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【お花見】桜の下で待ち合わせ
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煌々と光るライトの代わりは、桜花の色を透かせた月光と絶え間なく揺らぐ篝火。
(ちょっとかわったステージだけど)
歌舞伎役者のような風変わりな化粧施して鼓を持った男に請われるまま、舟の船頭と約束した通りに人々の前に立ち、オルカは目の前で待ち受ける和装の人々を見渡す。
(うん、ワクワクするね)
見慣れぬ人々の視線を集めて、けれどオルカは微塵も怖じず、むしろ奮い立つ。優雅な仕草でお辞儀して、春の空気を胸に満たす。桜が満開なステージでは、もちろん春っぽい歌を歌いたいけれど。
(明日の悠月とのステージにとっておきたいんだよね~)
だから、歌うのは最初に悠月と歌った歌。
春の空気を朗々と伸びる声に変えて、オルカは歌う。けれどそれは、あの時、悠月と初めて声を重ねた己のメロディラインではない。だって今は悠月がいない。
だから今は、彼があの時歌ったメロディラインを、彼を思いながら歌おう。
春風に澄んで堂々と響く少年の歌声に、通りがかった薄紅の着物の少女が立ち止まる。酒を手にそぞろ歩いていた身形のいい男女が足を止める。
歌うオルカの周りに、聴衆の輪が厚みを増していく。
一曲歌い終えて、オルカは深く一礼をした。
(ん~)
人々の拍手にもう一度礼を返しながら、オルカの心は少し晴れない。賑やかな宴の雰囲気は楽しいけれど、人々の喝采も嬉しいけれど、今は隣に成功の喜びを分かち合う相棒がいない。それはこんなに寂しい気分になるものだと、オルカはたった今、知った。
(早く明日になって欲しい)
殿様らしい男から金色の花片を受け取りながらも、オルカの心はここにはない。
(早く悠月と一緒に歌いたい)
ああ、せめて。オルカは瞳を伏せて願う。
(声が聞きたいなぁ)
オルカが即興の舞台から引けば、次いで化粧の男の手で舞台に押し上げられたは、能美子。
「旅人のねえさん、何か芸を見せておくれよ」
風変わりな化粧の男に請われるままに人々の前に立ち、能美子はぐるりと人々を見やる。和装の人々に、洋装の自分は異国の人間に見えるのだろうか。
(私、日本史はあんまり得意じゃないほうなんだけど)
郭の一角に立っていても、白漆喰の城壁も灰青の石垣も呑み込むように互いに支え合うようにして立つ老桜と城は目に入る。
(ここまで桜の木と一体化しているなんて凄いわよね)
巡らせた視線を正面に戻す。最前列に並んで座り期待の眼差しとめいっぱいの拍手をする薄紅の着物の少女と身形のいい男女と目が合い、能美子は艶やかに微笑んで見せた。周りの人々がさり気無く敬意を払う様子から見て、彼らがこの城の主なのだろうか。
(……さあ、じゃあ――)
春コートを着物の裾のように捌き、能美子はその場に膝をつく。三つ指をついて淑やかに頭を下げ、菖蒲のように凛と立ち上がる。場を読んだ化粧の男が鼓を打てば、音に合わせ、音もなく掌を返す。舞い散る桜に切ない仕草で視線を伸ばし、見えない袖で目元を拭う。それは桜に待ち人の帰りを願う、静かな舞踊。
しなやかに腕を伸ばし、音もなくすり足で進む。小さな舞台狭しと音を立てず静かに優雅に巡り、喪った者を乞うて彷徨う。見えぬ扇をくるり、花のように回し、亡き人を想うて泣く。
纏わぬ着物を纏うているかのような素振りで両の袖で顔を覆うて、一連の舞いは仕舞い。改めて礼をし、能美子は嫣然と笑んだ。
「宴の一興となれば幸いです」
