this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
春の嵐の只中で
<< もどる
1
2
3
4
5
…
12
つぎへ >>
薄青の空を仰ぐ。
(また春が来た)
空を泳いで過ぎるのどかな春風に、春風に乗って舞い上がる雪柳の花びらに、どこからかふわりと寄せる沈丁花の香に、
志鷹 佑都
は新緑色した瞳を細めた。
寝子島総合病院に救急科医として勤め、多忙に多忙を極める日々の中にあって、今日はぽっかりと空いた春の休日。
空気さえ華やぐような春の昼下がり、どれだけ疲れているとは言え、寝て過ごすには惜しい気がして散歩に出た。同じく総合病院に勤める双子の姉と暮らすシーサイドタウンの家を出て、うららかな春の日差しを浴びながらのんびりと近所を歩き、小さな公園に辿り着いた。
チューリップにパンジーに、色とりどりに咲き乱れる春の花々に目を休ませ、ついでに自販機でコーヒーを買ってベンチに腰を下ろした。近くの遊具で遊ぶ幼児と、それを眺める母親の姿を見るともなしに眺める。
(君が居なくなって、)
ふと。ふわりと、花びらが掌に舞い落ちるように、柔らかな寂しさが胸に宿った。
(三年目の春がやってきた)
隣にいた温もりが消えてからの年月を数える。
亡くしたひとの齢を数えるものだろうか、と思う。それはいけないことだろうか、と哀しくなる。それでも、
(……彼女が生きていたら)
それでも、思ってしまう。
(今頃自分も父親になっていただろうか)
彼女と出逢った春を想う。
彼女と別れた春を、想う。
出逢った日も、別れた日も。そのどちらも、今日のように陽射しの穏やかな三月だった。
掌に持ったままだった缶を開け、冷たいコーヒーを喉に流し込む。ふわりと鼻先を掠めた沈丁花の香に目を細める。
あの日、彼女の栗色の長い髪をそよがせていた春風にも、沈丁花の香が混ざっていた。
いつも、大学図書館の片隅の窓際の席で独り、本を読んでいる女性だった。
長い髪と同じ栗色の瞳に落ちる寂しげな翳が気になって、思い切って話し掛けたのが、図書館に通うようになってしばらく経った、大学二年の三月。
こんにちは、と話し掛ければ、彼女は栗色の瞳をくるりと瞠った。声を掛けられるとは思ってもみなかったのか、ぐるりを見回した挙句、
――こんにち、は……?
戸惑ったように首を傾げてみせた。
あの時の表情を優しい声を、今もはっきりと思い出せる。
いつもここに座っているから気になって、と素直に口にすれば、彼女は照れたように柔らかく微笑んだ。
歳は一つ下、病棟保育士を目指すその彼女とは、その日以降、何度か図書館で会い、話をするようになった。
穏やかな日差しが真夏の眩しい光となり、優しい秋の風となるまで、たくさんの話をした。
好きなこと、家族のこと、将来のこと。幼い頃に病に罹り、あまり学校に通えず寂しい想いをした彼女は、今度は自分がそんな子供達を支えてあげたいのだと微笑んだ。
――だから、病棟保育士を志したの
華奢な背を凛と伸ばし、穏やかに、けれど直向きに夢を語り、夢を夢のままに終わらせぬよう勉学に勤しむ彼女を支えたいと、守りたいと思うようになったのはいつからだったのだろう。
春の日差しを受けた種のように、彼女に対する想いはゆっくりと確実に育って行った。
君を守りたいと。誰よりも想っていると。そう、想いを告げたのは、紅葉の色づく大学の中庭でだった。
――え、……え?
出逢った時と同じように、彼女は栗色の瞳をくるりと瞠った。そうしてから、少し涙ぐんだ。いらぬ想いだったかと内心焦りうろたえる己に、彼女は嬉しそうに微笑みを向けてくれた。
それからの三年は、幸せな日々。
(……三年)
幸せな三年の後に、彼女の病が再発した。
病院へ続く紅葉の散る道の景色を嫌になるほど覚えているのは、幾度も通ったからだろうか。
彼女が倒れたあの頃は、まだ医学生だった。日に日に弱っていく姿を、ただ見ていることしかできなかった。命の炎が萎んでゆくように痩せていく彼女の手を握り、背中を擦ってやることくらいしかできなかった。
秋に病床に伏した彼女は翌年の三月、初春の陽だまりの中、
(君は眠るように天国へと旅立った)
くすり、寂しい小さな笑みが唇に滲む。
(そうだ)
最後に見た彼女も、最初に見たときと同じに窓際の光を浴びていた。大好きな大好きな、人生を懸けて守ろうと誓ったあの優しい笑顔を浮かべていた。
(君は、……)
祈るように彼女の名を呟く。出逢った日と、別れた日と、同じような優しい光を満たした春の天を仰ぐ。
彼女の四月の誕生日、人生を共に歩もうと告げるつもりでいたことを、
(知っていたのかな)
彼女へのプロポーズは叶わなかった。ただ、最期の日に約束を交わした。
その約束は今も、胸の真ん中にある。彼女と交わした約束を胸に、
(君の分も生きて行くから)
誓う。だからどうか、と天国の彼女に願う。
(だからどうか、……笑顔で見守っていて欲しい)
<< もどる
1
2
3
4
5
…
12
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
春の嵐の只中で
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年01月16日
参加申し込みの期限
2017年01月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年01月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!