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【お花見】桜の下で待ち合わせ
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「ん~……」
茜の湖畔に立ち、
オルカ・ヴィヴァルディ
は蒼い瞳を細める。左耳にふたつ穿ったピアスに指先で触れ、春の宵に躍る薄紅の桜を見遣る。
湖畔を囲う木立の何処かから待って来た薄紅は、夕陽の色を纏い、緋よりも紅い色の漣を立てる湖面に落ちた。
湖面に無数に揺れる桜の花びらを眺めながら、オルカは小鳥でも宿ったかの如くさわさわといつまでも落ち着かない自身の胸に触れる。
明日、唯一の相棒である
獅子目 悠月
と共にライブに立つ。
その明日を想えば、胸の小鳥はますます騒いだ。
(悠月は先輩とお花見に出掛けちゃったしな~)
ライブ前日である今日はゆっくり過ごすと約束したものの、胸の騒めきをどうしようもなく持て余し、ゆっくり身体を休めるはずだった星ヶ丘寮を抜け出した。
(明日の下見とか~サクラがキレイなとことか~)
そんなことを思いつつ適当に町をぶらついているうち、
(ちょ~っとお出かけしようかな~……って、そのつもりだったんだけど)
気づけば九夜山は三夜湖の畔に立っていた。
(悠月)
明日を想い、明日並び立つ相棒を想い、オルカは花の水面へ小さな息を吐く。
暮れなずむ湖畔に物憂げに立つ黒髪碧眼の少年を遠目に眺め、青年は細い顎に手をやりどこか悪役じみた妖艶な笑みで口元を彩ってみせる。
(水も滴るナントヤラ、デース)
うっかりと素の状態で心中に零してしまった呟きに、青年は切れ長の瞳を瞬かせる。オット、と小さく肩を竦め、気合いを入れ直してもう一度。
(……絵になる少年ですね)
くすりと芝居じみて青みがかった黒い瞳を細め、肩から下げた鞄をゆすり上げる。鞄の中身は手製の手巻き寿司や卵焼きの入った弁当、スケッチブックに鉛筆と色鉛筆。胡散臭いまでの美青年でありながら、その実態は三角巾と割烹着好き家事好きお絵描き好き、木天蓼大学芸術科自力入学を目指しバイトと勉学に励む苦学生、その名も
深縹 露草
。
本来ならば、露草はここに来るはずではなかった。
寝子島神社の桜まつりに屋台を出し、一稼ぎするはずだった。
(学費を稼ぐ一大チャンスを逃してしまいました)
事前に急用が入り、残念ながら屋台の準備をすることは叶わなかった。それならば、たまにはのんびり春を楽しもうとうっかりうきうきお弁当を準備し、ここまで散策をしてきた。
気が向けば花見やスケッチでもと思っていたけれど、湖畔に立つ絵になる少年に声を掛け、姿を描き留めさせてもらおうかどうしようか。そう迷う間に、夕暮れに世界が霞む。空に白く浮かんでいた月が輝きを増す。
「おや?」
茜から藍に沈み始める湖面に月の光の道が伸びたかと思った瞬間、湖の央が霧がかるように滲んだ。瞬きのうちに景色がすり替わる。何もなかったはずの湖面に、ひともとの桜の巨木が音もなく立ち上がる。桜の幹に半ばを呑み込まれるような、壁の漆喰の白が目を惹く城が幻のように現れる。
「何、か……?」
「Mamma mia~!」
言葉を失う露草に代わり、オルカが朗々たる声で歓声を叫んだ。
「こんな大きな城どこに隠してたんだろう」
青い瞳を鮮やかに輝かせ、少年は露草へ闊達に笑いかける。
「いや~、うすうす気づいてたけどホントここは不思議島だなあ」
「あ、ああ、……」
不可思議な現象に怖じることなく、むしろ好奇心に眼を輝かせる少年の姿に、露草は我に返った。
「ああ、そうですね。不思議です」
悠然と微笑み、背筋を伸ばす。湖上に浮かび上がった桜を負った城に眼を凝らして、気づいた。桜の花びらで薄紅に染まる湖を、一艘の舟が渡ってきている。
「乗せてもらいましょう」
舟首に提灯を掲げた小舟に向け、露草は手を振ってみる。櫂を操る船頭らしき笠の男は、白い歯を見せて快活に笑った。
「Ciao~!」
船頭にも負けず劣らず、オルカが陽気な声をかける。
「俺も乗せてもらってもいいかな」
オルカの声にも大きく頷き、着物姿の船頭は身軽な動作で舟から降りた。端折った裾を水面に落ちた桜の花びらに塗れさせながら、舳先を湖畔へ寄せる。
「眠り猫さんみたいなお城……」
