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夢の通い路の先で
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今日は褥に彼女がいない。
冷たいベッドに身を横たえ、けれど数時間と経たぬうちに目が覚めた。
うっそりと開いた深紅の瞳に映るのは、空の枕。視界の端に映る己の白い手を滑らせ、冷たい羽根枕に触れる。さらりとした布地に触れるはずの指先は、じとりと冷たく濡れた。
濡れた指先のまま、起き上がる。頬を転がり落ちる冷え切った涙の感覚に、
桜 月
は寝ながら泣いていた己に気づいた。
(夢のせいだ)
溜息と共に断ずる。
夢の中、いつも隣にいてくれる彼女が寂し気に手を振って踵を返した。柔らかな肩に凛とした決意を宿らせ、迷うことなく歩み去っていく彼女の背中を、掛ける言葉も思い浮かばぬままに見送った。
(……嫌な夢だ)
夢の中で胸を突いた喪失の痛みが蘇って、月はまた息を零した。息と共、瞳から溢れて零れる涙を掌で丁寧に拭う。
(本当に嫌な夢だよ)
涙がついた掌は、知らず傍らの枕に触れた。
無意識のうちに、時折褥を共にする彼女の体が横たわる空間に手を伸ばしていることに思い至って、その時折に彼女と交わす行為に思い至って、月は白い頬に僅かな朱を昇らせた。
ああ、と嘆息にも近い声が漏れる。
理由に、気が付いた。
彼女がそこにいると確かめるために、彼女に己の存在を刻み込まんがために、彼女と肌を重ねる理由。吐息を合わせ、互いを昂らせる理由。
(失いたくない)
真実、そう思う。
そう思ったのは、彼女を失う夢を見てしまったせいだ。
彼女との行為の理由を夢に無理やり自覚させられたようで腹が立った。それと同時に、悟る。
(それは、あり得る可能性なのだ)
己の頭の隅には、いつか訪れるかもしれない彼女との別れに対する恐怖にも近い不安が常にある。
自覚してしまえば、それは頭の中で確固とした位置を定めた。
例えば、彼女が己を負担に感じてしまえば。
例えば、彼女に別に好きなひとが出来たら。
例えば、彼女が寝子島ではない別の場所でやりたいことを見つけたら。
「っ……」
肩から己の白い髪が滑り落ちて、月は己が震えていることに気づく。震える己を己の両腕で抱いて、ひとりきりの褥にひとりきりで体を横たえる。掛け布団を抱き寄せ、腕と足を絡めて抱き着く。震える唇を噛み、瞼を固く閉ざす。
(明日)
夜が明けたら、と祈るように思う。
(彼女が来たら甘えよう)
朝になれば、専属モデル兼メイドの仕事をも請け負ってくれている彼女が起こしに来てくれる。
互いに依存しすぎないようにしようと彼女は言って、だから一緒に眠るのも時折のこと。本当は毎日でも睦み合いたいのに。傍に居てくれる存在を確かめたいのに。
己の強さを信じてくれる彼女の笑顔を曇らせたくなくて、月は強くなりたいと願う。ひとりで眠られるように、ひとりで立っていられるように。
(ひとり、で……)
閉ざした瞼が震える。
瞼さえ閉じていられなくなって、月は溜息と共に起き上がった。目が、すっかり冴えてしまっている。
(散歩しよう)
ベッドで朝を待つことを諦めてしまえば、いっそ気持ちは楽になった。
ひとりきりのベッドを抜け出す。冷たい床を裸足で踏み、夜着を脱ぎ捨てる。クローゼットから取り出した服と春物のコートを着込み、使いはしないと分かっていても、日傘を手に取る。鞄にノートとペンを詰め、テラスに出る。
夜中にこっそりと星ヶ丘寮の外に出ることにも、大分慣れた。
いつもの要領でろっこんを使い、人に知られることなく寮の外へと出る。
(まだちょっと寒いかな)
月明かりにうっすらと白い息を吐き出し、街灯に照らし出された閑静な住宅街をゆっくりと行く。あてどなく歩きながら、頬に感じる花の香を含んだ冷たい風が心地よかった。
花の香の風に誘われて夜空へと視線を上げる。冬の夜空の峻厳さはいつしか春霞の如く優しく滲む春の夜空となっていた。淡くぼやけて瞬く星と涙に霞むような月の優しい光は、孤独への恐怖に怯える心を慰撫してくれる。
その、はずだった。
いつもならばざわめく心を凪がせてくれる夜空の光も、今日は胸に届かない。
(彼女が居なくなる)
その考えが頭を過る度、胸には傷ついた獣じみた咆哮が轟く。
(嫌だ、怖い、嫌だ、怖い)
絶対に、嫌だ。
壊れたレコーダーのように同じ言葉ばかりが胸を埋め尽くす。埋め尽くしては暴れて心を傷つけてゆく。失う恐怖に占められ心が軋む。
恐怖に爆ぜてしまいそうな心をどうにか鎮めるべく、月は頭に服飾のデザインを纏め始める。
デザインを始めたのは、自分の想いを形にしたかったがため。だから、――苦しい思いも、楽しい思いも、すべてが当然の如くデザインに行き着く。
「……ん」
足元を淡く優しく照らす光に伏せていた白銀の睫毛を上げれば、そこは星ヶ丘の住宅地でひっそりと営まれる小さな植物園、『ねこの庭』。小さな植物園の内にある小さな小さなカフェ『Oz』へと視線を伸ばせば、今日も夜更かし営業中。
頭に描いたデザインをノートに描き出そうと決めて、月は『Oz』へと足を向けた。
夜更かしのお供は、ハーブティーとクッキーにしよう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月17日
参加申し込みの期限
2017年03月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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