メリーさんが座敷童、なの｜リアクション

メリーさんが座敷童、なの

　砂掛谷駅に降りた桜庭円が笑顔で飛び出す。白いゴシックロリータは愛らしく、その足取りはとても力強い。今日も元気に厄介事に首を突っ込む気概を見せていた。
「おー、この幟がそうじゃん」
　緑の髪を弾ませて何度も頷く。好奇心に満ちた目でガラッと引き戸を開けた。
　待ち構えていたかのように女の子が現れた。円は子供っぽい笑みで手を挙げた。
「やっほー、メリーさん。ボクが来たよー」
「いらっしゃいませなの」
「ん、んん？　今回は座敷童メイド都市伝説なのかなー」
　少し視線を下げて言った。
「今はメリーさんという座敷童なの」
「メリーさんが座敷童に転職したの？」
「一時的にはそうかもしれないの」
「じゃぁ、座敷童さん。一泊おねがーい。あ、それとできたら、その経緯を聞きたいなー」
「ごちそうしてくれたら答えるの」
　俄かに円の表情が曇る。吹き飛ばすような笑顔を作り、自らの胸を叩いて見せた。
「おっけー、それでいいよ。あとでボクの部屋に来てね！」
「わかったの。フロントはあっちなの」
　女の子は先に歩き出す。円の見えないところで舌なめずりをした。