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【ホワイトデー】平和ときどき怪奇?
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●日常という幸せを
本日開催のイベントに備え、朝早くから近所や商店街、公園などに白いオブジェやバルーンがせっせと飾られていく。前日から島民あげての準備が成されていた為、今は最終確認や調整などだろうか。
それらに一瞥した後、興味無さそうにそばを通り過ぎる
葉利沢 倫理子
の姿が。
正確には興味が無いわけではない。そう、少なくとも3年前まではこういう日こそ、お菓子作りの好きだった自分は嬉々としてイベントにのっていた、気がする。
まるで遥か遠い昔のように思い出が浮かぶも、倫理子はあえてその頃の自分をそれ以上振り返ることを御していた。
明るく快活だった過去の己を思い出すことはすなわち、そこから奈落に落とされた現実も時系列的に蘇ってしまうから。あの頃と今の自分とを、どうしても比べてしまいそうになるから。
境目となる忌まわしい事件の、フラッシュバックが起きるたびに倫理子の心は防衛本能からか、無意識に闇を沈めた箱に重しを増やしたのかもしれない。
最近は精神状態が落ち着いているのを、自身でも自覚していた。
が、それはあくまでフラッシュバックの回数が減っただけで。倫理子の闇が取り払われたことにはならない。
むしろ倫理子自身が気づいていない事実が、浮き彫りになり始めていることを示唆していたのだ。あの日、意識を手放したはずの倫理子が気付けば寮の部屋に居たことを境に……。
倫理子の別人格、『Malice』。すでに『彼女』はたびたび倫理子の体を乗っ取り、まるで過去に倫理子が向けられた悪意そのものであるかのように、狂気と狂喜のまま男たちを手のひらで転がすが如く打ちのめしている。
今もそのような記憶は倫理子本人には無い。
ただ、桃の花の下で先日感じたモノがあった。何かが、「誰かが」、自分の中にいる気配を。
―― 本当に、バカバカしいわね。
そんな己の思考へと嘲笑する。誰に話したとて言うだけ無駄だと、倫理子は他人にこのことを打ち明けたことは無かった。
そもそも、打ち明けるような人物が思いつかない。他人とそのような繋がりをもつことは、この島に逃げてきたも同然である自分に勇気も資格もないように思えたから。人を信じられない自分には。
……いけない。また過去に、汚れた自分を突きつけられてしまう。
登校中であった倫理子は、口元に手をあてると踵を返した。今、あの人間関係の塊とも呼べる校舎に入ったら、眩し過ぎて倒れてしまうようなそんな気がして。
制服姿のまま、目的地を定めることなくその足は街へと向かっていた。
「……明るい」
次第にイベントを開始する店が出始めると、街に、道に、人が増え始める。
いつもなら人混みを避けていそうなものだが、どうしてか今の倫理子にはその人たちの笑顔が、街並みが、フィルターが取り払われたようにクリアに見えた。
こんなに風景は明るいものだっただろうか。
病欠にて休むことはあったが、登校途中でフケるという動向は彼女にとってとても珍しく新鮮で。生来としての根は真面目である倫理子の中で、『サボっている』という背徳感にも似たものが、心に幾許かの解放感を与えたのかもしれない。
今、倫理子の脳裏から過去の闇は束の間忘れ去られていた。それは一体いつぶりだろうか……。
―― こんな気分が一生続けばいいのに。
ほんのささやかな、しかし倫理子にとってはもはや儚いともいえる願いを心の中で囁いた時、唐突に声をかけられる。
「こんにちは、お嬢さん」
◆
◆
◆
◆
◆
◆
動物病院の朝は早い。入院している患畜たちの世話が待っているためである。
「おはよう。ああ、体調は良さそうだね」
ケージの中で立ち上がれるものは皆一様に扉の前ギリギリまでやって来て、盛んに尻尾を振って
ジェレミア・ベルトーニ
を出迎えた。
夜勤で泊まってくれていたスタッフを労いながら、一匹一匹に優しく声をかけて容体が変わっていないか確認していく。
―― うん、よかった。君たちにとっても今日がステキな日になりますように。
そんな想いを含んだ笑顔をつくりながら、いつもの出勤時より1つ増えている手荷物の、大きな紙袋から何かを取り出して準備するジェレミアの姿があった。
診察開始時間になると、自分の大事な家族を心配そうに、愛しそうに連れてくる飼い主さんたちが続々とやってくる。
丁寧に、飼い主さんを安心させる言葉を送りながら、診察中は真剣な表情を向け。
そしてお会計時にひょこっと顔を出すと、ジェレミアはまた穏やかな笑顔で何かを差し出した。
「まろんちゃんのお母さん、いつもまろんちゃんの面倒しっかり見てくれてありがとう」
「えっ? 先生、もしかしてこれ……」
「はい。今日はホワイトデーですから」
それは可愛らしいパッケージのPP袋。中には各々個別包装になっているキャンディやひとくちチョコ、小ぶりなクッキーなどが透けて見える。
白と水色のリボンを2本重ねて縛られた口。巾着のようでキュートさが増して。
