初春の眩しい光を煌かせる川面を、咲き初めの雪柳の花弁を纏った強い春風が渡って来る。
まだ少し冷たい風に運ばれてきた花の香に頬を撫でられ、橋を渡る己の靴先ばかりを見下ろしていた目をもたげる。見えるのは薄青く霞む春の空。
空を仰いで顎を上げた途端、胸が詰まった。鼻の奥が痛いほどに熱を帯びた。慌てて春コートのポケットに手を突っ込んで拳にする。掌に爪を喰い込ませ、その痛みに意識を集中させる。そうすれば、少しは紛れる。
油断すれば湧き上がる想いを抑え込み、俯く。
(……嫌だ)
思い出すのは、春だからだ。
(嫌だ)
それを、その思いを、自覚したくはなかった。それをそれだと認めたくはなかった。言葉にしてしまえば、きっともうどうしようもなくなる。
視界の端、欄干の根元から顔を出した菫が見えた。
花に気を取られた振りをしてその場にしゃがみこむ。抱えた膝に顎を埋める。喉の奥に膨れ上がる想いを決して言葉にすまいと無理矢理に呑み込もうとして、
「……寂しい」
できなかった。
吐き出してしまった言葉に途方に暮れる。
こういうとき、どうすればいいのだろう。
こういうとき、誰に会いに行けばいいのだろう。
こんにちは。阿瀬 春と申します。
あなたが寂しい、と思ってしまうのはどんなときですか。
人気の少ない海を見て、仲の良さそうな家族と擦れ違って、春風の中に懐かしい香りを感じて、……色々あると思います。
それはどんな寂しさですか。
恋人や家族の居ない寂しさ、三月になって尊敬する先輩が高校にあんまり来なくなった寂しさ、昔別れた誰かを想っての寂しさ、……これもまた、様々あると思います。
そうして、そう感じたとき、あなたはどんな行動を取りますか。
友達や恋人と会いますか。賑やかな場所に行きますか。それとも逆に静かな場所に向かいますか。
湧き上がる、暴力的なまでの寂しさをどうやって鎮めますか。
よろしければ、お教えください。お話にさせてください。
寂しい気持ちの発散場所、または寂しさを再確認する場所のようなものを少しだけ用意してみました。
もちろん、ご利用されなくとも全然オッケーです。もしか気が向かれましたら、くらいでどうぞー。
■星ヶ丘の小さな植物園『ねこの庭』
星ヶ丘にある、家族経営的な小さな植物園です。ハーブがたくさん植えられた園内にはベンチがたくさん。人気は少なめですので、一休みしつつ気持ちを落ち着かせるにはうってつけ、かもしれません。
夜であれば、園内にある小さな小さな温室cafe『Oz』がランプを灯して深夜営業しています。
■旧市街の居酒屋
旧市街の一角にある居酒屋『やきとり ハナ』。カウンターのみの小さな居酒屋でひっそり酒呑んで寂しさを紛らわせてみる、というのも手のひとつかもしれません。気のいい女将と熊のようにでっかくて無口な店員がお相手いたします。もしかすると他のPCさんと出会える、かも?
■シーサイドタウンの一軒家
シーサイドタウンの住宅街にある古民家。最近島に住み着いたちょっと奇妙な青年と少女ふたりと猫一匹が暮らしています。
上がり込めば世話好きな青年がご飯やおやつ出したり、少女たちと猫が遊べ構えと寄って来ます。
それでは、ご参加お待ちしております。