this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
夜とお菓子と、あとひとつ。
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
…
16
つぎへ >>
「風呂、ありがとうございました!」
一人暮らしの女子の風呂場を使わせてもらって戻るなり、衛はリビングのテーブルに置いたノートパソコンの前に座り、クッションを抱えてリラックスしきった様子の由貴奈へ九十度に腰を折った。
「おかえり、うーちゃんー」
のんびりひらりと手を振る由貴奈から、風呂上りの自分と同じシャンプーの香を嗅いで、衛はまた頬を紅くする。
「お湯、熱かった?」
「いッ、いえ、いい湯加減でした」
首を激しく横に振る衛に軽く笑みかけ、由貴奈は立ち上がった。落ち着く場所を探してソワソワとする衛に抱いていたクッションを衛に手渡し、好きな場所に座るように促す。
「さ、まだ夜は始まったばっかり」
一度台所に立って戻った由貴奈の手には、衛が風呂に入っている間に用意したお茶とクッキーの皿の乗ったトレイ。
「ココアと抹茶と塩だよぉ」
手製のクッキーをテーブルに置けば、クッションを正座の膝にまだ少し緊張気味だった衛の目が一瞬にして輝いた。
「わあ! うまそう!」
「お望みなら変わり種もあるよぉ?」
「変わり種って、……そっちはどんな?」
輝く瞳はそのまま、くるりと丸くなる。感情を恐れず瞳に表すことの出来る衛の素直さに、由貴奈はふわりと眼を細めた。つくづく、からかい甲斐のある可愛い後輩だと思う。
「味の保証はしないけど」
悪戯っぽく囁いて持ってきたのは、
「ニンニク味噌味と納豆味」
「ホントに変わり種ですね!?」
「食べてみる?」
由貴奈から挑むような瞳を向けられ、衛はその眼を真っ直ぐに見る。頷く。
「じゃあ一つ」
手にしたのは刻み葱がまるでハーブのような顔して鎮座するニンニク味噌味クッキー。甘いバターの香に混じる匂いは、間違いなくニンニク味噌のもの。
「……夜食のクッキーはおいひぃ」
山積みのクッキーをマイペースに口に入れて行く由貴奈をちらりと見て後、衛は思い切って変わり種クッキーを丸ごと口に含む。もぐもぐもぐ、咀嚼するうち、幼く見られがちな顔に怪訝そうな色が浮かんだ。
「おー」
眉が開き、目が丸くなる。
「意外と美味しい」
ぽつりと零れた一言に、由貴奈は笑った。
しばらく二人でクッキーを食べる。何をするでもなく、ぼんやりと時間が過ぎても、交わす言葉がほとんどなくても、衛はそれはそれで楽しかった。気になるひとが傍に居て、同じものを口にしている。それだけで心は案外簡単に安らげた。
「あっ、何か映画でも見る?」
ふと思いついたような由貴奈の一言に、衛はちょっと首を傾げる。映画よりも、観たいものがあった。
「俺、由貴奈さんが劇やってるやつあったら見たいです」
「……へ?」
今度は由貴奈が首を傾げた。
「うちが?」
「はい」
何の迷いもなく頷いて見せる衛に、由貴奈は困惑して頭を掻く。
「えー……下手っぴだし……」
「だめですか?」
「……あんまり期待しちゃダメだよぉ?」
真摯なほどに真っ直ぐな瞳の頼みを拒めるわけもなかった。断りを入れつつ、由貴奈はノートパソコンの中の動画フォルダを開く。確か、演劇フェスで演じた時のファイルがあったはず。
「うーちゃん、おいでー」
パソコン画面に映像を呼びだし、テーブルの向かいに座る衛を傍らに呼ぶ。衛を画面の前に座らせて、由貴奈はその斜め後ろにぺたりと腰を下ろした。
パソコンの画面いっぱいに映し出されるのは、今年開催された『マタタビック演劇フェスティバル』。寝子島高校演劇部の面々と共、由貴奈はそこで『オズの魔法使い』の善い魔女を演じた。
光を浴びて現れ、ドロシーたちに道を示す『善い魔女』が動く度、台詞を口にする度、由貴奈の顔は朱を帯びて行く。
「自分の演技見るのは恥ずかしいねぇ」
物語の終盤に至って、由貴奈はとうとう自分で自分の耳を塞ぐ。
「そんな恥ずかしいもんですか?」
画面の中の『善い魔女』から片時も目を離さないまま、衛は首を捻る。
「でもすっげーキレーだし」
画面からの光を集めて、衛の瞳が陽の光のようにきらきらと煌いている。一抹の羞恥もなく本心を曝け出すその瞳の色に視線を奪われ、由貴奈はどうしようもなく淡い笑みを零した。
「こうやって見ると別の人みたいなのに、でもやっぱり由貴奈さんで、……すげーなー……」
画面の中、『善い魔女』はどこまでも優しく話し、どこまでも美しい所作を見せる。それは、由貴奈が真剣に『善い魔女』という役と向き合った結果なのだろうと、衛は思う。
彼女は、いつだってそうだ。物事に向き合うとき、凛と背を伸ばす。臆することなく、己の真心で以って対峙する。それは、人としてとても、
(キレーだ)
『オズの魔法使い』の演目が終わり、次の演目が始まる。
引き続き画面を眺めてしばらく、衛は斜め後ろから小さな寝息を聞いた。
「由貴奈さん?」
画面から目を離し、振り返ってみれば、由貴奈は背後のソファとクッションに肩と頭を預けて瞼を閉ざしている。
「こんなとこで寝たら風邪ひきますよー」
「……あぁ、うーちゃんも寝てていいよぉ……」
衛の呼びかけに薄く瞼を開き、むにゃむにゃと言いつつ、由貴奈はうたた寝から本格的な眠りに落ちて行く。
「由貴奈さ……」
名を呼ぶより先、由貴奈は完璧に寝入ってしまった。
その無防備な寝姿に、衛は肩を落とす。これは男として全然意識されていない証拠だろう。
(……そうだよな)
ソファからずり落ちそうになった由貴奈の肩を支え、ついでに膝に腕を回す。
(俺まだ何も言ってねえもんな)
くたりと胸に頭を寄せられ、近さと風呂上りの匂いに思わず目眩を起こしそうになりながら、
「よっと」
先輩の体をどうにか抱き上げる。家主の部屋に入るのは流石に不味い気がして、自分が借りる予定だった客間に運び込む。由貴奈が先に敷いておいてくれた客用布団の上に由貴奈を横たえ、きちんと布団を掛ける。
そうしてから、枕元に手をつく。目を覚ましもせず、健やかな寝息ばかりを立てている由貴奈の顔を覗き込む。
「今度、」
囁く。
「起きてる時に好きですっつーんで、覚悟しといてくださいね」
白い額を撫でる。その額に触れるか触れないか、唇を寄せようとして出来ず、祈るように額に額を押し付けるだけに留まる。
(今は、運搬料ってことで)
「おやすみなさい」
リビングに戻りながら、衛は由貴奈の額に触れようとした己の唇を掌で押さえる。
この後口にするクッキーは、先に食べたものよりもきっと甘く感じる。そんな気がした。
<< もどる
1
…
9
10
11
12
13
…
16
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
夜とお菓子と、あとひとつ。
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年12月08日
参加申し込みの期限
2016年12月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年12月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!