の空を仰ぎ、刀は呟く。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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