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寝子島高校
【修了式】ラストスパートは華やかに
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【A】朝から修了式の直前まで
薄暗い部屋に猫の鳴き声のような寝言が聞こえる。
「……むにゃ~」
ベッドに横向きに寝ていた
青物 といき
が寝返りを打つ。
「むにゃ……にゃ?」
少し苦しそうな表情となった。何かを食べるかのように口を動かす。幸せそうな笑顔を見せる。
「むにゃ、むにゃ……にゃー!」
青い瞳が全開となり、ベッドから跳ね起きた。興奮した猫のように鼻息が荒い。けばけばしい椅子に目がいく。ランニング一式が折り畳まれた状態で置かれていた。
「にゃにゃにゃー!」
言語を越えたテンションで椅子に駆け寄る。着ていたパジャマを方々に脱ぎ捨てた。ランニング姿となって部屋を飛び出していった。
星ヶ丘寮を出た。閑静な住宅街をといきは巡る。複雑な道順を俊敏な猫のように走り抜けた。
引っ越しのトラックがちらほらと目に付く。気位の高そうな女の子がグランドピアノの運び出しに色々と注文を付けていた。
――進路が決まった子は、もう引っ越していくのかー。
といきは走る速度を上げた。誰かに襷を渡すかのように前を向き、大きく腕を振った。
いつものコースをこなして邸宅に戻ってきた。といきは汗で濡れた身体を熱いシャワーで洗い流す。さっぱりとした顔で寝子高の制服に着替えた。
リビングに向かう途中で足を止めた。斜め上を見る姿で表情を引き締める。
「いつでも私は陸上部員!」
自らの言葉に頷く。
――記録会がなくても、練習がなくても、浅井先生が顧問で、といきはどこまでも走り続ける!
青春ロードを激走していた。
ゆったりとしたベッドは静謐な棺のようだった。
三宅 葉月
は乱れることなく、仰向けに眠っていた。微かな寝息も聞こえては来ない。永遠の時の底に沈んでいる。
何の兆しもなかった。葉月の両目が開かれた。ゆっくりと上体を起こす。やや首を傾げて、近くの時計に問い掛けるような眼差しを向けた。
――早くに目が覚めたようね。
ゆらりとベッドから離れて身支度を整える。軽い朝食を口にして星ヶ丘寮を後にした。
歩きながら腕時計に目を落とす。途端に足の運びが遅くなる。いつもの道を逸れた。表情は乏しいものの、まるで散歩を楽しむかのように歩いた。
邸宅の庭にミモザが咲いていた。可憐な花が寄り集まって黄色い葡萄を思わせた。
葉月は壁越しに見えるミモザを眺めた。青い空によく映える。学生鞄からスケッチブックを取り出し、そっと戻した。
――記憶の青い画用紙に、スケッチするのも悪くないわ。
僅かに目を細めて瑞々しい心の画用紙にミモザを描いていった。
満足したのか。葉月は散歩の続きを再開した。
学生服を着た三人の女子が前を歩いていた。卒業や進路等の言葉の断片が耳に届く。
――私も、あと一年で卒業ね。進路は決まっているけれど、立ちはだかる大きな壁があるわ。
父と対峙する日は、そう遠くない。
葉月は足を速めた。三人の女子を追い抜いて学校へと到着した。腕時計の時間に目をやる。
「ちょうどいいわね」
緩いウェーヴの掛かった髪を少し弾ませて校舎へと入っていった。
シーサイドタウンのマンションの一室で
大天使 天吏
は目を覚ました。眼帯を付けていない灰色の右目で置時計を一瞥した。
――いつもより、少し早いわ。
ベッドから降りて制服を手にした。着替えの途中で自身の腕に目がいった。
切り傷や青黒い痣が白い肌に張り付いていた。その跡を慈しむように指先でなぞる。
――自然観察で出来た傷に、これはクローネ様を守った時に受けたもの。
天吏は身を震わせた。痛々しい傷跡の全てに微笑み掛ける。
「少し気が緩んだわ」
