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寝子島高校
【修了式】ラストスパートは華やかに
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【B】修了式
寝子島高校の講堂にイスが並べられた。三年を除いた生徒達が順々に座っていく。
ステージ上には木製の演台が置かれた。中央にはスタンドマイクがあった。
全ての生徒の収容が終わり、厳かに修了式が始まった。
ステージに最初に現れたのは教頭の
黒崎 俊介
であった。男子の一人が澄ました顔で、僕だよ、と呟いた。唐突な物真似に数人が堪え切れずに笑い声を漏らす。
その集団から少し離れたところに
宮祀 智瑜
が座っていた。涼しげな顔で歩く俊介に不思議そうな目を向ける。
――あの人が教頭先生ですか? どこかでお見かけしたことはあるのですが、確か名前は……。
青ではないですね。白でもなかったような……赤でしょうか?
ボブカットの頭が左右に揺れる。艶やかな黒い瞳で俊介を見詰める。正しくは黒いスーツを目にしていた。
「あー、黒崎先生!」
思わず上げた声にステージの人物は余裕のある笑みを浮かべた。
「僕だよ」
その一言で男子の集団は噴き出した。
軽く聞き流すように
旅鴉 月詠
は忙しなく手を動かしていた。小さなクロッキー帳には講堂の様子が描かれていた。それでいて前を向く姿勢も忘れない。
直感が働いたのか。見回り役の
吉田 熊吉
が月詠の横手で足を止めた。間にいる生徒達の隙間から覗き込む。
気付いた月詠は熊吉に顔を向けた。
「メモを取っているようなものなので気にしないでください」
「メモを取ってるんだな?」
「その系統に属する行為に準じていると確信しています。お気遣いなく」
熊吉は渋い表情となった。
「メモを取っていると信じるからな」
「信じる者は救われると小耳に挟みました」
「信じるからな」
念を押して熊吉は見回りを再開した。
教頭の開式の言葉が終わる。その後を引き継いだのは校長、
雨宮 草太郎
であった。生徒達の間に微かな動揺が広がる。
草太郎の見た目は好々爺、実際に気は優しい。白いシャツにサスペンダーと独自のセンスが光る。
「チャオ♪」
そのような短い挨拶も好ましい。間を空けずに校長としての話が始まった。
生徒達は覚悟を決めた表情で望む。中には余裕の態度を見せる者もいた。講堂の中は適度に涼しく、着席した状態にある。朝の朝礼よりは楽に思えた。
その予想を遙かに超える。いつも以上に話は長かった。哲学者シトラス・ガムダンの引用が延々と続く。時の回廊に取り込まれたような錯覚に陥る。
智瑜は欠伸を噛み殺した。眠そうな目を無理に開ける。
――シトラスのガムが美味しいって話でしょうか?
意識が半分程、甘い眠りの中に浸された状態にあった。眠気覚ましを求めて目を彷徨わせる。
数学教師、
桐島 義弘
の姿が目に入った。凛々しい顔でステージ上の方を見ていた。
――義弘先生、いつもと同じでカッコいいです。校長先生のお話を耳にしているのに眠気を感じさせません。
智瑜はじっと見詰める。義弘は横目を動かした。一瞬、視線が合った。
――咳払いをする義弘先生は、少し可愛いかも。
それにしても校長先生の話は長いですね。まるで子守唄を聴いているような……。
後ろから頭を押されたような姿となり、慌てて背筋を伸ばす。
「……油断すると危ないです」
反省の弁を口にして智瑜は強い瞬きを繰り返した。
月詠は未だに絵を描いている。顔を隠すかのようにサングラスを掛けていた。戻ってきた熊吉は何とも言えない顔で眺める。
「信じるからな」
自身に言い聞かせるように三回目の言葉を口にするのだった。
羽生 碧南
は姿勢よく、校長の話を聞いていた。実際には、まるで耳に入っていない。当然のことながら心にも届いていなかった。
それでいて陽光が煌めく中を散策するかのような笑みを湛えている。
修了式という特別な日に興奮した脳は碧南を早々と乙女ゲームの世界に誘っていた。現状と同じで、そこでも校長の長い話が続いていた。
主人公の彼女の目がとろんとする。閉じた唇が何度か開きそうになった。正面を向いたままの欠伸は憚られる。
彼女は横に向いて大口を開けた。運の悪いことに隣のクラスの男子に現場を見られた。呆れられたような顔に少なからずショックを受ける。
