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【ホワイトデー】平和ときどき怪奇?
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●思い出を形に
高度を上げた陽光に映し出される、キャットロードをゆく3つの影。その一つ、
御剣 刀
の影は時折揺れ動いている。
ピクニック案が出たり予行練習なりさせてもらったホワイトデーだが、結局絞り切れぬまま当日を迎えてしまったわけで。
プレゼントは準備できているのだ。無理をしなくていい、気を遣い過ぎなくていいと言われていたけれど、やはり言葉だけでなく心を込めた形を贈りたくなって。
しかして肝心の、渡すタイミングというものをさっぱり念頭に入れていなかった刀がいた。誘えたまでは良かったものの、渡し所などハッキリ決めていなかったため、結局いつもの下校時にも似た本屋で新刊チェックなり、相手に合わせてウィンドウショッピングについていったりetc。
……世の仲間たちに問いたい。皆、一体どうやってお返しというものを渡しているのだ、と。
そんな彼の葛藤を知ることなく、隣に並ぶもう一つの影、
橘 千歳
は一番小さな影と歩幅揃えて、時々そちらと目を合わせながら、どこか落ち着かない気持ちがあった。その小さな影の主である
小山内 海
も全く同じ心中である。
―― 今日はホワイトデーだけど……そういうことかな?
―― でも、いきなり質問するのもあれだし……ね。
重なった乙女たちの視線は、暗黙で会話が成立していた。もしも彼なりに何か考えあってのこの散策なら、下手に自分たちが催促しては申し訳ない。それに、やはり刀自身から言い出して欲しい、というのもある。
結局おなご2人は、まるで良妻賢母よろしく男子たる刀をたてて、その後についていくことにした。時折、刀から『どこか見たいとこあるか?』なんて聞かれれば、それぞれがちょっとした買い物にスポーツ用品店へ、画材店へと寄り道させてもらいながら。
剣術なら一発なのに……――
内心すっかり頭を抱えた刀が、頭を使い過ぎてエネルギーが切れたのか腰を落ち着かせたのはハンバーガーショップであった。
おなご二人の内心では『え』と綺麗なユニゾンが響いていたかもしれない。
もしここでお返しするつもりだったら……ムード、ムードは、いやいやお返しは気持ちっ、場所なんて関係ない。
ハラハラ思考も上手に表情には出さずに、笑顔で刀に続いて適当に注文をすれば、それぞれがテーブル席についた。
「ここのポテト美味しいわよね。でも、できれば一緒にケチャップが欲しいわ。塩味だけだとちょっと物足りない感じ」
「俺が頼んだこれは、うん、まあ可もなく不可もなし。あ、千歳のハンバーガー、もしかして期間限定のやつ?」
「ええ。ちょっと好奇心が出て」
「一口味見してい?」
「…………、……どうぞ」
自分が先にかじった部分など全く気にしないふうに刀が申してくれば、複雑な乙女心によるたっぷりの間を作った後、『刀君だものね……』と呆らめたように差し出した。
刀が嬉しそうに頬張る様子に、間接ナントカな単語がよぎるのをセットに付けたサラダへ無意識にフォークでざくざくしながら誤魔化す。日頃冷静で礼儀作法もしっかりしている千歳の、実に貴重且つ可愛らしいシーンであろうが残念かな、刀はその仕草を見逃した。
「これをコーラで流し込む、美味いよな~。体に悪い物は美味い、誰が言った言葉だか知らないけど、真理だな」
「本当、どこの誰が言ったのかしら。身体によくて美味しいものは一杯あるわよ、ねぇ、小山内さん。……小山内さん?」
『あ。ごめんね。ちょっと考え事してて聞いてなかったー』
声の出ない海は、確かに日頃もニコニコと会話を聞いて頷いていることは多いけれど、今はどこか上の空のように思えて千歳は心配そうに海の顔を覗き込む。
ハッと気付いて、慌てて筆記ブックに書かれたのを見れば、千歳は何かピンときた気がした。
「具合悪いとかじゃないか? そうならちゃんと教えてくれな海。あ、わるい、俺ちょっと」
いつの間にか自分の分はすっかり食べ終えていた刀が、手を洗いに席を立てばその背中を見送った海が、どこかプクリと頬を膨らませ。
そして千歳にだけ見えるように、小さめの字を走らせる。
『ある意味、刀くんのせいなのにぃ』
「あ、やっぱり。小山内さんの考え事ってもしかして」
『うん。ちとせちゃん、どう思う?』
「どうって……」
『こうして三人で過ごすのは楽しいけど……刀君、今日がホワイトデーってこと忘れたりしてないよね?』
二人じっと見つめ合う。『まさか、ね。いくら刀くんでも』『……でも、刀くんだから』
そんな、当人に向けてはちょっぴり失礼な考えが海と千歳の脳内で繰り返された。
普段であれば時間的に、そろそろ店から出たら解散コースである。テーブル席で、小さな小さなと吐息が二つ漏れていた。
その頃、店内の男子洗面所では。
―― って、ちげーよ! これじゃあただ遊んでいるだけじゃねえか!! 楽しいけどね、楽しいです。
他の人が見かけたら病人だろうかと心配しそうな、洗面台に突っ伏して『うをおおおお……』と苦悶している男子1名。
お洒落な場で夕飯でもと誘おうかと過ぎるも、先日の、ホワイトデーの予行練習という名目で行った場所があまりに素敵すぎた。
アレを超えるのは無理だ!
