【星幽塔】第十一階層　極圏のハレーション｜リアクション

【星幽塔】第十一階層　極圏のハレーション

（危険ですね……）
　ペルラは一人ごちる。
　樹林を抜けてしばらく、一同は牽制に徹していた。
　強風が吹き付け、攻撃も移動も厳しい。
　死角が多く、仕掛ける隙も多い先ほどとは違い、此方は相手が有利。
　仕掛けられない。
　刀、武道らはペルラの回復を受けつつ、ドラゴントレインの速度が上がるのを抑える。
　絶え間なく射出されるワイバーンは、レグルスとグロッグが的確に落としていく。
　隙あらば二人も竜攻撃に参加するが、効果的なダメージとはなりえない。
　
（邪魔だな……まだ現れるか）

　星の雫を飲み下しつつ、レグルスは曲刀を振るい続ける。
　煌めくダイヤモンドダストの渦の中で、刀に宿した炎の力が流線を描いた。
　
「もっと、がんばリリエル、私！」
　
　此処においても、支援として絶大な力を誇るのはリリエル。
　グロッグの弓を、風でブリザードを遮蔽して支援。
　近接し、夏朝のねこワッペンを張り付けてワイバーンを地表に落とす。
　風の塊をぶつけ、ブリザードの中に叩き込む。
　飛び出すワイバーンを、的確にグロッグの射線か、レグルスの攻撃領域に落とし込んでいく。

「なんでもとりあえずやってみましょう！　だめなら風の魔法で足止めするだけです！」

　自身は風の抵抗を防ぐため、低空飛行。
　神秘の力に卓絶したリリエル、様々な工夫をして、戦場の中でも風の力を応用する。
　とはいえ、彼女の焦燥の色が濃い。気を使って星の滴を渡そうとするペルラに、笑顔だけを返す。
　いざとなれば、回復や直接攻撃など、星の力が多く必要な人たちがいる――。
　状況の悪化をひたすら抑えるリリエル、じっと耐える。
　
　不意に強烈な風がやみ、目の前に巨大な氷河が広がっていた。
　