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寝子島高校
夜とお菓子と、あとひとつ。
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膝に手を落とす。
解を得たばかりの数式を眺め、問題集の次の問に視線を移して、外す。
「……疲れたなあ」
呟いた声が思っていたより掠れていて、
如月 蘇芳
は咳払いをひとつ。ルビーの色した瞳に雪色の睫毛の影を落とし、細い指先で眉間を一揉みする。疲れて鈍く痛む瞳で机の上の時計を見れば、夜はもう随分と更けていた。
カーテンの向こう、夜が透けて見える。
息を零し、ノートに転がしたシャープペンシルを取ろうと指を伸ばしかけて、やめる。
(さすがに集中力が切れてきた、かな)
寝子島高校は芸術科に通っているとは言えど、勉強はしっかりしなくてはならない。そこそこの成績を取っておきたいプライドも、一応ある。だからこそ深夜に近い時間帯に至るまで問題集をこなしていたけれど、
「そういえば夕飯食べたっけ」
切れた集中力のままに呟けば、普段はあまり空腹を感じない体質であるはずの体が空腹を訴えた気がした。部屋に籠ってからずっと、集中して勉強を続けてきたせいだろうか。無性に何かが食べたい、
(……かな?)
そんな気がする。
問題集とノートを閉じ、筆記用具を片づける。耳にいくつもつけたピアスのひとつに無意識に触れながら立ち上がり、伸びをひとつ。
空腹を感じたとは言え、それは稀なこと。稀であるがゆえに、この家にはすぐ食べられるものは普段からひとつも置いていない。
エアコンの温風が当たるのか、窓のカーテンが揺れている。隙間から星ヶ丘の静かな町並みが、家々の屋根や壁を照らす蒼い月明りが見えて、蘇芳は小さく瞬いた。
気分転換がてら、外に行ってみようか。
(コンビニくらいなら開いてるし)
思い立ったが吉日とばかり、部屋のクローゼットからコートとマフラーを取り出す。コートを羽織り、マフラーを厳重に首元に巻きつけながら部屋を出る。出た途端の廊下の寒さに思わず首をすくめ、温和な眉を思わず不快気に顰めたものの、足は止めずに玄関に立つ。父も母も役者の仕事で留守をしているため、深夜の外出を咎める者はこの家には誰もいない。
鍵を掛けて家を出る。
吹き寄せる冬風に微かな潮の香を感じて瞬く。吐き出す端から風にさらわれる息を夜空に追いかければ、空には白く輝く月。
月影の道を歩く。星ヶ丘の住宅街に人気はない。
静けさと月光ばかりが雪のように降り積もる道を辿っていて、ふと、道の先に温かな光を見た。
視線を伸ばす。街灯の光からも外れた石畳の道の半ば、赤い煉瓦造りの家が見えた。常緑の蔓植物に壁も窓も覆われ、住宅街の中にあって小さな森のようにも見えるその家の硝子の扉や窓の向こう、ランプのような淡い光が幾つも揺らめいている。
誘われるように近づき、中をそっと覗く。古いランプや観葉植物の置かれた古びたカウンターの奥、待ち受けていたように人影が動いた。立ち上がった中年の女と眼が合い、蘇芳はけれど怯むこともなく如才なく会釈する。
淡く微笑んだ女主人に手招きされるまま扉を開ける。扉の把手、目立たぬ風に刻まれた『Dorothy』の文字を見つけ、蘇芳はルビーの瞳を細めた。
どうやら深夜営業の喫茶店らしい。
「いらっしゃいませ」
カラコロと鳴るベルの音と女主人の声に、
(もしかしたらこれも何かの縁かな)
そう思う。
「今晩は」
挨拶をして見回す。煉瓦の壁を埋める棚には名も知らぬハーブの鉢植えやポプリの詰まった瓶がずらりと並び、そのうちの幾つかのアロマポットに揺れるはティーキャンドルの小さな炎。
「こんな遅い時間にどうしたの」
「遅くまで勉強をした息抜きに」
複雑なハーブの香と温かな空気を胸に満たしながら、コートとマフラーを脱ぎ、カウンターにしかない席のひとつに着く。狭い店内に客は蘇芳ひとりきり。
「そう……お疲れさま」
地味な容貌の女主人は深夜の外出を咎めるでもなく、蘇芳の前に温かなおしぼりとミントの葉の入ったお冷を置いた。
広げれば花の香の立ち上るおしぼりで手を温めつつ、少し考える。カウンターに置かれた掌サイズのメニューには、コーヒーに紅茶に軽食、ありきたりなものが並んでいる。
「この時間にコーヒー……は、寝れなくなるかな」
大人びて微笑む蘇芳に、女店主は淡く笑み返した。
「裏にハーブティーがあるわよ」
言われてメニュー表をひっくり返す。
「じゃあ、カモミールと……」
注文しながら、気が付いた。夜道を歩くうちに、家で感じた空腹はほとんど失せている。
それでも、ハーブティーを口にしただけで立ち去るには惜しいように思えてしまうのは、どこか落ち着けるようなこの雰囲気のせいだろうか。
「サンドイッチもお願いします」
店に漂うハーブの香と、妖精の翅のように揺れるランプやキャンドルの炎を眺めるうち、店主が温かなカモミールティーとサンドイッチの皿をそっと置く。
「ありがとう」
「ごゆっくり」
全粒粉のパンには蜂蜜入りのクリームチーズとチャイブ、ライ麦のパンにはスモークサーモンとディル、米粉のパンにはパセリ入りの分厚い卵焼き。
言葉少なな店主はそれきり蘇芳には構わず、ランプの光を頼りにカウンターの向こうで編み物を始めた。
構われないのをいいことに、蘇芳はのんびりとお茶と軽食を楽しみ、揺れる炎とハーブの香りを、どこか不思議な店の雰囲気を存分に楽しむ。
(……うん)
冬の夜に冷えた身体が指先まで暖まったところで、蘇芳はカップに残った最後の一口を含んだ。
(素敵な時間を過ごせたね)
厄介な頭痛のように残っていた眼や頭に残っていた疲労も抜けている。
「ごちそうさま、――ありがとう」
家に帰ったらもう少し勉強しようかな、とも思いつつ、蘇芳は静かに席を立った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年12月08日
参加申し込みの期限
2016年12月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年12月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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