奇しくもあの時海が述べていた通り、ハードルが跳ね上がってしまったというわけである。
二人を喜ばせてあげたい気持ちは確か。しかしタイミング! 女子が好きそうな雰囲気とかタイミングが分かんねえ!
思春期の男心も複雑なのだ。
刀が戻ればそのまま連れ立って店を出た。微妙な沈黙が3人の中に流れる。
―― 確かに、お返しは無理しないでいいって言ったけど……刀君って真っすぐな性格だし、無理しなくていいよを額面通り受け取ったとか……。
もしそうなら、さすがに察して欲しかったとまでは言えない。千歳の瞳にどこか諦めた色が浮かんだ。
―― ホワイトデーのお返しは何でもいいとは思ってるけど、ちゃんとお返しとして渡してもらいたいなとは思うんだよね。
海の方は、どうしてもまだ希望が捨てきれない。いっそ聞いちゃおうか? 海がスケッチブックにペンを走らせようとしたその時、刀から提案がなされた。
『参道商店街に寄って行こう』 と。
どうにか解散は免れて、表情を緩める千歳と海。かくいう刀の方はホームで寝子電を待つ二人の斜め後ろ、振り向かれなければ姿を見られない位置にてまだうんうんと悩んでいた。
苦肉の策で二人を引き留めたものの、さてこの後どうすればいいのか。
ふと顔を上げる。いつの間にかすっかり傾いて、黄金色から橙へと移りかえた太陽が地平線に身を沈めようとしている。
夕陽が、それに照らされた寝子島の自然が、とても綺麗で。
男の面子とかちょっとした背伸びとか、複雑にしていた刀の心を洗い流す。
「……海、千歳、これホワイトデーのプレゼント。バレンタインはありがとうな」
悩んでいたのが嘘かのように、素直な気持ちで声が出た。
思ってもみなかった時に、ずっと待っていた刀からの言葉を紡がれた海と千歳は、弾かれたように振り返る。
刀が差し出している細長い小箱を、2人はまだ驚いた顔のままそれぞれ静かに受け取った。先に我に返って動いたのは海。
『ありがとう、うれしいよ、開けてもいい?』
「勿論、どうぞ」
千歳も海に倣うように同時に、リボンをしゅるりと外し蓋を開けると中から出てきたのはネックレス。
予想外な物を見つめて、これ無理したんじゃ……と不安な気持ちが千歳の心に浮かぶも、それを口にする前によくよくネックレスを見ると、何やらペンダントトップが少々不格好な気がし。
可愛いな、という満面の笑顔をしていた海もそれに気付き、2人はお互いのネックレスを手の中で並べてみる。
深い青が海の、燃えるような紅色が千歳の。そして共通するのは、その色の向こうに透けて見える、いつか3人で見たウィンターチューリップ。
『これってもしかして……刀君の手作り?』
海が書いた字を見て、照れたように頬をかく刀の姿から千歳も確信した。
「刀君……けっこう器用なのね……」
「そうでもないぞ。レジンってやつで作ってみたんだけど、教えてもらいながらでも結構大変でさ」
『どうしよう、すっごくうれしい』
肩をすくめ刀は続ける。みんなで見た思い出を贈りたかったんだと。レジンを流し込む時に、スマホで撮影していたチューリップの画像のことを思い出し、印刷してそれをはめ込んだのだと。
こんな小さく写真を切るのも一苦労だった、なんて苦笑いする刀に二人は感動の想いに満たされていく。
『ねぇねぇ、刀君、せっかくだからネックレス私と千歳ちゃんにつけてよ』
ウキウキと海がおねだりを申し出た。
照れくささから一瞬躊躇った刀だが、今日はホワイトデー。お姫様たちの望むとおりにしようかと、まずは千歳の背後に回る。
どきどきする鼓動隠した千歳から受け取ったペンダントを胸元へ回し、そして首の後ろでホックで留め、留め……。ネックレスなぞ留めたことのない刀、苦戦。
こっそり横から海が、ここを押してこう開くんだよ、なんて身振りと指差しで教えてくれればカチンと規則的な音がした。
ありがとう、と刀はいつか習った手話で海へと返す。海も、どういたしましてと手を動かした後、千歳の正面へと回った。
『わあ、ちとせちゃんすっごく似合ってるよ』
「小山内さんも可愛らしくて素敵よ」
コツを掴んだ刀が、今度はスムーズに海の首へとネックレスを留めてやれば、二人の鎖骨の上に揺れるペンダント。
海のは瞳の色に、千歳のは普段使うリボンの色に、それぞれ合わせて目立たないようにし、学校でも付けられたらいいなという気持ちで刀が選んだ色合いたち。
二人の表情が仄かに赤いのは、夕陽の色だけじゃないだろう。うん、これは頑張ったかいがあった。
「いいホワイトデーに出来たかな」
姫たちの機嫌をうかがう騎士のように、冗談まじりにキリッと台詞調で尋ねる刀。
忘れてたわけじゃないんだ。それどころか、すごくすごく自分たちの事を考えてくれていたことが分かって。
「ありがとう、刀君。大切にするね」
『ほんとうにありがとう』
今日一番の、幸せに満ちた花咲く笑顔たちがあたたかな橙色に照らし出されるのだった。
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1000人
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41人
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シナリオガイド公開日
2017年03月01日
参加申し込みの期限
2017年03月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月08日 11時00分
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