瞬時に悲しげな表情に塗り替えた。事前に用意した愛らしい花柄の絆創膏を腕や足に貼り付ける。
その姿を鏡で確認した。
「女の子らしくしないとね」
仕上げに年相応の表情を作る。軽く鼻で笑って出掛ける用意を済ませた。
「今日は修了式、それらしい態度で臨むわ」
空々しい言葉で外へと踏み出した。控え目な笑みを口元に作っている。他の生徒達に混ざって学校に向かう。
――修了式ね。二年の私は、どのような態度を取ればいいのかしら。
適当に回りに合わせて、それらしい感じを演出すればいいのかもね。
不意に口角が上がる。寒々しい三日月は瞬時に掻き消され、控え目で心優しい女性の表情に変わっていった。
寝子島高校の閑散とした北校舎に
御巫 時子
の姿があった。二階に向かう階段をいそいそと上がる。いつもの三つ編みの髪に、そっと寄り添うように淡いピンクの花飾りが付けられていた。
――今日の五十嵐先生は白衣姿? それとも修了式に相応しいスーツでしょうか。
頬をほんのりと染めた時子は二階の廊下に踏み出した。理科室が近づくに連れて歩調を緩める。
程なくして扉の前に立った。時子は握った拳を自身の胸に押し当てる。軽く扉をノックした。
やや遅れて控え目な声が返ってきた。
「鍵は掛かっていませんよ」
「失礼します」
少し笑みを抑えて時子は中に入っていった。
窓辺に
五十嵐 尚輝
の姿があった。ビーカーに入ったコーヒーをちびちびと飲んでいる。
「スーツに白衣を羽織っているのですね」
「白衣の方が落ち着くもので……おかしいですか?」
「いいえ、先生らしくていいと思います」
にっこりと笑って答える。尚輝はボサボサの頭を掻いて口元を緩めた。
「御巫さん、今日は早いですね」
「はい、少し先生に聞きたいことがありまして。よろしいでしょうか」
「何が聞きたいのですか?」
尚輝はビーカーのコーヒーを一口飲んだ。
「今日のホームルームのあと、理科室の掃除をする予定はありますか。化学部の方々がされるのでしょうか?」
「僕は何も、聞いていませんね。たぶん……一人で掃除することになると思います」
その言葉を受けて時子の顔が綻ぶ。学生鞄から手縫いと思われる雑巾を取り出した。
「私が手伝いにきても大丈夫でしょうか?」
「……僕としても、助かります」
「あ、先生。ネクタイが少し曲がっています」
「そう、ですか? ちゃんと締めたと思ったのですが」
ぎこちない手でネクタイを弄る。余計に形が悪くなった。時子は世話の焼ける子供を見るような目で笑う。
「私が締め直してあげます」
「いや、さすがにそれは……少し恥ずかしいというか」
「ダメですよ。今日は修了式ですから。きちっとしないと」
「……お願いします」
尚輝は観念したように少し屈んだ。時子はネクタイを解いて締め直す。少し顔が近くなり、頬が赤らむ。
二人の時間は穏やかに流れていった。
猫鳴館の一室で
サキリ・デイジーカッター
は制服に着替えた。建て付けの悪い窓を足で蹴るようにして開ける。
「特等席の完成だ」
窓枠に背を預けて座る。手には不格好なサンドイッチが握られていた。鳥の囀りを耳にしながら齧る。
銀色の髪が風にそよぐ。赤い瞳は大空を飛ぶ鳥を捉えた。
「今日で一年生も終わりか」
声に出して、すぐに口を閉じる。残ったサンドイッチを無言で平らげた。
木々に囲まれた空間に静寂が訪れる。サキリは片膝を立てた。それを利用して頬杖を突く。
――いつもの朝が思い出せない。こんなに静かだっただろうか。
どこか沈鬱な表情となり、ふと笑みが零れた。
「今日は修了式だから」
もっともらしい答えに行き着いた。晴れやかな顔で空を眺める。
――静かなのは今だけだ。すぐに新入生がやってきて賑やかになるだろう。
思考を中断した。どこか目が優しくなる。
「そうなると、僕は先輩になるのか」
軽く瞼を閉じる。思い出し笑いのような表情を浮かべた。
サキリは窓枠から降りた。制服に何かを仕込んでいるのか。手で確認した。