湖畔でお花見をしていたらしいこげ茶色の髪した少女が夢見るような足取りで、城からやってきた舟の傍へと近寄る。
「……まさか」
城を水面に持ち上げる灰青の石垣を、巨大な白猫が桜の大木の下で香箱を組んでいるようにも見える城を、きらきらと光る栗色の瞳で見つめ、
恵御納 夏朝
は記憶を手繰る。確か、以前古書店巡りをしているとき、春の一夜に三夜湖に現れる城に関する本を読んだことがある。発行が寝子島書房ということもあり、眉唾ものだと思っていたのに、
「まさか、『幻の八夜城』!?」
小柄な少女の素直な驚きの声に、船頭は顔を隠す笠をちらりと持ち上げてまた笑う。
「ああ、その通り。あれなるは八ヶ淵の殿様と千年桜の姫様の八夜城」
笠の下から現れた老翁の笑顔に、夏朝はぺこりと深く頭を下げた。
「嬢ちゃんも行ってみるかね? そこな嬢ちゃん坊ちゃん達も」
老船頭が声を掛けたのは、夏朝の後ろに立つ円たちと、その後ろからものすごい勢いで駆けてくる
後木 真央
、わくわくした黒い瞳で湖上を見つめつつ腕に抱えた黒髪の人形に柔らかな眼差しを向ける
御剣 刀
。
「ユウくん! 謎の千年桜と幻の調査の為、MMR出動だよ!」
「おー! 萌ミステリーリポートだな! にしてもすっげー!」
それから、おおはしゃぎの
鬼河内 萌
と
野菜原 ユウ
。
カレーヌードルのカップラーメン数個とお湯を詰めた山登り専用のボトルのお手軽お弁当の入った鞄を手に、萌はカメラを起動させたスマートフォンをもう片手に構える。
「ユウくん、こっちこっち」
ちゃんとふたり揃って写るようユウの肩に頭を寄せ、八夜城と千年桜を背景に自分たちに向けてシャッターを切る。
(湖の城だから……)
きゃあきゃあとはしゃぎつつ、萌は湖上の城を観察する。中世に多い難攻不落の山城、平地に築かれた平城、そのふたつの機能を併せた平山城。あの城はそのうちのどれに分類されるのだろう。
(水城、かな?)
となれば時代はもっと遡る。
構造が分かれば、城が建てられた時代も把握できるはず。そう判断するも、
(何だろう、……)
湖に立ち上がった八夜城は、そのどれにも分類できない気がする。例えば、様々な時代の様々な要素を取り入れて自在に造り上げたような、奇妙な構造。
「あのお城の人達は亡霊なのかな? それとも、ボク達が過去の時代に来ちゃったのかな?」
湖の中央に見える城に眼を凝らし、萌はそっと隣のユウに耳打ちする。くすぐったそうに笑うユウにほんのちょっぴり頬を染め、萌は問う。
「ユウくんはどう思う?」
船頭のあの舟は、現世と幽世を、彼岸と此岸を渡る舟なのだろうか。それとも、タイムマシン的なものなのだろうか。
謎かけのような萌の言葉に、ユウはちらりと首を傾げた。萌の視線を追って八夜城を眺め、舟を操る船頭を見、そうしてまた首を捻る。いつも通りの憎めない笑みをニカリと浮かべ、分かんねーや、と肩を竦めた。
「でも、……生きてんじゃね? だってよ、あのじいさんユーレーには見えねーし」
「お邪魔してもいいのか?」
城から舟へと視線を移して問う刀に、船頭は人懐っこく頷く。
「久方ぶりの此方側、……たとえ如何ほどの年月が経ていようとも、久方ぶりの故郷の住人との邂逅だ。姫様がきっと喜ばれよう」
「ふおおお、怪奇現象なのだ、これは行かねばなのだ~」
背負った赤猫リュックからデジタルカメラを取り出し、真央は興奮しきりにシャッターを切る。次いでスマートフォンのカメラでも八夜城の遠景を撮り、
「今からNMR開幕なのだ……送信っと」
短文投稿SNSのねこったーに撮りたての写真と共に投稿する。
本当は、広告で見た星ヶ丘の植物園のちいさなお茶会の食べ物全制覇ついでに飯テロ写真を山のように投稿するつもりでいたけれど、朝起きて眺めていたねこったーに流れていた『八夜城』の噂にどうしようもなく惹かれ、お弁当とレジャーシートとカメラ類を赤猫リュックに詰め込んで九夜山登山と相成っていた。
昼前に着いて、そのときにはいつも通りの姿な三夜湖にしょんぼりしたけれど、待てば海路の日和あり。もののみごとにNMRネタをゲットした。
「あ、ちなみにNMRは寝子島ミステリーレポートの略なのだ、っと」
親切な注釈も忘れず書き込んで、真央は興味津々に画面を覗き込んで来る老船頭に満面の笑みを向ける。鞄からインスタントカメラを取り出し、ぱしゃりと一枚、船頭と自分と、その後ろに居た人々を写す。
