コミックヒーローズ　ヘルズゲート・ゴースト｜リアクション

コミックヒーローズ　ヘルズゲート・ゴースト

■ドクターＪと地獄の鎌
　古い秘密の話をしよう。
　スーパーアイドルヒーローことロージープリンスには秘密があった。
　彼は自らの大事な顔を傷付けられた時、隠された真なる力を発揮する。
　まばゆい光と全てを破壊するパワーゆえに誰もその力を見ることはなかったが、ある例外が存在していた。
　それが『ロージープリンスに殺された者』である。
　死する寸前に彼の生み出した『地獄の鎌』を目撃したある男は、ロージープリンスの力の秘密を知ったのだ。
「地獄にはかつて統治者がいた。全ての魔力が行き着く先。いわば経済の通り道とも言うべき存在だ。その座についていた王は革命によって滅ぼされ、膨大な力は奪われた……かに思われた」
　無数に並ぶ円柱水槽。
　子供たちの浮かぶ青白い水槽の林を、白衣の男が歩いて行く。
「王は力をそのまま持ち去り、現世への転生によって逃げ去ってしまったのだ。その際に人間の器に収まりきらなかった力が現世にあふれ、同時期に生まれた人間たちへと注ぎこまれていった」
　水槽のひとつに触れる。
「ストレイト、オークマン、プロディジー、プリンセスフローラ……数々のスーパーヒューマンが誕生し、悪となり正義となりひとつの時代を築いていった。その時代の波に乗って生まれたのが彼、ロージープリンス。『地獄の鎌を奪った男』だ」
「つまり……」
　水槽の向こう。
　鏡のような水晶のなかで、テレビ電話でも介するように何かが揺れていた。
　無数の動物をあわせたような魔神である。
「彼を殺せば、我らは力を手に入れる」
　笑う魔神。
　笑う白衣の男。
「共に目的を果たそうではないか。私の作り出した人工の魔女――『サイキックチルドレン』で」
　彼らの間にある水槽には、天音が浮いていた。