「さあ、学校へ行こう」
気負いのない声で部屋を出ていった。
千堂 結
はすっきりと目覚めた。
「変わらないね」
修了式の当日、いつもと同じ朝を迎えた。ゆったりとした気分で制服に着替える。そして軽い朝食を済ませた。
「寝癖も、大丈夫と」
洗面台の鏡にニコッと微笑む。その表情が少し曇る。
――何か忘れているような気がするんだけど。
制服のポケットにハンカチは入っていた。身だしなみに関しても問題はない。
「なんだろう?」
少し過去を遡る。その時、時計に目がいった。
「遅れたら早起きの意味がないよね」
吹っ切ったように声を出し、明るい表情で出掛けていった。
鵙海 甫
は旧市街の祖父母の家を出た。
歩きながらショートボブの髪に手を入れる。少し右に流す。続いて前髪の毛先を弄る。気に入らなかったのか。両手で髪全体を崩した。
結局はいつもの髪型に落ち着いた。神経質な手が眼鏡を押し上げる。位置を間違えてレンズに触れてしまった。
「何してんだよ」
眼鏡を外して制服の一部で拭いた。
――肩の力を抜け。心配するな。これはちゃんとした約束なんだ。
意識して呼吸を繰り返す。最後に大きく息を吐いて眼鏡を装着した。
いつも通りの自分に戻った。顔を正面に向ける。信号待ちをしている結に目が留まる。
一瞬、表情が強張った。
――いつも通りを心掛けろ。自然が一番だ。
口角を指で何度か押し上げる。甫は速やかに結の横に並んだ。
「おはよ、今日も早いな」
「おはよう、甫君。今日は修了式だね」
結の明るい笑顔に甫は眩しそうに目を細めた。
「そうだな。転校してきてドタバタしてたら、あっという間に高1が終わりなんだぜ」
「時間が過ぎるのって早いよねー。もう少し先輩になるって思うと、ちょっとドキドキするね。あ、信号が青になったよ」
結は先に歩き出す。甫はどこか不満そうな顔で付いていく。
――そんなドキドキじゃなくて、ほら、約束があるだろ?
再び横に並んだ甫が横目で窺う。結は空を見上げて、青いね、と呟いた。
「修了式には良い日だな」
話を合わせる。しかし、内心は穏やかではなかった。
――天気の話がしたいんじゃない! 期末テストの、あの約束だよ!
目に力を込めて結を見詰める。一向に気付く様子がない。
甫は結の艶やかな唇を見ながら切り出した。
「それでさ、テストのことなんだけど……」
「テストって?」
きょとんした顔に甫は顔を赤らめながら言った。
「千堂の家で期末テストの勉強をして、ノートに書いた、
あの約束
のこと……」
「そ、それ。約束は……その、えっと」
結の目は泳いだ。そこに風が吹き付ける。
「あー、涼しくて気持ちいい~」
「もしかして、約束はなかったことに……」
甫の言葉に結は顔と手を同時に振った。
「そ、そういうつもりじゃ。あ、あの、甫君。下校の時に、その……約束について、ゆっくりと、話したいから、その……」
「わかった。付き合うよ」
「え、付き合うって!?」
「あ、いや、そういう意味じゃなくて」
「う、うん、そうだよね。私、どうしちゃったのかな」
二人は気恥ずかしそうに笑った。
星ヶ丘寮の邸宅から
音海 なぎさ
が、おっとりとした様子で出てきた。目に付いた通学用の自転車に微笑み掛ける。
――ごめんね。今日はのんびりと歩いて行きたい気分なんだよ。
朝陽を受けたオレンジブラウンの髪は瑞々しい果実を思わせた。マリンブルーの瞳は温暖な地域の海の色に似ている。制服の上から羽織った衣服は爽やかであった。
のんびりと歩いて優しい眼差しを方々に向ける。
――あれは何の花なのかな。紫色が綺麗だね。
大きな家の横に通り掛かる。相応の庭があり、花々が咲き乱れていた。鮮やかなピンク色に目が留まる。
――寝子島の桜はどれくらい咲いているのかな。
そういえばボク、この島の春は初めてだったね。
自然と歩みが遅くなる。桜の木を求めるように青い瞳を動かした。時に匂いも嗅いだ。甘い香りは上品な洋菓子のようだった。