異国の衣服纏った少女の、城の人々からしてみれば思いがけない自国文化の舞踊に、殿様と姫様を筆頭とする観客たちはやんやの喝采を送った。
舞台を降りる能美子の手に、薄紅の着物纏うた小さな姫様が金色の小さな花片を握らせる。屈託なく笑う姫様と視線を合わせ、能美子はその場に膝を折った。
「こんなにも素敵な宴、生まれて初めてなんです。みたの」
艶やかな舞を見せてくれた舞手の率直な賛辞に、姫は紅い瞳を輝かせた。嬉しそうに得意げに、能美子を見、背後の人々を見る。妾は、と桜を仰ぐ。
「ずっとずっと、皆で宴を続けたかった。だから、……」
小さな唇をぎゅっと結んで俯く姫の小さな肩を、八ヶ淵の殿様と奥方が左右から抱いた。事情ありそうな様子をことさらには追及せず、能美子は城と桜を眺める。
「このお城ができた時から桜の木はあったんですか?」
「初めは、郭の一角にある老いた桜であった」
姫の背中を優しくさすりながら、若くはない殿様が黒い瞳を細める。
「此方に在りし頃は斯様に大きくはなかった。城を呑み、護り始めたは彼方に隠れて後よ」
能美子が殿様の言葉を吟味するうち、八夜城の主とその家族はその場を離れた。互いが互いを支え合うような三人の背を見つめ、能美子は胸を小さく上下させる。
(あの人たち、もしかして)
「はい、お次はそこなお嬢ちゃん!」
変なお化粧をした派手な男に声を掛けられ、夏朝は思わずぴょんとその場で跳ねた。
舟で渡って来た幻の城で、こちらもお花見中だったのだと嬉しくなって、桜の綺麗さと人々の楽しさに嬉しくなって、にこにことしたところへの指名に、夏朝はこげ茶色の眼をぱちぱちと瞬かせる。
「え? 僕?」
「そう! 何か面白いもの見せておくれよ」
赤い隈取の眼を見開いて男からおどけて覗き込まれ、夏朝は戸惑いながらも今手元にあるものを頭の中で確かめる。
(猫パペットのハルくんと、ろっこん用のねこシールと……)
確認している間にも男に背中を押され、夏朝は篝火で四角く囲っただけの舞台に立たさせてしまった。温かい拍手を向けてくれる観客たちにぴょこりとひとつお辞儀をして、夏朝は左手に猫パペットのハルくんを装着する。ぱくぱくぱく、パペットの口を動かしながら、猫マフラーを巻いて隠した口で声音を変えて歌うは、でたらめで素っ頓狂で、どこまでも明るく楽しい猫の歌。
聞いている人々の心まで楽しくなりそうな声で歌いながら、夏朝はハルくんと一緒にくるりとその場で回る。舞台いっぱい、ぴょんこぴょんこと跳ねて回って、全身を使った猫さん踊りを披露する。
小柄な少女の、素朴な可愛らしい猫踊りに眼を細めていた観客は、こっそり自分の体に猫シールを貼って自分を目いっぱい軽くした夏朝が不意に放った片手でのバク転に度肝を抜かれた。わっと沸いた歓声と拍手に思わず動きを止めてお辞儀をする夏朝のもと、別の一角からのっしのっしとやって来た木刀を持った大男が立ちふさがる。
「え?」
「いざ、勝負!」
「ちょっとまって武器が無……」
振りかざされた木刀をハルくんで真剣白羽取りしようとしてるほど慌て、咄嗟に地面に飛び込む。ろっこんで身軽にしたままの身体で飛び込み前転をして初撃を避け、
「わっ!」
起き上がりざま地面を蹴って高く跳ぶ。振り返ろうとする大男の頭をハルくんの左手と右手で掴んで、跳び箱の要領でぴょーんと飛び越える。
「わわっ?!」
両手を広げて着地するなり小さな体を更に小さく丸くして、男の足元をすり抜ける。
軽業師じみた少女の素早い動きに、観客たちからは楽し気な笑い声と拍手が起きる。拍手に応えて猫さん踊りを再開したところで、
「また来たー!?」
再び木刀で襲い掛かられて、夏朝は大きく飛び退った。とはいえ、いずれにせよ折角のお花見。人や物を巻き込まないようにしたい。
(あと!)