その二人の頭上にフラグが立った。軽快な音楽が場を盛り上げる。中空には『ラブカレイド~恋愛万華鏡~ 羽嶋颯介ルート突入』の文字が浮き出た。
碧南はにんまりと笑う。膝の上に乗せていた拳がプルプルと震える。
それ以後、脳内の乙女ゲームは怒涛の展開を見せる。校内イベントを全てこなし、立てたフラグは余すことなく回収した。無事にトゥールエンドを迎え、特典の回想シーンを何度も再生した。
俄かに周囲がざわつき始める。碧南は笑っていた。至福の表情を浮かべて校長の長話に付き合っていた。
「目を開けたまま寝た?」
一人の男子の説に何人かが頷いた。身長があるだけに碧南は目立った。周囲の女子からは気遣うような声が囁かれた。
碧南は微動だにしない。極上の笑顔を貫いた。
脳内の乙女ゲームは当分、終わりそうになかった。
財前 華蓮
は微笑みを浮かべた顔で歯軋りをしていた。片方の足が苛立たしげに上下する。
――剣崎さんとのウォーキングは引き分けでしたわ。
舞台を移した二回戦、弁論大会では言葉の力を駆使して絶対に勝ちますわ!
マイクをもぎ取って先制攻撃に出るのですわ、フ、フフ。
笑みが濃くなり、口角が切れ上がる。
「フフフフ」
笑い声は漏れていた。目にした生徒は一瞬で目を逸らす。山賊が悪巧みに耽るような表情となっていたのだ。
着席した姿で
御剣 刀
は軽く頭を振った。頻りに目頭を揉む。
――話が長い……長すぎる。一体、どんな効果なんだ? 眠いぞ、座っていても瞼が落ちそうだ。
大きく頭を振った。周囲に目を向ける。他の生徒も似たような状況下にいた。頭が不安定に揺れ動く。
刀はステージ上に目をやった。まだ話が続いている。校長の艶やかな頭を見て眉根を寄せた。
――前に
神魂絡みの事件
があったよな。今回は平気だよな?
不届き者は出現しなかった。ようやく校長の長い話も終わり、刀は力なく笑っていた。
演台のマイクが抜き取られ、ステージの下に待機していた熊吉に渡された。手短な説明のあと、スピーチを行う生徒を探して回る。
「この時がやってきたのですわ!」
華蓮は上気させた顔で立ち上がった。熊吉に猛然と走り寄り、マイクを奪う。そのままの勢いでステージに駆け上がった。
ステージの際に立ち、マイク越しに声を張り上げる。
「皆さん! 今日は私の為に集まってくださってありがとうですわ~!」
「え、なんだって」
「修了式だよな?」
ざわつく生徒達を余所に話を続ける。
「時が流れるのも早いもので、私がこの世に生を受けて17年が経ちましたわ」
止めに入ろうとした先生方も躊躇う。話の内容が微妙に式の主旨と合っているように思えた。
「小さい頃の私は、もうそれは可愛いもので、ああ、小さいと言いましても幼少期からパーフェクトヴィーナスでしたわ」
話を中断した。華蓮は壁際にいた
ジャン・ポランスキー
に早口で語り掛ける。
「先生は映像が専門ですわね。大型のスクリーンを用意して、昔の私の画像とか流していただけませんこと?」
「ユー、急すぎるよ」
「あ、無理ですの? 仕方ないですわ。面倒なのですが、言葉で私の愛らしさを表現させていただきますわ。瞼を閉じると今でも鮮明に思い出せますわ。あれは私が三才の、そう、夏の時のことですわ」
「え、そこから!?」
生徒間で明らかな動揺が走る。第二の校長の襲来であった。その予想は当たっていて身振り手振りを交えたスピーチが長々と展開された。
再び、生徒達の頭が不安定に揺れ始める。
「掻い摘んで話をしましたが、要するに……財前華蓮は最高、ってことですわね!」
片目を閉じた状態で生徒を見回し、高笑いをしながら自身の席に戻っていく。
「……あれは、やべーわ」
「しゃれになんねぇ」
生徒達の引き気味の視線を脚光と受け止めた。華蓮は席に着いても興奮が収まらなかった。
「オーーッホッホッホッホッ!」
激しい笑い声が講堂内に響き渡った。
熊吉は少し疲れた顔で次の生徒を探した。
「頼むぞ」
「え、俺ですか?」
刀は突き出されたマイクを受け取った。その場で立ち上がる。生徒達の心配そうな顔がそれとなく集まった。
「えっと、俺からは一言で」
マイクを適度に口へと近づける。
「皆さん、お疲れ様でした!」
贈る言葉と共に深々と頭を下げた。静まり返った数秒後、大きな拍手が送られた。
「短いは最高!」
拍手と共に素直な感想が飛び交った。
