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かたばみ、なずな、からすのえんどう、はこべ、ほとけのざ。
春になった途端、次々に生え始めた雑草を丁寧に除きながら、
宮祀 智瑜
は春の日差しを静かに浴びる墓石に刻まれた父母の名を黒い瞳でなぞる。
瞼が急に熱を帯びた気がして慌てて瞬く。目の前が滲むのは春のお陽さまが眩しいからだと、春草の匂いが染み付いた掌で瞼を擦る。
墓地のどこからか香る梅の香を胸に満たし、立ち上がる。父母が眠る墓の前に向き直り、線香と蝋燭を灯す。
手桶に汲んできた水を柄杓にすくって墓石に掛ける。
「お父さん、お母さん」
手を合わせ、最近の出来事を報告する。
父母と繋いだ手を離すように手を解き、ふわり、微笑む。
思うのは、いつかに見た夢。夢に出てきたふたりは、生きていた頃と同じように笑ってくれた。頭を撫でて抱きしめてくれた。
あの嬉しい夢も、最近は見ていない。夢でさえ会えることが出来なくて、
「……また会える日を楽しみにしてるね」
少し、寂しい。
知らず睫毛を伏せていたことに気付いて、智瑜は両頬を掌でぱちんと叩いた。瞼を擦り、顔を上げる。心配しないで、と父母に笑いかけて気持ちを切り替える。
(よし)
手桶と柄杓を元の位置に片づけ、春の墓地を出る。
(こういう時はシーサイドタウンにゴーです)
狭い駐車場に置いた愛用の自転車に跨り、行先を定める。でも、向こうにお邪魔する前に一度家に寄ろう。お墓参りセットの入った鞄を家に置いて、代わりにお出かけ用の鞄に色んな玩具を詰め込もう。
何と言っても、あの家にはこどもと子猫が居る。遊び相手に飢えたふたりは、遊びに行く度に満面の笑顔で飛びついて来てくれる。
それが何より嬉しくて、一緒に過ごす時間が楽しくて、最近は青果店を営む祖父母を手伝っての配達の帰りや学校帰りに、時々シーサイドタウンのあの家に遊びに行く。
(たまの好きなご飯も途中で買って行こう)
ついでに猫じゃらしも、と決めて、智瑜はペダルを元気よく踏み込んだ。
雑草が生い茂り、庭木も整えられず伸び放題だったシーサイドタウンの一角の廃屋に、彼らが住み着いたのはつい最近のこと。
最初はふたり。荒れ果てた庭や家屋が整えられる間にもうひとり。今は更に子猫がいっぴき。三人と一匹が住むその家は、今はもう不穏な廃屋だったことが嘘のような穏やかで賑やかな空気に包まれている。
石塀の前に自転車を置き、表札も掛からぬ玄関の前に立つ。開け放たれた玄関をそっと覗き込みつつ、古びたインターホンを押すも、家に鳴り渡るはずのチャイムの音は聞こえない。
「まだ直ってないんですね」
くすりと笑い、
「こんにちはー!」
廊下に向けて声を掛ければ、すぐさま二階のどこかの部屋の襖が勢いよく開く音がした。一人と一匹分の軽い足音が駆けて来るのとほとんど同時、廊下の奥の台所から黒髪の頭がふたつ、ひょこりと覗く。
「あら、こんにちは」
「ようお越し」
着物に襷掛け姿の夕と作務衣姿の日暮が笑う。
「ちゆ! ちゆ来たの!」
「遊びに来ました!」
階段を駆け下りて来て、我先に飛びつく子猫のたまと座敷童のこんを両腕いっぱいに抱きしめ、智瑜は笑った。
二階の部屋で子猫と昼寝をしていたというこんとたまからは、春の匂いがした。
「ちょうどええ、おはぎ作っとってん。食べて行き。智瑜のじいちゃんばあちゃんにも持ってったってんか」
小豆と米の、なんだか幸せそうな甘い匂いをいっぱいに漂わせる台所から手招きする日暮に従い、智瑜は玄関に靴を揃える。この家の皆はいつ来ても幸せそうで、一緒にいると楽しいけれど、
(寂しくなる事ってあるのかな?)
胸にひやりと触れる両親を居らぬ寂しさを、腕に居座るたまをぎゅっと抱きしめて癒す。そうして祈る。この家のひと達がもう二度と、どんな寂しさも覚えなくていいようにと。
奥の広間にちゃぶ台を出し、出来立ておはぎの御相伴に与る。夕が淹れてくれた熱いお茶を飲み、遊べ遊べと膝にしがみつくたまに鞄から取り出した猫じゃらしを示してみせる。
目を輝かせて飛び跳ねるたまに猫じゃらしを振り、面白そうに眺めるこんにプレゼントです、と猫じゃらしを渡す。
「いいの?」
「猫飼うの夢だから、気分だけでも味わえて嬉しいんです。これはそのお礼みたいなもの、……かな?」
鞄の中から取り出した折り紙と折り紙の本を広げ、こんとふたりでお内裏様とお雛様を一緒に折る。
「雛あられも持ってきたので飾りましょう」
「ああ、桃の節句か。うっかりしとったわ」
「おはぎやのうて桜餅作ったんが良かったですね」
ちゃぶ台の上にちょこんと置かれた折り紙のお雛様に、日暮と夕が顔を見合わせた。そんなふたりに向け、智瑜は今度はトランプを取り出して見せる。
「ババ抜きとか七並べとか、皆でしたいです」
首を傾げる日暮と夕に、こんが得意げに知っていると胸を張る。最初はこんと夕、智瑜と日暮の二組に別れ、それぞれの相棒にルールを教えながら一戦、個々に別れての二戦め。
きゃあきゃあと賑やかに過ごし、合間に甘いおやつを食べ、お茶を飲むうち、楽しさにかまけてついつい長居をするうち、広間に茜の光が流れ込んできた。日暮が夕飯の支度に立ち上がる。
「食べて行き、智瑜」
「ありがとうございます、手伝いますっ」
日暮の作るご飯をこっそり楽しみにしている智瑜はわくわくと立ち上がる。
(そうだ)
帰りに今度の土曜日か日曜日に宮祀青果店にバイトに来られないか訊いておこう、そう考える智瑜の胸に巣食う寂しさはもう、心の奥深くになりを潜めて消えている。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年01月16日
参加申し込みの期限
2017年01月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年01月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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