見物客の持つお団子の串や飲み物の入った椀にシールが当たるのも避けたい。木刀の大振りを横っ飛びに避けるついでに連続側転を決めつつ、夏朝は舞台を駆け下りる。
「待て!」
「嫌だ!」
大型犬と子猫のどたばた喜劇じみた追いかけっこは、大型犬な武芸者が疲れ果てるまで続きそうだ。
ぽかりと開いた舞台に、ひらりと白いスカートの裾を翻してどこからともなく現れたのは、
ゼロ・シーアールシー
。緩く波打つ銀糸の長い髪を桜の風にふわりと揺らし、ゼロは誰も彼もを和ませるようなふうわりのんびりとした笑みを浮かべた。思わず和む観客にスカートの両端をつまんでお辞儀をし、ゼロは小さな口を開く。
「ねーむれー、ねーむれー、なのですー」
のんびりおっとりとした節をつけて、小さな子どもが寝ぼけ眼で歌うようなでたらめな子守歌を歌い始める。でたらめでいい加減なその癖、不思議と心に響く歌声に合わせ、くるくるくるり、ゼロはバレエ人形のようにその場で回ってみせた。
くるくる、くるくる、体重も感じさせない動きに合わせ、スカートの裾が波打ち躍る。
「わあっ、ごめんねっ」
武芸者の大男に追われ、なす術もなく篝火の舞台に再度飛び込んでしまった夏朝に何も気にしていない笑顔を向け、ゼロは夏朝を背中に庇うように立った。
「退け」
夏朝の身軽な動きに散々翻弄されて怒り心頭な大男に喚かれても、ゼロは一歩も引かない。それどころか、
「ねーむれー、ねーむれー」
ゆったりとした声でまた歌い始めた。男に怒鳴られても木刀を脅すように振り上げられても、ゼロは歌う声を止めない。そのうちに、男が催眠術にかけられたように体をぐらぐらと揺らし始めた。こん、と木刀が地面に落ちる。
「おやすみなさいなのですー」
誰も彼も関係なく慰撫するような、白い少女の穏やかな声に引きずり込まれるようにして、男は地面に伏した。健やかな寝息をたてて眠り始める男を、化粧施した男がぶうぶう言いながら舞台の外へと引き摺って行く。
「あ、ありがとう……」
「どういたしましてなのですー」
戸惑い気味に瞬く夏朝に何でもないように一礼し、ゼロはまたどこへともなく姿を消した。
「さ、お次はねえさん!」
「……あら」
寝入った武芸者の男を舞台の外へ放り出して、化粧の男は背が高く筋肉質で強面の男を篝火の前に引き出した。一見武芸者にも見える彼は、けれど急ごしらえな舞台に立った途端、カリアゲの黒髪をさらりと春風になびかせ、如何にも芸能者のようにその場に佇んだ。
「あらあら」
眉墨を引いたように凛々しい眉を淑やかに八の字に困らせて微笑み、
富士山 権蔵
もといフジコ先生はどこからどう見ても美しいお辞儀を客席にして見せる。
全身黒のぴっちりとした衣服は、全身くまなく鍛え上げた筋肉をあますことなく見せつけるためだけのもの。その肉体美で魅せるは、無言無表情なままの一人芝居。
――かつて、『野良猫座』という演劇集団が存在した。
数年という短い活動期間だけで解散した『野良猫座』は、けれど様々な分野に様々な伝説を刻み込んだ。富士山権蔵は、その『野良猫座』の団長だった。
「……ッ……」
一挙一足、指先から爪先まで、一寸の隙も無くしなやかで強靭な力に満たされた伝説の演劇集団団長の演技を偶然にも目にして、
鴻上 彰尋
は花吹雪の中に立ち竦む。
天に拳を突き上げた直後にくずおれる、それだけの動きですら計算され尽されている。起き上がり瞳を炯々と光らせる表情は、見る者の視線を奪って離さない。
嬉しさのあまり思い浮かぶ言葉すらなく、彰尋は憧れの演劇者の演技を目に焼き付ける。
「何とっ!?」
それはたぶん、少し離れたところでインスタントカメラで写真を撮っては周囲の人々に配っていた真央も同じだったらしい。カメラを握りしめたまま駆けて来て、真央は胸の前で両拳を握りしめる。
(こんなところでゴンちゃんの劇を見られるとはっ!?)
