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【ホワイトデー】平和ときどき怪奇?
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●飴宿りに灯る縁
自分が言うのもあれかもしれないけれど、楓も結構苦労症だよな……なんてことを思いつつ、遠くなる背中二つ(
トワ・E・ライトフェロゥ
&
夜海霧 楓
)を見送った後。
鴻上 彰尋
は目的の八百屋目指して再び歩き始めた。成長期な弟妹たちの栄養面を思い、夕飯の献立はさて何にしようと道行きながら考えていると、視界に雨とは違う、固形の何かが降ってくるのを捉える。
―― ええと……うん、飴、かな。
もれいびたる彰尋は、もはや飴が空から降ってくる程度では動じることなし。もっと厄介だったり大変だったりな思いをこの寝子島では散々経験している故に。
とはいえ、いきなり口に入れたりなどはせず、とりあえず周囲の様子を窺ってみる。
自分と同じように周りを見守る者、時折飴をばりんばりん踏みながら気にせず先を行く者、そして上手く飴をキャッチし恐る恐る食べてみてる者。
暫く眺めていたが、特に飴を口に入れた人たちに変化は無いようにみえた為、ちょうど手の上に落ちてきた赤い飴を舌の上で転がしながら八百屋に向かった。
必要な野菜を買い物袋に入れてもらっているあたりで、彰尋は自身の変化に気付く。
―― なんだろ……無性に会いたい、ような。さっきまで学校で会っていたのに……。
きゅっと切なくなる心臓の上を服ごと抑えて、なんとなくまたキャッチした今度は水色の飴を気分転換のつもりでまた口の中へ。
………ああなるほど。この飴の効果、ってことか。
先程までの感情が静まったかと思うと、次にこみ上げてきたのは寂しさ、憤り、虚無感、と、ソーダ味のような独特の甘さの中に微かに感じたコーヒーの苦み。
色で効果が変わるらしいと冷静に思考する反面、脳裏に過ぎるもはや何度も読み返した手紙の筆跡に、微か眉を寄せた。
―― 飴に左右されるなんて、まだ引きずってる証拠なのかな。
ふぅ、と息を吐いて顔を上げた彰尋の表情は、どこか役者が役になりきるような、そんな凛とした出で立ちで先程の暗い影は残していない。意識すればコントロール出来そうだ、とまだ残っていた飴を早々にガリッと噛み砕いて飲み込んだ。
買い物も終えたしそろそろ帰宅したいところではあるけれど、意外と降水量ならぬ降飴量は多いようで。
ダッフルコートのフードが徐々に貯まる飴で沈んでいくのを感じながら、ふと彰尋は参道商店街からやや離れた先に喫茶店らしき看板を目にする。
―― 古書喫茶『思ひ出』 ――
古木仕立てのその看板に吸い寄せられるようにして、彰尋の足はその店の中へと進み出ていた。
◆
◆
◆
◆
◆
◆
「出掛けるのか? 今、飴が降ってるぞ」
古書喫茶内に
柏村 文也
の、至って真面目トーンの低音が響いた。
―― ……こういう口調な時こそ嘘をついている気がします。早々騙されませんよ。
彼の甥である
津島 直治
は、またそんなこと言って、という顔で一度叔父を振り返ってからすぐに顔を引き戸へと戻しながら一言返した。
「あめが降ってる、って……今日予報は晴れだって言っていたし、少しくらいなら平気だよ」
あ、ナオの奴信じてないな。というか、飴じゃなくて雨だと思っているのか。
態度と返答でピンときたものの、文也はそれ以上口を出さずに直治の行動を見守った。
がらがら、と引き戸の音がして数秒の沈黙後……
「叔父さん、飴が降ってる……」
「だから言ったろ~。俺だってたまには本当のこと言うよ」
呆然とこぼす甥っこのリアクションに、満足そうにケラケラと笑いながらカウンターへ頬杖つく文也。
そんな叔父を不満そうに横目で直治は見つめた。自分で『たまには』と言ってのけるあたり質が悪い、いや信じなかった自分が悪いのだろうか、などと巡らしてしまうあたり、真面目で純粋な直治らしさだろう。だからこそ、文也は日々からかうのをやめないわけだが、そこは本人には内緒である。