ジェレミアなりの感謝の贈り物である。先月もらった方へのお返しというだけでなく、いつもペットたちを愛情深く面倒みてくれている飼い主というお母さんお父さんへ、ありがとうを込めて。
ペットにとって、飼い主の存在が何よりの愛の拠り所である。たとえペット仲間たちが居ても、健やかに生きて暮らしていくためには、飼い主さんたちが情を持って世話をしてくれるからこそ、体調変化にも気づいてこうして当院を訪れてくれる。
飼い主さんにとっても少しご褒美的な喜びも感じてもらえれば、なお嬉しい。そんな気持ちもコッソリ込めて。
「ありがとうございます!」
「いえいえ。あ、クッキーで『ペット用』って書いてあるものは、まろんちゃんも食べられるものですので」
心から嬉しそうな顔が浮かべば、ジェレミアも幸せをお裾分けされた気分。
ここに患畜を連れてきてくれるのは女性が多いことから、包装紙も可愛らしいものにした甲斐があったというものだ。
なお、ここオレンジ動物病院に女性飼い主が来ることが多いのは、旦那さんは大抵この島や本島の方で日中働いているから、……というだけでは無さそうな様は、待合室で会計に姿を見せたジェレミアをぽーっと見つめる奥様たちの視線から伺いしれるかもしれない。その視線に開業してから一度もジェレミアが気付いたことはないわけだが。
自身の容姿や性格が如何に女性から見て魅力的か、全く持って鈍いのもジェレミアの院内院外でひっそり人気となる所以なのであろう。
『先生や院に迷惑をかけないよう、こっそり愛でる!』 そんな暗黙条約が奥様達の間で確約されているとかいないとか。
そんなわけで、ホワイトデー当日のオレンジ動物病院は至って平和であった。
毎日頑張ってくれている病院スタッフの皆にも、いつもありがとう、と添えて配ったりしながら。
イベントが催されているからか、いつもより訪れる動物は少なく空き時間が多めに出来ると、ジェレミアは外の空気を吸いに表へ出てみる。
春らしい陽気となってきた陽射しが、ポカポカと当たれば猫たちの気分が分かった気がした。
うん、日向ぼっこが気持ちよさそうだ。
ペットな動物たちだけでなく、野良猫たちも地域の人たちと少しずつ関わっているこの寝子島。どんな動物たちも皆幸せに暮らしているように見える。
―― この国に、寝子島に、来れて良かった。
穏やかな風を受けて一度猫のように伸びをして、さてもうひと頑張りと中へ戻ろうとしたジェレミアの瞳に、真っ直ぐに前を見据えてしかしどこかぼんやりと立っている女性が目に入った。
制服からして、寝子高生かな?
そうふと考えつつ、その女性がとても不思議そうに、まるで初めて訪れたかのように街並みを見渡しているような素振りに、お国柄的習慣に倣ってジェレミアは自然と声をかける。
「こんにちは、お嬢さん」
「……あ、え?」
「お散歩中ですか?」
「あの……」
男性と分かる声質に、条件反射的にビクリとするも振り返った先に見たのは想像外の端麗さを持つ人で。
葉利沢 倫理子
はどう返答するか困惑する。普段であれば、当たり障りなく受け答えしすぐさま通り過ぎていたであろうけれど。
束の間の、光溢れる世界を堪能していた矢先の事で、思考が働かなかったのかもしれない。
困った表情を浮かべた女性に、まるで手品でも見せるような優雅な動作でポケットからラッピング小袋を取り出したジェレミアは、それを倫理子へと差し出した。
「良ければもらってやって下さい。余分に作り過ぎてしまったもので」
「……いいんですか?」
「ええ」
「ありがとう、ございます」
「どうしたしまして」
ふわりと微笑んだジェレミアへ、小さく一礼して倫理子は小袋をそっと受け取る。色合いと中のお菓子たちを見て、それがホワイトデーのプレゼントなのだと分かった。
そんな二人の背後で、にゃ~と鳴き声が。見ると、動物病院に連接したジェレミアの自宅、そこの出窓の向こうから小さな三毛猫がカリカリと窓をかいて何かをうったえている。
「あっと。ごはんの時間だって教えにきたのかい、るちる」
「にゃー」
「呼び止めてしまってすみませんでした。では失礼しますね」
「はい」
男性が消えた先。家の横に隣接された動物病院と男性が来ていた白衣から、『ここの獣医さんだろうか』と思案しながら。
まだどこか夢の中にいるような表情で、倫理子は手のひらの上に置かれたラッピングを見つめた。
こんな、穏やかな出会いと別れ方が人にはあるのだと改めて思い出した気がする。
倫理子は久しぶりに、そして無意識に、微笑を浮かべているのだった。
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日常
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定員
1000人
参加キャラクター数
41人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月01日
参加申し込みの期限
2017年03月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月08日 11時00分
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