「すげぇのだお得感満載なのだ」
心の声をダダ漏れにさせたかと思うと、真央は溢れ出る情熱を我慢できずに溢れ出させる。
「L・O・V・E・ラブリィゴンちゃ~ん!」
力の限り叫んでから、
「……ハッ」
真央は周りの観客たちの静寂に気づいた。慌てて両手で口を押えるも、もう遅い。普段からゴンちゃん呼びしてはキュッと絞められているのに、増してそこは舞台の上。ゴンちゃんにとってはきっと何より神聖なその場所に向け、心からの声援とは言え大声を向けてしまった。
ほんの一瞬、他の誰にも分からない角度でありながら確実に己を見る眼差しに射殺されるような凄まじいものを感じ、
「……ヒ、ヒィッ」
真央はその場を脱兎の如く逃げ出した。
時間にすれば、ほんの数分。その数分に偶然行き会えた僥倖を噛み締めるうち、富士山権蔵は舞台から幻のように消えた。慌てて見回しても、彼の姿はどこにも見えない。
夢から醒めたように、観客たちが見知らぬ演者に万雷の拍手を贈る。
観客の誰よりも一心に手を叩いているうち、彰尋は胸に生まれた熱に気づいた。自分ひとりでは持て余すその熱に浮かされ、彰尋は富士山権蔵の後の舞台の端に彷徨い出る。
彼の熱が残る舞台の袖に一人立ち、彰尋は黒い睫毛を伏せた。
胸に生まれて四肢に広がる熱を昇華させるため、何かひとつ、芸をしたかった。
(この方々に見せるのであれば……)
自分の演劇は弱すぎる。増して、彼の後となれば、きっと見向きもされまい。今は、まだ。
伏せた瞼の裏に浮かぶのは、能役者である父の舞い姿。
お前には才能がない、きっぱりと言い放ち己を突き放した父の舞い姿は、それでも恐ろしいほどに美しかった。
(能に……父に愛されなくても、)
それでも、あの幽玄の世界を嫌いになったわけではない。
肩に掛けた鞄を舞台の外に下ろしながら、鞄の中から祖父の形見である扇子を取り出す。
(仕舞)
頭にあるのは、面も装束もつけず紋服と袴で、能の一部分だけを素で舞うもの。時間にすれば十分程度の舞は、
(喜んでもらえるかな)
己に向けた問への答えを得られぬまま、舞台の端に座す。観客たちが舞台に向けた期待の眼差しを感じながら、彰尋は幼い頃幾度となく練習した仕舞のひとつの始めの一句を謡う。
少年の唇から流れ出す深々とした声に、客のうちから感嘆があがった。
己を救ってくれた祖父の形見を手に、少年は立ち上がる。父によって立たされ父によって断たれた道にあった能舞を、不思議な縁を得た人々の前で舞う。
父に至る道を断たれたとは言え、舞えなくなったわけではない。己の内には今も確かに、父から叩き込まれた能の舞方が宿っている。
(これも、俺だ)
月と篝火の光を浴びた桜が色づくように、少年の唇を淡い笑みが彩った。
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阿瀬春
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
1000人
参加キャラクター数
110人
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シナリオガイド公開日
2017年05月13日
参加申し込みの期限
2017年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年05月20日 11時00分
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