「ホワイトデーに飴が降るなんて面白いね。ああそうだ、今日お返しとかしないのお前」
飴があたると痛そうな上、傘の意味も果たしてあるのか疑問な為、大人しく店内へと戻って叔父の向かい側のカウンター席へと腰を下ろした直治に、思い出したように文也が問いかけた。
寝子島の不思議現象に自分もたった今思い馳せていたところへ、同じような感想と共に告げられた内容へは一瞬きょとんとして。
―― ホワイトデー、そういえばそんな日でしたね。
しかし、先月のバレンタインを思い起こしても、そういえばクラスの男子たちがお買い得チョコなる袋を、休み時間中回していたような……くらいしか浮かばない。対となる今日に何かする必要などあるはずがなく。ただそれをそのまま叔父に伝えるのも何か悔しい気持ちになって、直治はごにょごにょと声を発した。
「俺のことはいいでしょ。それより、叔父さんこそどうなの。……お返しとか」
「俺? 俺はほら、お客サンみんなの店主だから。今日はちゃんと愛を込めて注文受けたモノを出してるぞ~」
「……それ、いつもどおりってことだよね……」
案の定飄々と返されれば、溜息と一緒に席を立って直治は本を漁り始める。至っていつも通りのやり取りである。
日頃古書店内の整理整頓を手伝いながら、空いた時間に店内の小説を読みふけるのが直治の日課となっている。読み途中の物はこっそりキープしておけるのも、特権と言えるかもしれない。が、如何せん本の数が多く読んでも読んでも減らしている気がしない。
……というか、また本の数が増えたような?
「叔父さん、また本増やしたの?」
「お前が見たらいけないような本もあるからね。大人にならないとウチの本を制覇するのは無理だよ」
楽しそうに、のんびりとしたやり取りが響く店内に、その時カラリと戸の開く音が鳴った。
甥へ向けていたへらりとした表情を、少しだけ店主仕様な笑顔へ変えて文也はお客人を快く迎える。邪魔にならないよう端へと移動しようとした直治は、そのお客が顔見知りであることに気付き思わず声が漏れた。
「いらっしゃい」
「こんにちは、お邪魔します」
「……あ、鴻上センパイだ」
自分の名を耳にして、
鴻上 彰尋
は声のしたそちらへと顔を向けた。
「あれ、津島くん? 君ももしかして飴宿り?」
「こんにちは。あの、俺、ここに住んでるから」
「へぇ、こんな素敵なお店に? いいなぁ」
薄暗いながらも提灯のような橙色の照明に照らし出さた整頓された本たちは、どれも温かみを感じる。祖父の書庫にもどこか似ている、と店内を見渡した彰尋は微笑みながら素直に直治へと告げた。
そ、そう……? と素っ気ない返事は照れている証拠。瞳泳がせる直治の様子を目を細め見つめてから、文也も会話に加わった。
「飴宿り、なるほど。今日は面白い天気だものね」
「あ、すみません……つい」
「いいのいいの。他にお客さんもいなくて暇してたから、大歓迎だ。寝子高の生徒さんかな? 初めまして、直治の叔父の柏村文也です」
「鴻上彰尋です」
「何か飲むかね?」
「えっとじゃあ、紅茶を」
直治の隣りへ、お邪魔しますと声をかけて座ると改めて棚の本たちを彰尋は見つめた。年代物が多そうに思えて、好奇心が膨らんでいく。
「どれも読みごたえがありそうだね」
「鴻上センパイ、本が好き、なんだ」
「うん。津島くんもかな?」
「それなりに、だけど」
「どれかオススメある?」
嬉しそうに直治の方へ体を捻った彰尋から、ポトリと床に何かが落ちて2人同時に覗き込んだ。
「飴?」
「あ。しまったフードに積もったまま入ってきちゃった」
「おや、それは外で降ってる飴かな?」
紅茶を淹れた文也が興味深そうにカウンター越しに続いた。
出された紅茶と、それに付いたソーサーを目にすれば彰尋はおもむろにフードと買い物袋に入り込んだ飴たちを取り出し、そのソーサーの上へと詰ませてもらう。
「よかったらお一つどうですか? 変な効果付きですけれど」
「変な効果?」
甥っ子と叔父、二人の声がハモった。
彰尋は、あくまで自分が体験した感じと他の食べている人の反応からの推測だけれど、と付け足してから説明をする。