「胸がいっぱいだよ。でも、たぶんだけど」
口に出して、言葉を斬る。
――今日が修了式だから。
楽しそうに笑ってくるりと回る。目に見える全てに惜しみない笑顔を注いだ。
――ボクはこの日を忘れないよ。記憶のアルバムに収めて、ずっと色褪せないまま、残しておくからね。
十分に堪能して正門にやってきた。そこで急ぎ足の
志波 武道
と出会った。
なぎさは笑みを絶やさずに声を掛ける。
「志波くん、おはよう。朝から忙しそうだね」
「おはー、なぎさくん。今日は行事がてんこ盛りだからNE! そうそう、打ち上げでカラオケやるんだけど、どーかな!」
「楽しそうだね。ボクも参加するよ」
「じゃー、詳しい話は、またあとで★」
武道は駆け足となって校舎へと向かう。
「本当に忙しそうだね」
なぎさはゆっくりとした調子で教室を目指す。
制服を着た
椎井 莉鳥
が通りをゆく。途中でスマートフォンを取り出した。イヤホンを繋げて両耳に嵌める。
冷やかな目で曲を選択。すぐさま、片方のイヤホンを嵌め直す。特に表情に変化は見られない。いつもの通学路で音楽を聴きながら淡々と歩いた。
前を向いていると横手から
北里 雅樹
が現れた。莉鳥に気付かず、呑気な様子で前をいく。
どちらも声を掛けなかった。一定の間隔を空けて正門までやってきた。
突然に雅樹が振り返る。眠そうな目でわざとらしい溜息を吐いて見せた。
「俺は椎井の元彼なんだし、声くらい掛けてくれてもいいと思うんだが」
寝癖の付いた髪を手で撫で付けながら言った。莉鳥はイヤホンの音量を下げて立ち止まる。
「雅樹が声を掛ければいい話よね。一瞬、横目で私を見たのだから」
「そこまで気付いていたのに、声を掛けないところが椎井らしいというか」
「緩い雅樹らしいとも言えるわ」
「どちらもらしいってことで」
雅樹はのんびりと話を打ち切った。思い付いたように話題を切り替える。
「何の曲を聴いているのかな」
「そんなことには興味があるのね」
「修了式のあと、打ち上げがカラオケなんだよ」
締りのない笑いに莉鳥の片方の眉がピクリと動く。一方のイヤホンを外して雅樹に無言で押し付けた。
「あ、あのさ、俺の頬に耳は付いてないんだけど」
「さっさと嵌めなさいよ」
「わかったよ」
頬に捻じ込まれたイヤホンを受け取り、耳に嵌める。直後に深く項垂れた。
「よくわかった」
力なくイヤホンを返した。莉鳥は悠然と受け取って耳に嵌め直す。
「参考になったかしら」
「俺はソプラノ歌手じゃないんだから、こんなのカラオケで歌える訳ないだろ。アニソンとかはないのかよ」
「進歩しないわね」
冷やかな一言で歩き出す。雅樹は横に並んで食い下がる。
「特撮物でもいいんだけど、何かないか」
「カウンターテナーの曲ならあるわ」
噛み合わない話を延々としながら二人は校舎へと歩いていった。
朝鳥 さゆる
はベッドの軋む音で目を覚ました。何とはなしに隣に手を伸ばす。その姿で顔を横に向けた。
――いるはずがないわ。
寂しい笑みで上体を起こした。殺風景な部屋に生活感は皆無であった。以前の持ち主、片篠藍人の姿はどこにもない。
がらんとした空間には、しかし、確かな思い出が刻まれている。下着姿のまま、さゆるはベッドから降りた。近くの壁に指を這わせる。獣が引っ掻いたような跡が薄っすらと残っていた。壁には微かな傷が多く見られた。
過去、二匹の獣が欲望を吐き出した。時に蛇のように絡み合い、歓喜の叫びを上げては壁に爪を突き立てた。相手の身体も傷つけた。
無機質にも思える部屋には無数の濃密な記憶が刻まれていた。
さゆるは壁から離れた。制服を引っ掴んでバスルームに向かう。歩きながら下着を脱いで、すぐに熱いシャワーを浴びた。湯を掛けた肌がほんのりと赤くなる。構わずに温度を上げた。
冷え冷えとした表情で全身が白い煙に包まれた。
