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春の嵐の只中で
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ポニーテールに結い上げた黒髪を揺らしてうなじを撫で、頬を撫でて過ぎる風の冷たさに肩をすくめる。
もう三月なのに、と思って、
(もう三月なのです)
椿 美咲紀
は子猫のようにくるりとした黒い瞳を伏せた。
三月が終われば、高校一年が終わる。進級して二年生になる。
(担任の先生は誰になるのかな?)
春風に春コートの裾と髪を揺らし、春の気配が漂う星ヶ丘の住宅地を歩く。
(クラス替えはあるのかな?)
木々に柔らかく萌え出ずる新芽、蕾をかたちづくる花、咲き初めの鮮烈な香を風に放つ花。冬の間、土の中で力を溜めた植物たちが春の気配に湧き出るこの時期は、気持ちまでもがふわふわする。
(今まで一緒のクラスになったことない人と同じクラスになれるといいな)
ふわりと浮き立つ気持ちにつられ、足取りさえ軽くなる。かと思えば、
(一緒に居た1-3の人達と離れるのも寂しいな)
ふと吹き寄せて空に舞い上がる冷たい風に惑わされ、小さな寂しさを覚えて見たりもする。
(それともクラス替え無いのかしら)
胸がどきどきと鳴る原因は、四月に始まる新しい学年での生活に対する不安か、それとも期待か。それとも、その両方か。
春の空に満ちる明るい陽射しを見上げ、美咲紀は何故だかどきどきする胸を抑えて息を吐く。
(あるよね、生徒数多いし?)
通っていた小学校にも中学校にも、進級ごとにクラス替えがあった。
クラス替えがあった方がいいのか悪いのか、それさえも分からなくなってしまう。ぐるぐるぐる、頭の中で堂々巡りする期待と不安に収集がつかなくなって、思わず足を早める。
こんな時どうすればいいのか、美咲紀は知っている。
(お花達を眺めて癒されるのです!)
今現在の自宅である星ヶ丘寮の庭にも花はたくさん咲いているけれど、今日は別の場所で花を見たかった。その方が目先が変わっていい。
(より季節を感じられますし)
前々から少し気になっていた新しい植物園がある。
星ヶ丘の高級住宅の一角に出来た小さな植物園、『ねこの庭』。通りがかる度、麦藁帽子を被った壮年男性がいつもひとりで黙々と作業をしていた。風が吹けばなにかしらの香が流れ出すそこは、どうやらハーブが主として植えられているらしい。
『ご自由にお入りください ねこの庭』
ローズマリーの生垣の間、秘密基地の入り口のように小さな隙間に立てられた看板を見つけ、美咲紀は淡く微笑んだ。妙な愛嬌ある丸文字は、あの麦藁帽子のおじさんが書いたものなのだろうか。
「お邪魔します」
ローズマリーに迎えられて植物園に入る。黄色い煉瓦が敷かれた小路に従い歩けば、煉瓦の隙間に植えられたカモミールの葉から林檎のような甘い香が立ち昇った。
俯くように開くローズゼラニウム、鮮やかな色のナスタチウム、木陰で密やかに藤色の花を咲かせる薄荷、太陽のような色のマリーゴールド。花々に挨拶をするようにゆっくりと萌え始めたカモミールの小路を辿り、脇に据えられた素朴なベンチに腰を下ろす。小さな植物園の奥には小さな温室も見えたけれど、今日はここでいい。
ハーブの香と春の花々に囲まれて、それでも心に渦巻く春からの不安は鎮まってはくれなかった。相変わらず頭と心をぐるぐると巡る、言葉にもならない漠然とした想いに言葉を当てはめるべく、美咲紀は思索する。
(……今までの日常が変わる寂しさってことなのですねぇ)
考えれば、これが二年後の今頃は、高校三年間を過ごした皆ともお別れということになってしまっている。卒業し、各々の進路へと散ってしまえば、今のように毎日顔を合わせることだってなくなってしまう。
(一緒に居られるのは二年しかないのです)
もう三分の一が過ぎてしまった、そう思えば、残された時間はとても少ないような気持ちになった。
(バレンタインのチョコだって、あと二回しか渡せないじゃないですか)
美咲紀は決然とした瞳を春の空にもたげる。もううかうかとはしていられない。
(命短し恋せよ乙女なのです)
両の手をぎゅっと拳にする。恋はするもの、と相場は決まっている。大好きな人に大好きだと伝える絶好の機会を逃すつもりは毛頭ない。
固めた拳のままに立ち上がって、
「……ああん、何だか色々とやり残した気がしてきましたのです」
両掌で顔を覆う。ぺたり、もう一度ベンチにへたりこむ。気持ちを伝えるためには下準備も大切だ。この場合は、ふたりで積み重ねた思い出。それが多ければ多いほど、想いは伝えやすくなる、はず。
きちんと積み重ねられているだろうかと記憶を辿る。ふたりで過ごした時間は短くはないけれど、それでもまだまだ足りない気もする。
(今からでも……!)
決意も新たに、美咲紀はまた立ち上がる。コートのポケットから携帯電話を取り出し、思い出を重ねたい相手に向けてSNSを使って連絡を入れる。
『一緒に晩御飯食べましょう』
返事を待つ間に星ヶ丘駅の辺りまで移動しよう。駅からなら、どこへ行くにしても行きやすい。
(シュー君)
花の小路を辿って歩き始める美咲紀の胸には、先ほどまでの寂しさはもう、ない。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年01月16日
参加申し込みの期限
2017年01月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年01月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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