この色は陽気になるみたいで、この色は悲しくなるみたいです、と話している内に、どこか直治の目が好奇心から輝き出していた。
「ふむ、人の感情に影響を与える飴なのか。ただの飴じゃないと思っていたけど、そんな効果があるなんてね」
「感情の浮き沈み以外、特に体に害は無いように思いました」
なら、面白そうだから飴はナオに食べさせるかな、などと文也が思った矢先、直治自ら手を伸ばして橙色の飴を口に運んだ。文也、少々意外そうに見つめた後すぐに愉快そうな笑みを浮かべて。
「ナオ、どうだい?」
「あ、これ、すっごく美味しいです!」
「だろ? 味はすこぶる美味しいんだ」
「本当ですね!」
ここで彰尋、若干の違和感に首を傾げて直治を見た。
日頃は中学生らしい口調な気がする直治が、今何故か敬語になっているような……。
「津島くん? 叔父さんの前だからって俺に敬語を使う必要はないよ?」
「いえ! この喋り方が素なので問題なしです!」
素……?
不思議そうに文也の方へ視線をやると、どこか意味深な笑顔で頷かれただけで。彰尋はそれ以上問うのをやめた。何より、津島くんが楽しそうならそれでいいかな、なんて。
紅茶のカップに手をかけたところで、詰んだ飴たちの中に見覚えのないクッキーが混じっていることに気付いた。文也も同じように身を乗り出して気付いた様子で。
「なんと、外はクッキーまで降っているのか。これにも何か効果があるのかね」
「これは自分も初めて見ました」
「そうなんですかっ? じゃあ貴重? 私、食べてみましょうか?」
大変ウキウキとした瞳で直治から告げられるも、さすがにまだどんな効果か分からない物を食べさせるわけには……と一瞬考えてから、彰尋は星型をしたそのクッキーをつまんだ。
「とりあえず毒見で俺がいってみるよ」
「気分が悪くなったりしたら遠慮せず言いたまえ?」
大人な文也の気遣いに頷いてから、彰尋はクッキーに歯をたてる。
さくりっ☆
「……、………めっちゃウマイ!」
「本当ですか!?」
わあ! もっと無いでしょうか! とソーサーの上を探す直治と、一緒になって飴をどかして探す彰尋。中々見つからなければ、『なら楽しい気分を2個食べたらどうでしょう!?』 『それいいかもしんない!』 と親指たてて会話する二人に、カウンターの向こうから温かい視線が飛ぶ。
ふむ、ナオと同じ効果なのかねえ、と顎に手をやりながら一人思案する文也。
こんなテンションの直治は大変珍しい。文也に浮かぶ笑みの中にはそんな理由もあったけれど、一番の理由としてはこの効果が切れた後の直治がどうなるか、予想しているからだろうか。
いつの間にか、お互いのオススメ冒険小説の話に花を咲かせる若者二人を、しばし楽しそうに眺める文也がいるのだった。
日も大きく傾いて、店内と同じ夕焼け色に染まる頃。
すっかり長居した彰尋が、申し訳なさそうにしながら紅茶の代金を払おうとするのを、文也は止めた。
『あんな楽しそうなナオを久しぶりに見せてもらったお礼だ』 とウィンクされれば、彰尋は丁寧に一礼し。『良かったらまた来させて下さい』と二人に述べて帰って行った。
そんな彰尋を見送った後には、効果が切れても記憶はバッチリ残っていた直治の、耳まで真っ赤になってカウンターに突っ伏す姿と、予想通りな反応に大笑いする文也の声が響くのだった。
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日常
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定員
1000人
参加キャラクター数
41人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年03月01日
参加申し込みの期限
2017年03月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年03月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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