月詠は自身の膝をパンパンと叩いて絵を描く。
「メモはもういいだろ」
熊吉は月詠にマイクを差し出した。
「ん? ああ、スピーチか。私に? それならば、絵を描くのは中断せざるを得ないか」
「絵だと?」
「絵を描くような感覚でメモを取っていたという、一つの比喩として表現してみました」
「わかったから、スピーチを頼む」
月詠はマイクを受け取った。膝の上に開いていたクロッキー帳を速やかに閉じてステージに上がる。
演台の前に立ち、密かにクロッキー帳を広げた。生徒達の顔を素早く写し取る。その状態で話を始めた。
「季節は巡る。誰にも止められない事である」
淡々とした口調に異論を挟む者はいない。月詠は続けた。
「過ぎた日を惜しむのもよいが、やはり、前を向いて歩く事が大切だ。一年生は二年生に。二年生は三年生に進級する。思い出を糧に共に進んで行こうではないか」
言葉を区切る。溜息のような声が漏れる。十分な関心を集めたところで、ああ、と思い出したような声を出す。
「もちろん、勉学を過去に置いていってはならないが」
頭を捻る者が続出した。意味を尋ねる声がする。留年の言葉も聞かれた。
「では、良い休日を」
柔らかい声で締め括った。
熊吉はマイクを手にして生徒を眺める。
「最後の一人は……お前、どうだ?」
話し掛けられた
新田 亮
は目を見開く。
――最後が俺なのか!? スピーチの内容なんて、何も考えて来なかったぞ。
向けられたマイクを黙って見詰める。突き返すことなく受け取った。首を傾げた姿でゆっくりと立ち上がる。
マイクを握っていた手を緩やかに口に持っていく。目は少し迷っているようだった。
「将来の目標というのか、私が初めてバイトした時の話をします」
区切ったところで拍手が起こる。終わるのを待って口を開いた。
「業務内容は調理です。私の得意な分野なので、最初は気楽に構えていました。でも、その認識は簡単に覆されました」
当時のことを思い出したのか。表情に悔しさが滲む。
「調理には技術はもちろん、スピードが要求されます。その両立が絶対で夕食時には休む間もありません。私は何度も失敗して、職場の人に多大な迷惑を掛けてしまいました」
「ドンマイ」
近くの女子から小さな声援が送られた。亮は照れ臭そうにして先を続ける。
「だからこそ、私は頑張りました。家でも練習するようになって、少しずつ仕事に慣れていきました。それもあって初めての給料は本当に嬉しかった」
また拍手が起こる。
「でも、気付いたんです。それだけしても稼ぎは数万円。自立した場合、ギリギリの生活しかできません。その時になって、ようやく父の凄さがわかりました。家族を養い続ける大変さに全く気付けていませんでした」
「俺もだ」
「私も」
ポツポツと声が集まる。亮は笑みを浮かべた。
「バイトは私に大切なことを教えてくれました。今では父を心から尊敬しています。私も将来は誰かを支えられる人間になりたいと思います。できればですが、父のようになりたいです」
マイクを口から離す。亮は熊吉の方を見た。巨体を揺すって涙を流していた。
「この、バカタコが。泣かすようなことを、言いやがって……」
惜しみない拍手が二人を盛大に包み込んだ。
全員が起立した。校歌の伴奏が軽やかに入る。
刀は頭の中に思い浮かべた。
――こんな感動のあとに
裏校歌
は無理だな。
普通の校歌を刀は大きな声で歌い上げた。
最後は教頭の言葉で閉式となり、生徒達は各々の教室へと移動を開始した。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
黒羽カラス
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
1000人
参加キャラクター数
59人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年04月15日
参加申し込みの期限
2017年04月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年04月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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