吐き出された写真をぱたぱたと振り、真央はみんなの姿が浮かび上がった写真を船頭に差し出した。
「これは異国から来た写真というものなのだ絵の親戚なのだ、お手軽で安いと評判なのだ! お近づきのしるしにあげるのだ!」
「ほうほう、また面白いものが出来とるなあ」
楽し気に写真を懐に仕舞う船頭をしばらく見つめ、真央はエメラルドの丸い瞳を瞬かせる。
「ところで今日は何日だったのだ? 真央ちゃん忘れちったのだ」
「あっ、ボクもボクも! 今年は何年でしたっけ?」
元気に挙手する円と目を見合わせ、真央はフッと賢しらに眼を細めてみせる。そう、船頭が今を寝子歴何年と認識しているのかを聞き出しておけば、来年も同じ現象に遭遇したとき、八夜城が時間ループに巻き込まれて何度も同じ日を繰り返すという記事を書くことができる。
(長期取材なのだ真央ちゃんあったまい~)
「うん? んあー、何日だっけか……千年桜が咲いたし、卯月なのは確かか」
集まった人々を意外に広い舟へと乗せながら、船頭は首を傾げる。その場に集まった全員が乗り込み、思わぬ力でぐいと舟を湖に浮かべて櫂を取ったところで、船頭ははたと手を打った。
「寝子歴1370年! ……かね? 寝子歴、で合っとる?」
皺に埋もれた瞳で問われ、円は頷き返す。確かに、今年は間違いなく寝子歴1370年。
(でも、どうして知ってる? まさか……)
同じことを感じたのか、真央も同じように首を捻っている。
まさか、の続きを思いつくよりも前、船頭が操っていた櫂をひょいと上げた。水面からくっついてきた桜の花びらを散らす櫂の先、香箱を組んで笑う白猫のような城の姿。城の空に覆いかぶさるようにして、薄紅の花を今を盛りと咲かせる老桜。
「すげーな」
刀が思わず呟き、海が眼を輝かせる。船縁から身を乗り出し、傍らの円の服の袖を掴む。
(すごい、幻のお城、本当にあったんだ)
喋ることが出来ぬまでも海の言いたいことはその表情からして明らかだった。円は海に向けて何度も頷く。
「円ちゃ……桜庭さん、寝子島書房ってすごいのね」
湖上の涼しい風に長い黒髪をなびかせながら、能美子が長い睫毛に縁どられた黒曜石の瞳を細めた。
(寝子島書房なのに本当だったよ!)
能美子の言葉に同意を示し、海もこくこくと頭を上下させる。
「こうやって船に乗ってると故郷を思い出すね~」
湖上を渡り気まぐれに舟に舞い込んでくる桜の花びらに手を差し伸べ、オルカは懐かし気に眼を細めた。蒼い湖畔を囲む桜、湖の央に浮かび上がる八夜城、その全てを白く照らし出す頭上の月。桜を纏った涼やかな春風を浴びるうち、ふわりと胸が高揚する。
気分がよくなるまま、オルカは故郷の歌を口ずさんだ。
水上に流れる少年の、少年らしからぬハスキーな美声に老船頭は眼を瞠った。聞き慣れぬ異国の歌に大きな拍手をする。
殿様や姫様に聞かせてやってくれ、と船頭に強く請われ、オルカは鷹揚に首是した。桜の宴で人々に歌を聞かせることは、落ち着かぬ気持ちを宥めてくれるだろう。きっといい気分転換になる。
「いいよ~」
灰青の石垣の下から伸びる石製の桟橋に舟が着いた。石垣を穿つように作られた石段のその先からは、大勢の人々の賑やかな笑い声が聞こえてきている。
「お花見宴会の真っ最中ね……」
ひとが数人並べるほどの灰青の石段にも幾千と落ちる桜の花びらを見下ろし、石段の先の宴会の声に耳を澄ませ、能美子は黒い睫毛の影をそばかすの散る白い頬に落とす。
「……桜庭さんに何かあったら大変だし、私もついていくわ」
落ち着いた声で言いながら、本心は違う。
(面白そう……!)
そう思ってしまったことは決して口には出さず、能美子は長い手足を使って舟から降りた。大好きな円に手を差し伸べる。
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3人まで
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日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
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