溜息にも似た息でバスルームから出た。濡れた身体をバスタオルで丁寧に拭き取る。着崩すことなく、きっちりとした制服姿となった。
洗面台の鏡に上半身を映した。目鼻立ちの整った大人の女性がこちらを見ている。
――女性の姿をした虚無がいるわ。
鏡中の美貌の持ち主は底意地の悪い笑みを浮かべた。人間らしい表情であった。
さゆるは静かにマンションを出た。
どこか儚げなさゆるの様子は秋を思わせた。吹く風もどこか冷たく、居合わせた人々の背中が自然に丸くなる。
僅かな時間で一年二組の教室にやってきた。さゆるは窓際の席に座る。周囲を拒絶するかのように窓外へと目を向けた。
淡い光が少し濡れた髪に注がれる。どこからか花弁が飛んできた。一片の春を目にしても表情は変わらない。
自身の腕に指を食い込ませる。
――この痛みがあたし達の絆。心の奥底には疼痛が残っているわ。
藍人、残っているのよ。
さゆるは落ちてゆく花弁を最後に目にした。
星ヶ丘寮の広々とした部屋で
神薙 焔
は気持ち良さそうに眠っていた。寝返りを打っても目を開けない。仰向けの姿で急に頭を左右に振り出した。赤い髪が乱れる。
「そのベレッタ……あたしの……返さないと……」
物騒な寝言のあと、掛布団が足で蹴飛ばされた。焔は目を閉じた姿で笑う。
「股間が……がら空き……あたしの……勝ちね……」
その時、ドアが控え目にノックされた。少しの間を空けて同じ行動を繰り返す。反応がないことに慣れているのか。落ち着いた声が聞こえてきた。
「お嬢様、登校の時間を過ぎました」
「うーん、なんでよ? 目覚ましは、まだ……」
ようやく片方の瞼を開けた。焔は手近な目覚まし時計を掴んで引き寄せる。時間を目の当たりにして、えー、と声を上げた。
「なんで鳴らないのよ!」
「いつも通りに鳴っていました」
扉の外から丁寧な補足が入る。
「なんでこんな日に!」
クローゼットの制服を取り出して急いで着替える。頭頂の髪の乱れはヘアバンドで押さえ付けた。
「出掛ける用意はできたけど、朝ごはんを食べてる時間がないよ!」
「手早く食べられるものをご用意しました」
「それ、食べる!」
焔は扉を開け放つ。メイドが一礼した姿で銀のトレイを差し出した。大皿にはサンドイッチが一口サイズで置かれていた。
「これならいけるわ!」
焔は手掴みでサンドイッチを口の中に押し込んだ。残りを手にして廊下を走り出す。
玄関で靴を履きながら最後の一口を平らげて外へと飛び出していった。
自転車のハンドルに引っ掛けられたヘルメットを急いで被る。一瞥した空は青い。サドルに跨り、ペダルを勢いよく踏み込む。
背中に風を感じた。絶好の追い風であった。
「一気に行くわよ!」
自転車は坂道を下る。鋭く切れ込むようにしてカーブを曲がった。
――この道もだいぶ慣れたわね。いつもコレだと困るけど。
内心の苦笑を余所に口は大きく開いた。大声で笑い出しそうな笑顔であった。
「気持ちいいー」
赤い火球となって寝子高へと突っ込んでいった。
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シルバーシナリオ(150)
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3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
1000人
参加キャラクター数
59人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年04月15日
参加申し込みの期限
2017年04月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年04月22日 11時00分
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