だんじょん＆にゃらごん｜リアクション

だんじょん＆にゃらごん

■ダンジョン露店街
　モンスターが沸きやすいダンジョンではあるが、冒険者があしげく通うおかげでダンジョン手前は非常に安全なスポットと化していた。
　それを見越して冒険に必要そうな道具を売る商人が多数露天を広げ、リトライする冒険者や必需品を忘れた冒険者を相手に金儲けをしている。
　そんな露天の一角で。
「お嬢さんお嬢さん、そんな装備じゃたちまち死んじまうよ。回復薬を買っていきなって、おい」
　商人の呼びかけをまるで無視した様子で、朝鳥さゆるが通り過ぎていった。
　黒い甲冑に禍々しいフォルムの剣。道具類は一切持たず、そういう機能をもった機械のようにダンジョンへ入っていく。
「無駄ですよー。あれ『死にたがり』のさゆるですよ」
　露天で売られた棒付きキャンディをくわえて、屋敷野梢が商人をとめた。
「ええっ、あの？」
「毎回ああしてダンジョンに潜っては八つ当たりみたいにモンスターを蹴散らしてるんですから。ついにパーティーも組まなくなりましたかー」
　キャンディを口から出して、くるくると回す。
「シンパシーでも感じたの？」
　背中に大きな盾を二枚も背負った白真白が後ろから声をかけてきた。
　白い和服に赤い袴。一般的にみて巫女服みたいな格好だが、これで防御力抜群の戦士である。
　なかなか相性がよさそうということで組んでみたが……。
「人は見た目によらないのか、そうでないのか」
「うん？」
「なんでもないです。私は準備出来ました。そちらは？」
「こっちもオッケー。そろそろ行こっか」
　二人でダンジョンの入り口へと向き直る。
　石で作られた豪華な城めいた建造物。開きっぱなしになった扉の向こうに続く松明の列に、二人はどこか胸のたかなりを感じていた。
　さあ、冒険の始まりだ。

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